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2019年10月28日

セイタカアワダチソウが、クズに負け始めているらしい

一時は空き地という空き地はセイタカアワダチソウで覆われていたが、最近はその勢いが衰え始めているらしい。

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セイタカアワダチソウはアメリカを原産地とする外来植物で、いつの頃からか猛烈な繁殖力で増え続けてきた。これには理由があって、この植物は根から周囲の植物を枯らす毒として作用する「アレロパシー物質」というのを出しているらしい。それで自分だけがどんどん生息範囲を広げてこれたのだ。

しかしこれは実は「両刃の剣」で、このアレロパシー物質はセイタカアワダチソウ自身にも作用してしまい、自分を枯らす毒ともなってしまうという。このために一時ほどの勢いがなくなりつつあるセイタカアワダチソウに代わって勢力を拡大しているのが、日本古来の野草であるクズ(葛 - 上の写真)である。

クズは蔓性の植物で、地面を這って伸び、他のものに巻き付いてどんどん成長する。葉っぱは結構大きくて、他の植物を覆い隠してしまうから、自分だけが増えていってしまう。

アメリカ辺りでは日本から入ったクズが圧倒的に広まって、ケンタッキーなどは家や畑を覆い尽くしてしまった地域があり、人間が土地を捨てて脱出してしまうという事態にまでなっている。外来植物というのは恐ろしいものである。

日本では古来、根を乾燥させてデンプンを取り、「葛粉」として食用にしたり、生薬に用いたりしてきた。「葛根湯」というのはその代表である。しかし最近では、葛粉や生薬の需要が減って放りっぱなしにすることが多くなったため、とにかく伸び放題の「悪役」と化しつつある。

いずれにしても、野草の世界とはいえ人間がしっかりと手を入れて付き合っていかないと、多様性が損なわれて始末に負えない事態になってしまうようなのである。

 

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自然・環境」カテゴリの記事

コメント

昔流行った「マイ箸運動」というのを思い出します。
割り箸は木でできているから森林破壊に違いない、廃絶しようというロジックでしたが、あれも、間伐材の需要がなくなって山林を管理していた業者が軒並み壊滅、山は荒れ放題になって、実のところただの環境破壊運動でしたという結末でした。しかもブームが去って復活した割り箸需要を埋めたのは、じゃんじゃん木を切り倒して箸を製造する中国の業者だったというオチまでついてきたという。
あれを推進してた人たちの決めゼリフは「たとえ意味がなくても環境意識の啓蒙になるからいいのだ」でしたけど、「過ちては則ち改むるに憚ること勿れ」が出来ない人は啓蒙なんかしちゃいかんのだという良いサンプルでした。

投稿: 柘榴 | 2019年10月29日 05:13

繁殖するのは、なにかちきう的にみて必然性があるはず。もっと繁殖して、家や町を覆うようになれば、夏は遮熱・冬は保温になって、温暖化を食い止める一助になるんじゃないかなぁ(暴論)。

投稿: 太陽系調査員ノウサギONE | 2019年10月29日 12:34

柘榴 さん:

「マイ箸」を持ち歩く運動が盛んになったのは、2000年代からと認識していますが、それ以前の 1990年代初めから、日本の割り箸は 90%以上が中国からの輸入品となっています。

つまり順序として、「マイ箸」運動が日本の間伐材需要を減らしたというよりは、安い中国製割り箸の増加の方が先立っていたと、私は認識しています。

そして「中国製割り箸は間伐材以外の材木が使われていることが多い」ということから、「森林保護」のためにも割り箸使用を控えようと言われ始めたいう順序だったと思っています。

さらに中国製割り箸は、製造過程で薬品使用が多いということからも、「マイ箸」の方が安全という認識もあったように記憶しています。

ただ、こうした正確な情報が伝わらず、「マイ箸を持ち歩くことが日本の森林保護になる」と、単純に思い込む人が多かったというのは、確実に言えますね。

投稿: tak | 2019年10月29日 18:50

太陽系調査員ノウサギONE さん:

覆って欲しいところだけを都合良く覆ってくれればいいんですが、何でも構わず覆ってしまうので大変なことになるんですね ^^;)

投稿: tak | 2019年10月29日 18:52

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