別の美学(alternative sense of esthetics)
例の新型コロナウィルスの影響で、どこもかしこも人出が少ない。先日、用があって有楽町に行って来た妻の話によると、都心もガランとしていて、いつもとは全然様相が違っていたらしい。
「有楽町の駅前ビルの前に靴磨きのおじさんたちがいて、いつもは行列ができてるのに、今日はたった 1人だけが磨いてもらっていて、残りのおじさんたちは手持ち無沙汰にしてたのよ」と言う。
「へえ、いつもは靴磨きで行列ができてるの?」
「とくにお昼休みの時間帯なんて、結構並んで順番待ちよ」
「靴ぐらい、自分で磨きゃいいのに」
「やっぱり、プロにやってもらうと違うのよ」
という会話があって、私はこの年になって自分の知らない世界がフツーにあることを知ったのである。列に並んで金を払ってまで靴をピカピカにしてもらいたい人がいるとは、実感的にはほとんど理解できない。
私としては自分の靴をまともに磨くなんて、半年に一度あるかないかだろう。磨くにしてもなんだかこっぱずかしいから、敢えてことさらピカピカにはしない。上の写真は仕事に出かけるにも履いている靴だが、見るからに「ドタ靴」で、つま先なんて色が剥げ落ちてるしあちこちに小さなシミがある。
思うにピカピカの革靴が似合うのは、りゅうとしたスーツにネクタイを締めて、髪はきっちりとドライヤーでセットされた、どっかの IT 企業の社長みたいな人である。スーツとネクタイが嫌いで、ヘアスタイルなんて朝起きた時からの成り行き任せという私のような男には、絶対に似合わない。
というわけで私としては、靴磨きのおじさんの前に座るなんて、なんとなくコワいというか気が引けるのである。多分死ぬまでドタ靴で過ごすことになるだろう。これはむしろ、靴に関する「別の美学」(alternative sense of esthetics)なんだろうと思う。
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コメント
有楽町のビルの下だったか、紳士然とした男たちの行列を私も見たことがあります。一体何のために並んでるんだろうと不思議に思い、列の先頭を見るとそこには靴磨きのおじさんが。
列を作っている男たちの靴を見ると既にピカピカじゃありませんか。磨く必要ないじゃん、それ以上ピカピカにしてどこに行くのと不思議に思いました。
これから一勝負に出るのは間違いないでしょう。銀座のクラブで取引先との接待に備えてるのか。まぁそんなところでしょう。
15人は並んでたから、ひとり3分としても…ご苦労なことです。東京ってすごい所だな思ったうちの一つです。
私が持っている靴は三足です。
一足目はスニーカー。
二足目はスニーカーじゃまずいだろうと状況に対応したもの。
三足目は冠婚葬祭用。
その二足目がTakさんの靴とデザインがそっくりなのでびっくりしました。滅多に履かないのでもうすこしきれいですが。
投稿: ハマッコー | 2020年3月 8日 21:56
ハマッコー さん:
靴は 3足で十分ですね。
私も、写真の靴以外は、スニーカーと冠婚葬祭用です。
写真タイプは使い勝手がいいんですよね (^o^)
投稿: tak | 2020年3月 9日 02:13
日本にもまだ靴みがきの仕事があるんですね!!
宮城まりこさんの歌を思い出しました~あはは
写真の靴!とってもすてき!
隠れスタイリストのtakさんですから
素敵にちがいないですよね?
投稿: tokiko | 2020年8月13日 08:21
tokiko さん:
正真正銘のドタ靴ですよ。
「隠れスタイリスト」とは、お恥ずかしすぎます ^^;)
投稿: tak | 2020年8月13日 13:42