「葬頭河の婆」と「正塚婆」で盛り上がる
先日、友人たちとメシを食っている時に、昔のフォークソングの話題になり、「そうえいば『雨が空から降れば』なんて歌もあったなあ」なんて話につながった。
そこから、あの歌を歌ってたのは「六文銭」ってグループだったけど、「六文銭」って、そもそもどういうお金なんだ? ということになる。そして、そういう話になるとモロに私の出番である。
「六文銭って、三途の川の渡し賃だよ。その持ち合わせがないと、奪衣婆に着物を剥ぎ取られてしまうんだ。諸説あるけど」
「奪衣婆って、一体何だよ?」
「三途の川の岸にいて、亡者の着物を剥ぎ取って、木の枝に掛けるんだよ。亡者の業の重さによって、木の枝のしなだれ具合が違ってくるんだ」
「いやはや、tak ってそういう話に妙に詳しいなあ!」
フォークロアの宝庫、庄内の地で、祖父母のいる家で育ったこともあり、私は自分で言うのもナンだが、そういう話にはかなり詳しい。一昨年の春に "「葬頭河の婆」というのは?" という記事(上の画像)を書いほどである。
「葬頭河」というのは「しょうずか」あるいは「しょうずが」と読んで、いわゆる「三途の川」のこと。で、「葬頭河の婆」は、「奪衣婆」のまたの名である。
「ウチの田舎の庄内では、『葬頭河の婆』のことを年寄りたちが『しょずがのンバ』なんて言ってた」
そう言うと、大分県出身の友人が「あ、それ、聞いたことあるわ!」と言い出した。「ウチの田舎では『しょうづかばあ』って言ってた」
それを聞いて私は嬉しくなってしまった。
「おお、『しょうづかばあ』という地域も、結構あるんだよね。『正しい塚』で『正塚婆』と書くんだ。こういうことって、漢字表記はモロにテキトーだからさ。それにしても、『正塚婆』って言い方をナマで知ってる人間に、初めて出会ったわ!」
というわけで、「葬頭河の婆」と「正塚婆」で大いに盛り上がってしまったのだった。
| 固定リンク
「比較文化・フォークロア」カテゴリの記事
- 日本人は「赤・青・白・黒」以外の色のコンセプトが薄い(2021.04.06)
- 「太陽が赤い」というのは日本人だけということについて(2021.04.05)
- バレンタイン、スイートピー、スイーピーの三題噺(2021.02.13)
- キムチを巡る中韓対立(2021.01.20)
- 神道式の結婚式の歴史は案外新しい(2020.12.04)
コメント
「六文銭」と言えば、真田家か小室等か。
リンク先の記事にて「番茶も出花…」なんてコメントいたしましたが、三途の川など渡らなくとも「しょずがのンバ」と戯れていたいなぁと思う、ビミョーなお年頃のオッサンです。
だって、25歳でしょう?
投稿: 乙痴庵 | 2020年2月17日 23:54
乙痴庵 さん:
>だって、25歳でしょう?
「女の盛り」だそうです (^o^)
投稿: tak | 2020年2月18日 06:49
takあにいの解説つき「庄内フォークロア散歩」ツアーがあったら参加したいな!(≧▽≦)
投稿: 太陽系ちょうさいんくん | 2020年2月19日 00:27
太陽系ちょうさいんくん さん:
三日間ぐらいのツァーで、最終日に羽黒山に登ってからそのまま葬頭河の岸辺まで行き、「女の盛り」の奪衣婆に会って戻ってこれるんだったりしたら、最高ですね (^o^)
投稿: tak | 2020年2月19日 05:37
お忙しい最中のtakさんと、亡者のご対応でこれまたお忙しい「女の盛りのンバ」と、酒盛りできたらなぁ。
お忙しいから、「独りでどうぞ!」って言われても仕方がないかぁ。
投稿: 乙痴庵 | 2020年2月20日 01:31
乙痴庵 さん:
酒盛りとなると、はたして閻魔様が許してくれるかなあ (^o^)
投稿: tak | 2020年2月20日 09:51