熊本豪雨のニュースで思う
今回の豪雨で、熊本が大変なことになっている。私は熊本には何度も訪れていて、知り合いも結構多いので心配で仕方がないのだが、下手に電話しても混乱を生じさせるばかりなので控えている。まあ、知り合いのほとんどは熊本市内なので、なんとかなっているだろうとは思うが。
上の写真をクリックすると西日本新聞の「熊本豪雨、17人心肺停止 球磨川は8カ所氾濫」という記事に飛び、上から 2番目の画像をクリックすると、動画がスタートする。とにかく濁流が橋の上を流れるという惨憺たるありさまである。
今回の豪雨も予報では「数十年に一度の豪雨」なんて表現されていたが、近頃は同じ「数十年に一度」という触れ込みの大雨が毎年あるような気がしている。3年前の今頃、 ”「数十年に 1度の大雨」 が、1年に何度もある時代“ なんていう記事を書いているのを思い出した。
さらにその 4年前の 8月には、"「20年に 1度の大雨」から「経験したことのない大雨」に" なんてタイトルの記事まで書いていて、今回の豪雨も気象庁は 4日午前の記者会見で「これまでに経験したことのない大雨になる」と表現していた(参照)。ちなみにこの表現も、近頃は毎年聞く気がする。
つまり日本の気象は、既にこれまでの常識にかからなくなっているということで、経験知が頼りにならないことを意味する。「これまでだって大丈夫だったんだから」とか、「いくら大水でも我が家まで水は来ないと、ジイさんの代から言われてる」といった言い草が、もはや通用しないのだ。
今回の豪雨でも、逃げ遅れた人が屋根の上に避難している動画が嫌と言うほどニュースで流れた(参照)。「どうしてこんなことになるまで避難しないでいたのだろう」と思われるだろうが、私は 2年前の今頃、"そもそも、水害が差し迫っても「人は逃げないもの」らしい" という記事を書いている。
実は私自身、1986年 8月の豪雨(参照)で、近所の高台の中学校に一家で避難した経験がある。この時は、幼い娘 2人に、3人目を妊娠中の妻と犬 1匹を連れての避難だった。我が家の被害は床下浸水止まりだったが、今でも「あの夜は安心して寝られただけ、避難してよかった」と思っている。
この経験からも、「大雨で避難勧告が出たら、迷わず逃げる方がいい」とオススメする。死なないまでも、水に浸かったせいで低体温症なんかで病院に担ぎ込まれたりするよりずっといい。
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コメント
人の情が無いようなことを言いますが、大きく防げた被害だと思います。
現在人吉市のHPやハザードマップが相当見づらい状態ですが(サーバーダウン?)、これがそうだと思います。
https://twitter.com/hashtag/%E3%83%8F%E3%82%B6%E3%83%BC%E3%83%89%E3%83%9E%E3%83%83%E3%83%97
(ツイッターを使わないもので不慣れです。リンクの貼り方が間違っていたらすみません)
今回浸水したところ、真っピンクです。多くの犠牲者が出た老人ホームも範囲内です。
人吉市の大雨洪水警報が3日22時~23時ごろ、球磨川氾濫が4日8時ごろのようです。「怖いわねえ」でなにもせずそのまま床につき、惨状になったと予想できます。
TVで「まさかこんなに水がくるなんて」みたいなことを言っている住人もいましたが、被災者の方にはとても申し訳ないのですが、私なぞはもう「何を言っとんのや」と思ってしまいます。とっくの昔に予想されてますよ、公務員はちゃんと仕事してますよ、と。
数年前の球磨川の洪水対策事業の資料も見つけました。
http://www.qsr.mlit.go.jp/yatusiro/site_files/file/activity/saikouchiku/0623saikouchikushiryou3.pdf
これをみると、昭和・平成だけで洪水11回・流出家屋2400軒・浸水は数えるのも嫌になるほどの被害が出ています。平成になってからは甚大な被害は無いようですが、多分マシな堤防が出来たんでしょう。でも今回の様に一旦超えればもうそこは濁流渦巻く池の中です。
ここ10年ほど、毎年のように酷い水害のニュースがこれでもかというほど流れています。最低でも自分の家が浸水・土砂災害地域なのかどうか、なんの確認すらしないなんて、私には信じられません。
(思うままに書き殴ってしまってすみません)
投稿: らむね | 2020年7月 6日 00:30
らむね さん:
とにかく本文でも触れてますが、よほどの災害が差し迫っても、「人は逃げない」もののようなのです。
「正常化の偏見」ってやつが邪魔をして、「まあ、大丈夫だろう」と思いがちなのですね。
私だったら、「大丈夫かも知れないけど、対策はしておいて損はない。安全な避難所に逃げてぐっすり寝る方がいい」と思ってしまうのですが、多くの人はそう思わないのですね。
投稿: tak | 2020年7月 6日 06:20