人は誕生日の前日に年を取るわけなのだが
ほぼ 15年半も前に ”「早生まれの込み入った事情” という記事を書いて、その中で「早生まれ」というのは、3月 31日までではなく、4月 1日生まれまでであるということについて書いた。これはこれで十分に正解なのだが、関連でさらに込み入った事情が判明したのである。
この記事の中で私は、民法によれば「人は誕生日の前日に歳をとってしまう」のだというようなことを書いた。それはそれで間違いではないのだが、さらにちょっと面倒な解釈が必要とわかったのだ。これは、この記事に最近になって付けられた らむね さんのコメントのおかげである。
この規定は民法第 143条にあるのだが、その文面は、人の年齢を含む「期間」の満了について「其起算日ニ応当スル日ノ前日ヲ以テ満了」となっている。つまり、4月 1日生まれの人は誕生日の前日である 3月 31日の時点でそれまでの年齢を満了し、1つ年を取るのである。
この条文には時刻については何も触れられていないので、私は「前日になった途端に年を取るのだろう」と解釈していたのだが、実は違っていたようなのだ。というのは、民法 第 141条に「期間は、その末日の終了をもって満了する」とあるのである。
「その末日の終了をもって」というのだから、その日の 24時(つまり真夜中の 12時)を以て終了するのだ。ここが厄介なところなのだが、翌日の 0時(午前 12時)ではなく、前日の 24時ということなのだ。
というわけで、4月 1日生まれの人は、その前日の 3月 31日 23時 59分 59秒 99999・・・ までは年を取らず、24時になったとたんに年を取るというのである。よく考えればナンセンスな話で、「前日の 24時って、当日の 0時とどう違うの?」と聞きたくなってしまうが、それは言わない約束のようなのだ。
このあたり、指摘してくれた らむね さん自身も「つじつまが合っているような、煙に巻かれたような、モヤっとする話」とコメントしておいでだが、まあ、しょうがない。ということで 15年半以上も経ってから、こうしてビミョーな訂正記事を書いている次第なので、よろしく。
それにしても、例えば午前 9時ちょうどに生まれた人なら、誕生日の前日の午前 9時に年を取ることにしてもいいのにね (などと、まだ往生際の悪いことを言うわけだが、生まれた時刻の記録なんて、戸籍にないしね)。
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コメント
「うるう年」があるからこうなったのでつね!(わかったつもり)
投稿: 太陽系調査員くん | 2020年7月28日 15:53
太陽系調査員くん さん:
うぅん・・・
うるう年がなくても、多分同じだと思うんですが。
投稿: tak | 2020年7月28日 19:14
初めて投稿させていただきます。
翌日の0時か前日の24時(午後12時)かに関して。
ご存じのように、国の予算は衆院から参院に送られて30日以内に議決しないときは自然成立しますが、衆院事務局では成立時期を問われた場合は「30日目の午後12時の経過とともに成立する」と答えるようにしているとのことです。理由としては、翌日の0時として、30日目がたまたま国会の最終日だった場合に会期外に成立したとの誤解(疑念)を招くことを避けるためだそうです。同じことを言うにしてもなかなか難しいものですね。
投稿: 茨城生まれのかばさん | 2020年7月28日 23:05
〇〇歳の全単位を最後の一瞬まですべて取得した時点でその年齢を修了し、次の年齢に進む……ぐらいの感覚で捉えればいいんじゃないでしょうか。ある種のビデオゲームをやる人間から見ると、あんまり違和感がないどころかわりとしっくりくるところだったりします。
まあ、この手の条文というのはあらかじめ感覚的に決まっているものをバグが出ないよう法律上で実装するためのコードみたいなものであって、プログラムの処理自体に意味を見出すものじゃないんでしょうけれども。
投稿: 柘榴 | 2020年7月29日 05:07
茨城生まれのかばさん さん:
どうやら、期限の最終日の午後12時というのは、こうしたことのお約束のようですね。
それが文言上で一番差し障りのない規定なんでしょう。
投稿: tak | 2020年7月29日 21:08
柘榴 さん:
>この手の条文というのはあらかじめ感覚的に決まっているものをバグが出ないよう法律上で実装するためのコードみたいなものであって
これは、なかなかうまい言い方で、納得しやすいですね。
投稿: tak | 2020年7月29日 21:10
私、へその緒が収められたその小さな箱の裏に、誕生日はもとより、その時刻、身長体重、胸囲頭囲が記載されているものを所持しておりまして、このために勝手ながら、その時刻をもって年齢を加算させていただいております。
逆にこういうモノ(情報)がハッキリしている方が珍しいんですかねぇ?
投稿: もりけん | 2020年8月 1日 03:51
いやこれ、閏年があるからですよね。
当日0時だと2/29生まれの人が4年に1回しか年を取れなくなってしまうので。
前日24時の終了としておくことで2/29生まれの人も2/28が終了したら年を取れる。
投稿: 重箱の隅 | 2020年8月 1日 04:04
もりけん さん:
そういえば母の言うには、私のへその緒というのもちゃんと取ってあるということだったんですが、ついぞ見たことがありません。
ウチの 3人娘のへその緒もどこかにあるはずなんですが、さぁて、どこにあるのか、探すのも面倒になっています。
もりけん さんのようにしっかりと保持されているというのは、珍しいかもしれないと思った次第ですが、さて、実際のところはどうなんでしょう。
もしかしたら、「えっ、そんな大事なものの所在がわからなくなってるなんて、ひどいんじゃないの?」なんて非難されてしまう可能性もありますね ^^;)
投稿: tak | 2020年8月 1日 15:53
重箱の隅 さん:
なるほど、そう考えればそれが理にかなってますね。
失礼しました。
投稿: tak | 2020年8月 1日 15:54
おおお!これかなり前から何度かコメントしたことがあったのですが、
庄内さんにご理解いただけたようで嬉しいです!
( ´ ▽ ` )ノ
投稿: ひろゆき王子 | 2020年8月 1日 19:43
ひろゆき王子 さん:
理解が遅くて済みませんでした ^^;)
投稿: tak | 2020年8月 1日 21:03
takさまごきげんよう~
私1941年生まれの時代はまだ
お正月に年を取るというのが一般的でした。
私が12月の末頃に生まれたので、
親から
「この子はすぐに一歳になってしまうから可愛そうだ」
と、皆が言ったと聞かされました。
投稿: tokiko | 2020年8月 2日 18:25
tokiko さん:
生まれて 1週間ぐらいで 1歳というのも、ちょっとびっくりですね。
そういえば、同級生に 3月 29日だったか 30日だったかの生まれの女の子がいて、だいぶ年長になるまで、みんなに「かわいい妹」扱いされてました (^o^)
投稿: tak | 2020年8月 2日 20:16