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2020年3月 2日

「隔世の感」ということ

3日前の記事で触れた「バカヤロー解散」があったのは私が生まれて 7ヶ月目のことで、当然のことながらナマの記憶は全くない。

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父の生前の話では、当時の吉田茂首相のこの発言は決して怒鳴ったりしたわけではなく、ただ小さく呟いただけだったのを、たまたまマイクが拾ってしまい、野党が耳ざとく聞きつけて大問題になったのだという。冒頭のリンク先の Wikipedia の記述でもそんなようなことになっているから、これは確かなことなのだろう。

ということは、吉田首相も当時のマイクの性能向上に感覚が追いついていなかったのだね、きっと。今どきのマイクと比べたらオモチャみたいなものだったろうが、この当時の国会議員のオッサンたちには「無駄に性能よすぎ」というほどだったかもしれない。

ところがマイクの性能はそれまでより格段によくなっていたのだろうが、画像となるとそうはいかない。上に貼った「バカヤロー解散」時の「万歳三唱」の画像を見ても、なにしろフツーにモノクロだし、どうしても「昭和ってのは、既に大昔なんだなあ」と思ってしまう。

いや、昭和に限った話ではない。テレビの BS で再放送されるつい 10年ぐらい前のビデオ映像を見ても、やはりかなりドンくさい。こればかりは画素数が段違いなのだから、どうしようもない。

ビデオ映像といえば、昭和のテレビ録画なんてまともにはほとんど残っていない。例えば伝説の人形劇、NHK の「ひょっこりひょうたん島」なんて、なんと NHK の資料室にさえ残っていないのだそうだ。当時の録画媒体(ビデオテープなど)は貴重だったので、のべつ録画して取っておくわけにもいかなかったようだ。

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YouTube でなんとか見られるのは、上の写真からリンクされる 1本ぐらいのものだ。今のテレビ番組なんて、どんなくだらないものでも何度も再放送できるほど録画されているというのに。

それだけではない。一世を風靡したあの「シャボン玉ホリデイ」だって、今年 1月 18日の記事で紹介した、下の 1本ぐらいしか見ることができないのだ(クリックで YouTube に飛ぶ)。何しろほとんどが生番組だったのだから、まさに 1度きりで後には残らない夢のようなものだったのである。

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ちなみに「バカヤロー解散」の時の恒例「万歳三唱」の録画はニュース映像で見たことがあるが、問題の「バカヤロー」発言そのものは、録音でも動画でも、聞いたことも見たこともない。こうした「ハプニング」を記録するために記録媒体を回し続けるなんて、当時はあり得ないことだったのだろう。

翻って今どきは、安倍首相がお気楽なニヤニヤ笑いで「意味のない質問だよ」と放言する、ノー天気な場面ですらちゃんとエビデンス動画として残っていて、誰でも YouTube でしっかり確認できる。しかも画質の良さは、大昔感漂う上の 3つとは異次元的な違いだ。

2003025これほどまでに技術の発達した世の中に生きていると、伝説の「バカヤロー」を見ることも聞くこともできないという事実に現実感が伴わない。「隔世の感」とはよくぞ言ったもので、感覚的には既に 100年以上経っているような気がするほどだ。

正直言って、技術的進歩はもういいわ。

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コメント

>正直言って、技術的進歩はもういいわ。

まあ、takさんくらいの年齢になればそれで良いのだと思いますが(笑)。
私の歳といいますか、子どもに教えているとそうもいかないわけで。

「勉強なんかこの世から無くなればいいのに」に対する答えはいろいろありますが、その気持ちが最も強く、頭の中のほとんどがテレビゲームのような10代前半のガキんちょ(失敬!)に対してだとこんな感じです。

「いいか、30年後、君は42歳だ」
「うん」
「結婚して子供も、多分いる」
「うん」
「その子供にこう言われたりするわけだ。『ねえお父さん、どうしてゲームは30年前と同じのしか無いの?』」
「ん?」
「君はこう答える。【それはね、お父さんたちの世代はね、勉強というものを全くしなかったんだ。だからね、コンピューターのことも誰も分からなくてね、新しいゲームを作ることはできないんだ】」
「う・・・」
「『お父さんたちバカじゃん!なんで勉強しなかったの!!僕たちはそうならないようにちゃんと勉強するよ!!ばーか』」
「うぅぅ・・・・・・」

勉強と真逆のゲームを使ったこの小咄は、なかなかガキんちょ(再び失敬!)の心に刺さるようで、我ながらうまく出来たものです(笑)。

投稿: らむね | 2020年3月 3日 12:35

らむね さん:

なるほど、秀逸な喩えであります。お見それしました。

投稿: tak | 2020年3月 3日 18:05

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