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2019年12月29日

「とらまえる」という言葉

今月になってケッタイな挨拶の絶滅に関して 2本も書いた("喉元過ぎれば「いらしゃいませ、こんにちはぁ〜」を忘れる" 、"ケッタイな挨拶の絶滅から学ぶこと")ためか、「そういえば最近、『とらまえる』も聞かなくなったなあ」と気付いた。

191229

この言葉については、13年も前に ”「とらまえる」の考察” のタイトルで描いている。

「いらしゃいませ、こんにちはぁ〜!」同様にめでたく絶滅してしまったのかと思い、試しにググってみたら、電話代行サービス(って、一体どんなサービスなんだ?)業者のサイトの今年 1月 31日付の記事に「消費増税をとらまえる」というのがあったので、まだしぶとく生き残っているのだと知った。

ググってみたところでは、「とらまえる」という言葉を聞くと「もやもやする」とか「しっくりこない」とかいう思いを表明しているページが圧倒的に多い。とはいいながら、あまりにも世の中で堂々と使われてしまっているので、『広辞苑』にまで載ってしまったようで、web 版では次のように説明されている。(参照

とらま・える【捕らまえる】トラマヘル
〔他下一〕
(「とらえる」と「つかまえる」との混交した語)つかまえる。「狙ひよつて這ひよつて、―・へてみたれば、興がつた鶉で」(狂言歌謡)

なんと、この「とらえる」と「つかまえる」との混交は狂言歌謡の昔から発生していたということで、道理で関西方面の方がこの言葉の使用率が高い気がする。それもあって、これを関西方言と捉えて(とらまえて?)いる人も少なくないようなのである。

しかし私の個人的な印象からすると、これは通俗マーケッターと行政関係のお役人が好んで使う言葉という気がしている。「前 京丹波町議会議員 山崎裕二 活動誌 ブログ版」というサイトの 2015年 2月 18日の記事には、次のように描かれている (参照)。

調べてみると、大学の先生(研究者)にも 一部、使用ケースが垣間見られました(私の前職ですが、学内や学会で唱えている先生はいませんでした)が…議会答弁で頻繁に出てきますので、あえて行政用語にカテゴライズしてみました。「会議録 とらまえ」などで検索すると、ワッと出てきます。

ちょっと前、旧町議員だった方が何気なしに使われており、いまだに染まっているなぁと首を傾げるとともに、前例にしたがって、脈々と受け継がれる行政文化のようなものを感じ、生理的にブルっとしました。

「生理的にブルっとしました」という感覚は、私もよくわかる。わかりすぎるほどわかる。

というわけでこの「とらまえる」という言葉は私の印象に反して、決して滅びてはいないようなのである。どうやら私の方が、この言葉が多用される世界から離れて暮らすようになっただけらしい。おかげで生理的にブルッとこないで済んでいるのはありがたいことだ。

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言葉」カテゴリの記事

コメント

「とらまえる」

用法が違うのでしょうか。
当地の年配者から発せられることはそんなにめずらしくなく、「そんなスピード出したらとらまってまうで」、「網をちゃっと投げんととらまえれーせんわ!」など、捕まる、捕まえることを「とらまう/とらまえる」って表現されます。

もやもやなのかなぁ…。

投稿: 乙痴庵 | 2020年1月 6日 22:44

乙痴庵 さん:

う〜む、古語の時代から脈々と生き残った「とらまえる」は、物理的な話なのでまだモヤモヤしませんが、お役人や通俗マーケッターみたいな人たちに「概念やコンセプトとして把握・理解する」という意味で使われると、とたんにモヤモヤしてしまいます。

投稿: tak | 2020年1月 7日 00:07

生まれてこのかた東京を離れたことがなく、曲がりなりにも文字にかかわるお仕事をしているわたくしですが「とらまえる」という言葉は初耳でした。最初、「マジ卍」みたいな、いまどきのJK言葉かと思ったほどです。しかし、この、鮮度のよくない烏賊の刺身が奥歯にはさまったような違和感はなんなのでしょう。だれか教えてください( ̄▽ ̄)

投稿: 黒兎のおいちゃん | 2020年1月11日 21:22

黒ウサギのおいちゃん さん:


"「とらまえる」という言葉は初耳" というのは、ある意味、幸運です。

本当に、通俗マーケッターやお役人が、「君たち、知らんようだから説明してあげるんだけどね」みたいな、エラそーな調子で、「この現象を〇〇の一環としてとらまえた場合・・・・・・」なんて言い始めるのを聞くと、本当に「ブルッと」来ますから。

投稿: tak | 2020年1月11日 22:49

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