ステーキを毎日食いたいという環境大臣が、COP 25 で演説
小泉進次郎環境省の COP 25 での演説は、かなり歯切れの悪いものになったようだ(参照)。「毎日でもステーキを食べたい」と発言していた彼のことだからそんなものかと思い、具体的な発言を確認しようとググってみたら、こんな動画が見つかった。TBS ニュースの直撃取材の模様である。
記者が「毎日ステーキ」発言について尋ねると、彼はまず、
「この質問って今までなかったと思いません?」
「それだけでも日本の中で、環境問題っていうのを考えるよいきっかけになるなと思います」
と、ずいぶん切れ味の悪いトボけ方で他人事のようなことを言う。こんなような、ちょっとシビアなツッコミには慣れていないようなのだね。まあ、お坊ちゃまだから。
彼自身は初めて受けた質問だったかも知れないが、肉食が地球温暖化の大きな要因であることは、環境に関わる者にとっては既に「イロハのイ」ほどの常識だ(参照)。「環境問題を考えるよいきっかけ」なんて段階を、世の中はとっくに通り過ぎている。
ましてや彼はコロンビア大学で政治学のマスターを取得して、今や環境大臣になっている身なのだから、この程度のことは当然熟知していなければならないのだが、彼の目の泳ぎ方をみると理解が不足しているとしか思われない。だからこそ、環境大臣のくせに「毎日ステーキを食べたい」なんて平気で言い出せたのだろうけど。
で、具体論としてその「毎日ステーキ」発言について問われると、
「毎日でも食べたいということは、毎日でも食べているというわけではないです」
なんて、今どき子供でも恥ずかしくて言わないようなことを言い出す。これ、純粋論理としては、毎日ステーキを食べつつ(さらに今後も)「毎日でもステーキを食べたい」と言っても何ら矛盾は生じないのだから、自らの「論理音痴」をさらけ出してしまっている。そしてその上、
「好きなもの食べたいときありません?」
と、「よくわからない問題では、余計なことは言わん方がいい」とアドバイスしてあげたくなるほどのアホ発言になる。これにはさすがに記者も呆れたのか、結構長い絶句の後に、
「そういうことを聞いているのではなく、大臣としてどう整理しているかを聞いている」
とツッコまれると、言うに事欠いて
「みんなにばれないようにステーキを食べている方が嘘くさくないですか?」
と来た。これが「大臣として整理した上での発言」ということのようなのだ。質問の趣旨を理解できないほど、ただひたすら「ステーキを食いたくてたまらない」ようなのである。全然セクシーじゃない。
ここに至って、この人のオツムの程度が理解できた。「フランクな会話を盛り上げる "カンとセンス" は悪くないみたいだけど、ちゃんとした話になると、要するに『おバカ』なのかもね」ということである。
その彼が、国際会議で環境に関する演説をしたという。もちろん英語で。
3日前まで「カタカナ英語」について 4回連続で論じたばかりだから、敢えて言わせてもらうと、彼の発音は "Thak you" が "Sank you" になりがちだけど、"L" と "R" の区別はちゃんとできているから、それほど恥ずかしいレベルじゃないみたいだよね。
敢えてもう一度言うが、彼は「フランクな会話を盛り上げる ”カンとセンス” は悪くない」ようだから、高度な知識と論理性が要求される話さえ注意深く避けさえすれば、日本国首相になら、なれないこともないだろう。トランプみたいなのが米国大統領になれてしまう世の中なんだし。
とくに彼の前に首相を勤めるにふさわしい人物がほかにいるかとなるとかなり疑問だから、下手するとその時期は案外早いかもしれない。そう思うと、なんだか冷や汗ものだなあ。
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コメント
まぁ、「3食ステーキ」って言いださないだけでも、まだ救いようがあるのかなぁ…、いや救われないか。
なんかもう、「狡猾な」とか、「老獪な」って言葉が(チンジロウさんには老獪はムリね)異世界の話になるほど、現在の政治屋さんには「保身」が最優先なんだなぁ…、と思っちゃう次第。
あ、チンジロウさんは「保身」以前の状態でしたね。
投稿: 乙痴庵 | 2019年12月12日 18:20
新次郎君は選挙応援演説では拍手喝采だったけど、環境大臣となると勝手が全く違うということが身に染みて分かったと思いたい。でも素が出ちゃっただけで、これが直るということはないでしょう。今後、発言に気を付けるということはあるでしょうが。
それから、2050年には温室効果ガス実質ゼロなんて100%不可能。気候行動サミットはそんなことをどうして目標にするのか。実に嘘くさい。実質ゼロの意味も不明。
投稿: ハマッコー | 2019年12月12日 21:53
乙痴庵 さん:
>あ、チンジロウさんは「保身」以前の状態でしたね。
「保身」に走るほどの実績もないし ^^;)
投稿: tak | 2019年12月13日 16:35
ハマッコー さん:
「実質ゼロ」というのは、排出量と吸収量を均衡させるってことのようで、つまり、排出を極力減らして、その上でいろいろな吸収システムを動かすことで、バランスさせることを目指しています。
そのためには、クルマの走るシステムを脱ガソリンにすることを含む、「クリーン・エネルギー」開発を進めていくとともに、牛の「ゲップ」も減らすために、「脱肉食」はマジに考えなければなりません。
2050年までに「実質ゼロ」が達成可能かどうかは別として、「目標」とすることは悪くないことで、日本がそれに乗っかれないというのは、「その気がない」ことを世界に示してしまっていると思います。
なにしろ「新世代」の政治家というイメージの小泉進次郎環境省が、立場を忘れて「毎日ステーキ」なんて言うんですから、「その気がない」ってのは事実のようですね。
投稿: tak | 2019年12月13日 16:46
日本の(特に右側の)オジサンたち(いや、もうだいぶ若い世代もか)はこういうことのアンテナがずれている人が多いですよねえ。本当に日本は環境後進国になってしまいかねない。
ちょっと前に、ユニクロがビニール袋をやめて紙袋(1個10円)にしたとき、非難囂々でした。いわく「金とるな!」とか。
愕然としましたねえ。紙袋の方がはるかにコストがかかるって知らずに言ってるんですね。調べましたが100均でも通販サイトでも、どんなに安い紙袋でも1個20円はしました。
冬服を買った時の大きいサイズの紙袋ならもっと高いでしょう。お金を払っても欲しいくらいなのに(笑)
(余談ですが非難ごうごうってすごい漢字ですね。変換で初めて見ました)
投稿: らむね | 2019年12月14日 01:17
らむね さん:
地球環境は既に、「かなりヤバい状態」にまで来ているのですから、呑気なことを言ってる場合じゃないんですよね。
そのうち、孫の世代は「こんな生きづらい地球になってしまったのは、ジイさんたちの世代が深く考えずに好き放題をしちゃったからだ」と言い出します。それは確実です。
外国人観光客には 案外ヴィーガンが多いので(宗教的な理由による場合も含めて)、「日本では肉食以外の食事のできる店を探すのが大変」というのが今や定説になっているようです。
それは私が出張先で外食しようとして苦労するのと同じです。
https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2019/10/post-fa1174.html
https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2019/10/post-4eea9f.html
肉食を避けるのは、今や「好き好き」の問題ではなく「環境意識によるポリシー」だったりするのですが、そんなのは「無視できるレベルの極々少数派」と思われているため、外国人観光客のヴィーガン(ばかりでなく、私のような日本人も)が苦労しているのを見ても、日本の環境意識の低さがわかります。
投稿: tak | 2019年12月14日 17:50