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2019年12月 6日

カタカナ英語を巡る冒険 その 1 : 新幹線の英語アナウンス

奈良の吉野の山奥への出張を終えて帰宅した。ところで最近、新幹線に乗る度にそこはかとなく気になっているのが「英語の車内アナウンス」である。

前々からお馴染みの こんな感じの、のネイティブ・スピーカーによる(保母さんが園児たちに諭すような感じの)録音のアナウンスも継続されてはいるが、 今はそれに加えて日本人車掌によるナマの英語アナウンスも流される。ただ、そのほとんどが「見事なまでのカタカナ英語」なのだ。

ネット界隈では「上手な人からカタカナ英語の人まで幅がある」なんて記述を目にする。しかしよく新幹線に乗る私でも、カタカナ英語以外のアナウンスは 1度も聞いたことがなく、ほとんど こんな感じ である。(4番目のアナウンスは比較的マトモだが、"L" と "R" の区別が付いていない)

下の動画はかなりわざとらしさが目立つが、JR 東海の英語アナウンスの練習風景ということになっている。ところが左側の指導担当者自身が相当なカタカナ英語で、飛行機の CA の英語も平均的にはかなりひどかったりするが、それを凌駕するレベルである。

 

これは朝日新聞によるニュース動画で、一応きちんと現場取材でやらせ動画を撮影しているわけだから、JR としては「ニュースにしてもらうのだから歓迎」というスタンスだったのだろう。「とりあえずちゃんとした英語原稿なんだから、お恥ずかしいものにはならない」程度以上のことは考えていなかったとしか思われない。

動画の中で指導担当者は「アクセントを間違えても気にしないでください。外国人のお客様は理解しようとしてくれています」などと、もっともらしいことを言っている。しかし現場に遭遇すれば、その期待は甘すぎるとわかる。

現場では日本語アナウンスに続いてすぐに英語アナウンスになる。日本人客なら少なくとも 「急に日本語じゃなくなったから、ここから先は英語(のつもり)なんだろう」ぐらいには思ってくれるが、日本語を知らない外国人客には、単にミステリアスな東洋の言葉の連続にしか聞こえないはずだ。

つまり「JR の車掌が英語でアナウンスをしている」という事実に気付いているのは、案外日本人だけかもしれないってことだ。ということはこの "英語アナウンス" は、国内向けに「JR、一応国際化努力してます」とアピールする効果しか果たしていないと言っても、あながち極論じゃない。

このサービス、昨年 12月から始まったというのだから(参照)、既に 1年経過している。そしていつの間にかカタカナ英語のままで妙に早口になってしまい、ますますわからなくなってしまっている。

下手に慣れると逆に劣化してしまうという典型例だ。

ちなみに、このことについては過去にも 2度触れている。

新幹線の 「ムダに流ちょうすぎるカタカナ英語」 アナウンス
  (この記事に添えた録音は、かなりスゴい!)

新幹線の英語アナウンスが肉声になったようだ

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コメント

日本人が海外に行ってたまに気の利いたところで聴く日本語アナウンスもこんなものでしょう(笑)。
変な日本語、それもまた異国情緒、無いよりマシ(笑笑)。

投稿: らむね | 2019年12月 6日 20:51

>動画の中で指導担当者は「アクセントを間違えても気にしないでください。外国人のお客様は理解しようとしてくれています」などと、もっともらしいことを言っている。

これは違いますね。アクセントの位置を間違えたら通じません。理解しようがないですね。指導者がこんなことを言ってるようじゃ先がない。

日本人は外国人の話す日本語を何とか理解しようと奮闘しますが、英語のネイティヴはそんなことしてくれません。

投稿: ハマッコー | 2019年12月 6日 23:48

らむね さん:

実は私、海外で外国人が日本語でアナウンスする現場に遭遇したことがありません。う〜ん、どんな感じなんだろう ? 英語訛りの日本語だったり、韓国語訛りの日本語だったりするんですかね (^o^)

JR の場合は、原稿は正しい英語のようですが、実際に発音されてしまうと、日本語をわかってる人以外はヒアリングにおいて日本語と区別できず、車掌さんとしてはせっかく英語のつもりでしゃべっているのに、そうと気付いてもらうことも困難という、特殊な状況を現出しているわけで ^^;)

日本人が海外で「変な日本語!」と思えるのは、日本語とわかるだけまだマシなんだと思います (^o^)

投稿: tak | 2019年12月 6日 23:51

ハマッコー さん:

英語というのはアクセントを間違えたら通じないというのは事実です。多少は程度問題の部分もありますが、平均的日本人からすると、「意地悪でわからないフリしてんじゃないの?」と言いたくなるほど通じないですね。

このケースで「アクセントの間違いは気にするな」と言っているのは、次の 2つの理由からだと思います。

1. 指導者自身がナマの英語に接した経験が少ないので、よくわかっていない。
2. このくらいハードルを下げないと、付いてこれる人が少ない

というのも、実はこの英語アナウンス、外国人に向かってじゃなく、国内向けに「JR、国際化努力してます」とアピールするためなので、実際に通じる、通じないなんてことはどうでもいいんです (^o^)

投稿: tak | 2019年12月 7日 00:20

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