「因果は巡る」中国人の高級品爆買い
新型コロナウィルスによる肺炎の増加のあおりで、中国からの団体客が激減しており、ホテル業界や百貨店業界にとって大きな打撃になりそうだと、朝日新聞が伝えている。今や日本経済は中国人のインバウンド消費にかなり依存しているようなのだ。(参照)
すごいなあと思ってしまうのは、この記事に添えられたグラフの表す数字である。訪日客消費額 4兆8113億円のうち、36.8%にあたる 1兆7718億円を中国人が占めている。高級ブランドの売り上げとなるとさらに顕著で、次のように報道されている。
大丸心斎橋店では売り上げの3~4割を訪日外国人が占め、うち 9割以上は中国人による高級ブランドや化粧品などの購入だ。
まるでバブル期の日本人を思わせる猛烈な物欲である。
1980年代後半、日本人も「強い円」を背景に大挙して欧米に出かけ、高級ブランドを「爆買い」していた。実は当時、私も繊維業界の現役バリバリだったので、毎年のように欧米の各種展示会視察に出かけていたものだ。ブランド品の買い漁りだけは決してしなかったけどね。
出張は経費削減のため団体視察ツァーに混じることが多かったが、「ブランドもんは、どこに行ったら買えるねん?」という話ばかりに終始する業界内オッサンたちの世話を焼くのが、ものすごいストレスだったことを思い出す。オッサンたちは英語がからきしダメだから、一人ではメシも食えないのだ。
ちょっと買い物に付き合ってやれば、Nina Ricci のスカーフを鷲づかみにして「これって、ブランドもんか?」なんて聞いてくる。「あんた、それわからないで、よく繊維業界でメシ食ってられるな!」と言いたくなるのをグッと堪える。あの頃はまだ 30代半ばで、ツァーの中では「若手」だったしね。
バブル期のオッサン、オバサン(だけでなく、若い連中まで含めた日本人)は、外国に出るととにかく醜かった。一緒に道を歩くことさえイヤだったが、連中は、英語を話せる私を頼ってついて来たがる。「ガイド料払えよ!」と言いたくなるほどだった。
あの頃、日本の OL の 2人に 1人はヴィトンのバッグをぶら下げてたというから、あまり見たくない光景である。それが今、中国に移りつつあるわけだ。そして買い漁る市場は欧米よりも日本が主力である。
「因果は巡る」というのは、このことである。
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コメント
朝日のその記事、私も目にしていました。
逆に言えば、とうに壊滅的な売り上げ減となっているところを、中国人客のおかげで寿命が延びていたのでしょうね。
折しも、大沼という山形県唯一の百貨店が破産したというニュースも見ました。takさんは思い出があったりされるのでしょうか。
投稿: らむね | 2020年1月28日 02:49
らむね さん:
>逆に言えば、とうに壊滅的な売り上げ減となっているところを、中国人客のおかげで寿命が延びていたのでしょうね。
それは大いに言えますね。
>折しも、大沼という山形県唯一の百貨店が破産したというニュースも見ました。takさんは思い出があったりされるのでしょうか。
大沼は、山形県でも内陸の山形市ベースの百貨店でしたから、庄内に育った人間としては、実は全然思い入れがないんです。
酒田では「マリーン5 清水屋」の方がお馴染みです。ただ、これは日本百貨店協会に加盟していないので、「百貨店」という視点からはアウトサイダーっぽいですね。
昔は「清水屋」と言ってましたが、近頃は「マリン」なんて言われるようになったようです (^o^)
投稿: tak | 2020年1月28日 20:58
小田原にはその名も「小田原百貨店」というのがあるんです。ただ実際は普通の食品スーパーなんです。アウトサイダーどころかナントカ表示法違反になりそうです(笑)
実家の近所には無くて幼少期は存在を知らず、あるとき親戚の大人たちが
「夕飯どうする」
「オダヒャクでお肉買ってくるわね」
私「オダヒャクってなあに?」
「小田原百貨店のことよ」
私(すごい!百貨店だって!デパートのことだよね!!わあ、今日はすごくおいしいご飯なのかなあ・・・)
ちゃんちゃん
投稿: らむね | 2020年1月29日 00:23
らむね さん:
わはは (^o^)
酒田の「マリン」の方がまだ高級そう。
投稿: tak | 2020年1月29日 14:34