「屋敷墓」「家墓」というもの
茨城県に住んでいると、庭や玄関先など、家の敷地内、あるいは畑の片隅など、墓地ではない自分のもつ土地に墓を建てているのがよく見られる。私の生まれた東北ではこんなことはほとんどないので、初めのうちは「へえ〜! なんでまた自宅に墓なんかもってるんだろう」と驚いて見ていた。
こうした自分の土地に建てる墓を「屋敷墓」「家墓」などというらしい。池渕石材工業株式会社という奈良の石材会社のサイトに「屋敷墓~関東地方のお墓の一類型」というタイトルのページがある。奈良の会社らしく、埼玉に旅行したさいに、自宅の敷地内に墓があるケースを多々見て、驚いたということが書いてある。
お墓に使われる石材を販売する会社のスタッフがいうことだけに、やはり自宅に墓を持つというのは、奈良などの関西では珍しいことなのだろう。
私の住んでいるのは新興の住宅地で、ほかから移り住んでいる人がほとんどなので、屋敷墓というのは全然見られない。しかし一歩外れて前々からこの土地に住んでいる人の家をみると、敷地内に墓が建っていることは全然珍しくない。関東では一般的な話のようなのである。
「終活ネット」というサイトの "家にお墓を置く!?「自宅墓」について解説します!" というページによると、次のようにある。
みなさんは「自宅墓」について、ご存知でしょうか。
これは、遺骨を骨壺に納めて、骨壺より少し大きな石棺に入れて、自宅で供養する「お墓」のことです。
これなら自宅の仏間や床の間、家具の上などでも置くことができます。
(中略)
予算はあるので、自宅の敷地内でお墓を建てて遺骨を納めたいという人もいらっしゃるかもしれません。
しかし、これは「墓地埋葬法」に違反することになります。
遺骨は、墓地以外の場所に「埋葬」することを禁じられているのです。
たまに農家の敷地等にお墓を見かけることがありますが、これは法律ができる前に建てられたものです。
より、古いものが多いです。
管理している人が明確である内は、特別に許可されています。
つまり、遺骨を骨壺などに入れて自宅で供養することは禁止されていないが、自宅敷地内に遺骨を「埋葬」することは、今では禁止されているらしい。埋葬はお寺などの「墓地」に限られるようなのだ。ただ、この法律ができる前に自宅内にお墓が作られている場合は黙認されているということのようだ。
これを「家墓」「屋敷墓」と呼び、仏壇などに骨壺を置いて供養するなどの「自宅墓」と区別しているようなのである。
私はこの記事を書くに当たって調べてみて、骨壺に入れた遺骨を自宅に置けると知って「へえ!」と驚いた。それなら何百万円も出してお墓を購入する必要なんてないじゃないか。ただ、やっぱり自宅に骨壺を置くというのも抵抗があるだろうし、墓地を買うのもイヤだというなら、「散骨」しかないのかもしれない。
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コメント
名古屋市には「覚王山日泰寺」という、宗旨宗派にかかわらず、納骨や供養(永代供養も可)をしてくれるお寺があります。合祀ですが、供養料を含む納骨料は一霊5万円。
私の実家は、あるお寺の檀家総代を長年務めていましたが、数年前にハガキ一枚で百万円単位の寄進を要求してくる態度に怒り心頭。兄妹で相談し、檀家をやめて墓じまいをし、この日泰寺にお世話になることにしました。
最近は子どもたちに負担をかけないように墓じまいをする人が増えているそうで、樹木葬とかもありますね。
投稿: さくら | 2019年11月 7日 11:54
さくら さん:
ご紹介の「覚王山日泰寺」というお寺のシステムはなかなかいいですね。
墓じまいは今後増えていくと思います。
投稿: tak | 2019年11月 7日 18:42