「ぶりっ子」するのは生き物の本能なのか?
来年の年賀状のデザインを考えるためのネタを探そうと「ネズミ」でググってみたら、「人間に見られまくった野生のネズミは見た目が大きく変化すると判明」という Gigazine の記事が見つかった。
チューリッヒ大学の研究チームが「野生のネズミを飼いならした結果、ネズミの見た目が大きく変化したことを発表」したという、昨年 3月の記事だ。こんなおもしろい話に 1年以上経ってから気付いたというのは、我ながら「遅すぎ」である。
元々動物は、「人間によってなつきやすいよう選択的に交配されると見た目が変化していく」ということが知られていた。しかし今回は「選択的な交配を行わずとも見た目が変化していったことが確認された」というのである。イノシシやオオカミを家畜化してブタや犬になったとかいうのとは、ちょっと次元が違うらしい。
イヌの場合は人間になつきやすいよう選択的に交配することで、「耳が垂れる」「牙が小さくなる」など見た目に大きな変化が現れた。このように、飼育される動物に見られる外見の変化を「The Domestication Syndrome」(家畜化症候群)と呼ぶらしい。
ちなみにソ連の遺伝学者であるドミトリ・ベリャーエフ氏は、野生のギンギツネを飼育、観察する過程で、なるべく人間になじみやすいキツネを選択的に交配した。するとこんな現象が認められたという。
「体格が小さくなる」「尾がくるんと巻き上がる」など、数千年かかって進化して得るはずの外見上の変化をわずか数年で得られることを発見したそうです。そして交配開始から9世代後のキツネには垂れ耳とまだら模様が見られるようになり、人間に対して尾を振りながらくんくん鳴いて甘えるという、野生では有り得ないような行動をとるようになったとのこと。
こうした現象を「家畜化症候群」と呼ぶわけだが、チューリッヒ大学の研究では意図的な交配を行わず、定期的に食糧と水を与えながら観察を続けていただけだった。それでも「褐色の毛皮に白い斑点が現れる」「鼻が少し短くなる」という外見上の変化を確認できたというのである。
つまり、人間に見られまくっただけで「可愛らしい見かけ」になってしまったのである。こうした現象を「自己家畜化」と言っているらしい。つまり生き物って、本能的に人におもねてしまうことがあるようなのだ。
「ぶりっ子」というのは、まんざらあざといだけのものじゃないのかもしれない。
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コメント
そのどうぶつさんには毎食きちんとごはんをあげて、世話をしてたんでしょ?「どうやらこのニンゲンのそばにいれば、食いっぱぐれることはなさそうだ。今日のエサも食えるかわかんない生活はもうしなくていいんだな」と思えば、見た目や性格もかわるだろうね。ニンゲンでも、同じ会社に何十年も勤めてるシトとなんの保証もないフリーランスじゃ、目付き顔つきも違ってくるもんね( ̄ー ̄)。 やれやれ、ぼくもなんとか今年も生き延びられたぞ。来年もごはんが食べられますように。
投稿: 太陽系調査員くん | 2019年12月17日 15:29
太陽系調査員くん
>ニンゲンでも、同じ会社に何十年も勤めてるシトとなんの保証もないフリーランスじゃ、目付き顔つきも違ってくるもんね
それは完全に言えてますね。必死こかなくてもメシが食えるというのは大きな要素です。私も同じ会社に何十年も勤めた経験がないので、「なついちゃう」という感覚が今イチわからないでいます ^^;)
投稿: tak | 2019年12月17日 19:22