安倍首相の「ルイ 16世」発言、実は国会全体の恥だよね
昨日の衆議院厚労委員会で共産党の宮本徹議員が、元検事総長らが出した意見書の中の「ルイ14世の言葉として伝えられる『朕は国家である』との中世の亡霊のような言葉を彷彿とさせる姿勢だ」という一文を紹介して、安倍首相の政治姿勢を批判。その後のドタバタが話題になっている。
本日付朝日新聞の実況的(?)記事(参照)によると、コトの発端は要するに宮本議員のこの批判的質問である。これに対して当の安倍首相は「ルイ 16世と同じとまで言われると、多くの方々はそれは違うのではないかと、いうふうに思われるのではないかと思うわけでございます」なんて答弁している。
安倍さん、「ルイ 14世と 16世の違いをわかっていないみたい」というのがバレバレになってしまったが、それ以前に答弁のコンセプトとしても、あまりにも芸がなさ過ぎでおもしろくもなんともないし、日本語の使い方も下手くそ過ぎる。とにかく聞いていて「啞然」である。
そしてこの「啞然」とともに驚きなのが、ビデオ(上に埋め込まれた動画の 8分 40秒あたりから先)を見る限りでは、この言い間違いに対して議場が全然反応していないということである。フツーの感覚なら少なくともかなりザワつくか、「16世じゃねえよ!」ぐらいの野次が飛んでしかるべき場面なのに。
少なくとも、当の質問者である宮本議員ぐらいはちゃんとツッコミを入れてしかるべきだったと思うのだが、どうも質問の様子を拝見したところでは、この人自身も、自分が何を言っているのかよくわかっているようには見えないのだね。どっちもどっちである。
要するに、「ルイ 14世と 16世の違いをわかっていないみたい」というのは、何も安倍さんばかりじゃなくて、昨日の議場にいた多くの先生方も同様だったみたいなのだ。いやはや、実は「国会全体の恥」が、一瞬で浮き彫りにされてしまったわけなのだね。
ルイ 14世と 16世の対照的なまでのキャラの違いは、高校の西洋史の授業をボンヤリ程度でいいから聞いていれば、少しは印象に残っているはずだがなあと思ってしまう。片や「偉大なる太陽王」で、片や「錠前作りが唯一の趣味の、凡庸なオッサン」というのは、よく知られたイメージのはずだ。
まあ、よくよく調べてみれば、人間のキャラというのはそんなに単純に割り切れるものじゃないというのがわかるが、一般にはそんなイメージが定着している。そしてさらに、最も「うぅむ!」と唸ってしまうのは、16世の妻、マリー・アントワネットと昭恵夫人という「できすぎ共通項」だ。
これ、笑ってしまうほかないお話だし、安倍首相夫妻はギロチンになんかかかりそうにないので、これ以上深くは突っ込まないでおくことにする。
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コメント
14と16の違いも分からないということは、現代民主制度のもっとも象徴的な出来事であるフランス革命のことも良く分かってないってことなんでしょうね・・・
桑原桑原
投稿: らむね | 2020年5月23日 23:50
いつもの「ご飯論法」なのかと一瞬思ってしまいました。
まあ、そんなわけないか。
投稿: るー | 2020年5月24日 11:09
らむね さん:
本当に、ちょっとでも知っていれば、14世と 16世は間違わうはずがないと思いますよね。
ただ心理学的に考えると、無意識の領域で、自分と 16世の共通項がかなりひっかかっていたのかもしれません ^^;)
投稿: tak | 2020年5月24日 20:15
るー さん:
「同じとまで言われると、多くの方々はそれは違うのではないかと、いうふうに思われるのではないかと思うわけでございます」という部分は、かなり(下手くそな)ご飯論法のスタイルではありますけどね ^^;)
投稿: tak | 2020年5月24日 20:27