テレビがつまらなくなったのは
朝食をとり、一応テレビのスイッチは入れてみる。ニュースや天気予報をチェックした後で、時々「何か面白い番組はないか」とザッピングしてみるが、そんなものがあるわけもなく、すぐにスイッチを切ってラジオを聞く。
さらに夜になってしまうと、テレビはどの局も愚にもつかないバラエティやうっとうしいドラマばかりとわかっているので、スイッチを入れる気にもならない。結局ラジオを聞きっぱなしになる。
出張先のホテルでも朝起きて一応テレビを点け、やはりニュースと天気予報を見て、すぐにスイッチを切る。どうしてテレビはこんなにつまらなくなったのだろうと思う。
茂木健一郎氏の「ぼくが地上波テレビを見なくなったワケ」(2019/3/15 付)というコラムが話題になっていると聞き、行って読んでみた。彼は日本の地上波テレビがつまらないのは、番組企画がジェンダーや年齢層にとらわれているからだという。うむ、言いたいことはわかるが、正直、インパクトに欠けるなあ。
彼の視点はどちらかというと制作者側に寄っていて、「最新のトレンドって、そういうことじゃないんだけどなあ」という発信の意味が強い。しかし日本の番組制作者は長らく「ジェンダーと年齢層」を切り口にした発想しかしてこなかったんだから、今さらそれを変えろと言っても戸惑うばかりだろう。
私が一番しっくりきてしまったのは、昨日の TBS ラジオで神田松之丞が言い放った「テレビなんて、IQ 30 の連中にもわかるようなことしかやらないから」という「核心を突いた暴言」だった。さすが松之丞。誤解を恐れずに言えば、これに尽きるね。
「"シャボン玉 ホリデイ" よ、もう一度!」は、叶わぬ夢と思っていたが、探してみるものである。YouTube で "50年前の音楽ショー「シャボン玉ホリデー」" というのを見つけた。1964年 8月に放映されたもので、私自身もしっかりと見覚えがある。
半世紀以上も前に、こんなにもお洒落で質の高い音楽ショーが、毎週日曜夕方にフツーに放映されていたのだ。ビデオは 26分以上の長尺だが、見て損はない。開始 20分辺りには、植木等による伝説の至芸、「お呼びでない?」も出てくるしね。
このビデオを Youtube に登録された terashu1 さんのコメントを読めば、この番組がいかに上質なものだったかわかる。こんな番組を小学生のうちに毎週タダで見られた私は、いい時代に生まれついたわけだ。
毎週異なったスタンダード曲を、一発撮りで苦もなくハモって踊れるザ・ピーナッツは、今の世に現れたら「神」である。こんなのを日曜ごとに夢中で見てたんだから、「洋楽センス」が育まれるわけだよね。
「メンバーが交代で下手なソロ取って、リフはユニゾン」という最近の安易なアイドル・ソングを聞くにつけ、「後ろでフラフラ下手な踊りやってる暇があったら、少しはハモれよ!」と言いたくなるのも当然というものだ。複数で歌ってハモらないなんて、もったいなくてため息がもれる。
音楽ショーだけを取ってみても、今のテレビは安易すぎるというのがわかろうというものである。「ジェンダーと年齢層」というより、要するに「気合いの問題」だ。
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コメント
IQ150以上じゃないと太刀打ちできないような、『東大王』と『NHK将棋トーナメント』が好きです(笑)
投稿: らむね | 2020年1月18日 09:59
いまのテレビは「自分たちが現役のうちは給料が減らないように、付焼刃的な番組でその場をしのいでいる番組制作者」が「とくに見たい番組があるわけじゃないけど、静かだとさびしいからなんとなくつけてぼうっと見ている」視聴者に向けて作っているので、そのどちらでもない人にはクソ面白くない(下品な表現スマソ)のでしょうね。まぁ私はとっくにテレビを見限っているのでどうでもいいですが。今風の言葉でいうとテレビは「オワコン」ですね。というか私はもうラジオも、ネエチャンの甲高い声が耳障りなので、あまり聴きませんがね()
投稿: 黒兎男爵 | 2020年1月18日 10:18
らむね さん;
[東大王」というのは、かなり前にどこかでメシ食いながら見たことがあるような気がします。
私のアタマの中身はかなり偏ってるので、「お茶の子さいさい」問題もあれば、「問題の意味を正しく理解するのさえ億劫」みたいなのもありました (^o^)
ちなみに将棋は、駒の動かし方を辛うじて知ってる程度ですので、街のオッサンたちの対局を見てもチンプンカンプンです ^^;)
投稿: tak | 2020年1月18日 13:13
黒兎男爵 さん:
なるほど。「テレビはオワコン」で済ませるのが手っ取り早いんでしょうね。
ほんのたまぁに、骨のある番組があるようですが、そんなのは見逃しても大抵再放送されるので、それを見れば OK。
なお、ラジオのオススメは、TBS ラジオの 「アフター 6 ジャンクション」。
ラップ・グループ「ライムスター」宇多丸さんがいろいろ語り尽くします。とくに映画の話題が秀逸。
私は「宇多丸は 21世紀の永六輔になれる」と言ってます。どっちもワセダの香りがするし (^o^)
投稿: tak | 2020年1月18日 13:24
今のテレビ番組はとにかく金をかけない。
特定のファミレスを借り切ってメニュー売れ行きベスト30を注文して当てる番組とかがよくあります。
こういう番組は番組そのものが店の宣伝をしているわけで、製作費は全額そのファミレス持ちでしょう。それどころか宣伝費を一時間に換算すれば億単位になるので相当な金額を貰っているのは想像に難くない。
真剣に語るべき時事問題をお笑い芸人が司会をしてるもんだから、議論が核心にはいると芸人が突っ込みを入れて話をぐちゃぐちゃにしてしまう。
何とか評論家もそんな番組でも出れば出演料が貰えるもんだから不本意ながら出てしまう。もう見る気も失せる。
通販番組が多すぎてこれもウンザリ。通販番組はとにかく甲高い声で早口でよく喋る。尤もこういうのはテレビ番組とは言わないのだろうが。
紅白何とかも内容がばかばかしいのでもう30年は見ていない。
一億総ハクチ化はテレビ番組がもう達成してしまった。
見えざる手がそうしてしまったのかも知れない。(ハクチはもう漢字では変換されない)
日本のテレビ番組はこの先どこに行くのだろう。
ラジオ番組もギャハギャハ大笑いしながらしゃべるのも苦手。朝の五時台の番組は静かに聞けるのでよく聞きます。
投稿: ハマッコー | 2020年1月18日 13:55
追記:久しぶりに見たシャボン玉ホリデーは凄い。
半世紀以上前にこんなすごい番組を視ていたんですね。
ミュージシャンもみな立派。ザ・ピーナツ、スリーファンキーズ、ダークダックスなどなどレヴェルが高い。
正に番組作りに気合が入ってましたね。
投稿: ハマッコー | 2020年1月18日 15:41
ハマッコー さん:
要するにテレビは「オワコン」ということで期待しないのが一番ですね。
ラジオはよく選んで聞くと、イケる番組がまだまだあります。
"シャボン玉 ホリデイ" みたいな番組を毎週タダで見られたというのは、今から思えば奇跡みたいな話ですね。
投稿: tak | 2020年1月18日 22:49