肉を食うのは環境によくない
豚や牛などの肉を食うのを控えるようになって 6〜7年、そして完全に止めてから 3年ほどになる。動物性の食べ物を一切食べないのは「ヴィーガン」だが、私の場合は魚や虫(イナゴとかね)は食うので「ペスカテリアン」である。
HUFFPOST は昨年 9月に「肉を食べることは環境に悪影響? デンマーク、スウェーデン、ドイツが食肉税を検討するワケ」という記事で、次のように伝えている。
多くの先進国では肉離れの動きが広がっています。国連が委託した最近の報告書では、食肉消費量を減らすよう勧める政策のほか、気候変動緩和対策の一環として菜食中心の食事が推奨されています。
肉食が盛んなのは先進国というのは、既に時代遅れの考えとなりつつある。このニュースでは「ドイツ、デンマーク、スウェーデンなどの国では食肉税が検討され、肉を食べる人は非難の矢面に立たされています」という。
食肉用の家畜を育てるには膨大な土地、飼料、水が必要とされる。さらに国連食糧農業機関(FAO)によると、畜産業は人為的に排出される温室効果ガスの約 15%に相当する年 7.1ギガトン(CO2換算)を排出している。つまり、肉食は環境破壊に加担することになるのだ。
このため、検討されている食肉税のようなものは、たばこ税などとともに「罪の税」と呼ばれ、公衆衛生と健康を促進するものと考えられている。しかし一方では、「低所得者層に不公平な負担がかかる」として反対する主張もある。
これ、注目である。先進国における「食肉税」の「低所得者層に不公平な負担がかかる」という認識は、極端に言えば「肉は貧乏人の食い物」になりつつあるということだ。もはや日本の金持ち連中も、高級牛肉をありがたがって血の滴るようなステーキなんて食ってる場合じゃない。
肉食と畜産業が温暖化ガスを増加させる要因となっているのは確かなことだが、「強力な既得権者と権力中枢の存在が、食生活の変化に関わる政治経済を極めて困難にしている」とも言われている。つまり「お肉大好き」な保守層が、畜産業を保護したがっているわけだ。
私は「健康のためなら命も惜しくない」というパラドックスをよく引き合いに出すのだが、「肉を食うためなら命も惜しくない」では、洒落にもならない。
「食と環境」の問題を自覚的に考えるならば、肉食を減らすことが望ましいというのは当然の結論だ。個人的にはペスカテリアン仲間が増えることを強く望んでいる。
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コメント
>先進国における「食肉税」の「低所得者層に不公平な負担がかかる」という認識は、極端に言えば「肉は貧乏人の食い物」になりつつあるということだ。
これ、違うと思います。消費税の議論でよく出てくる、低所得者ほど税負担割合が大きいという意味で、記事は書かれていると思います。
投稿: らむね | 2020年7月 9日 21:47
らむね さん:
ええと、そこは十分承知の上の、「極端に言えば」の暴論です (^o^)
というのは、高所得者層は菜食に移行しつつあるので、マスとしてとらえたところの肉食者としては、所得者層の比率が高まりつつあると読み取ることも可能なので。
間接税においては比較上、弱者負担が大きいというのは言うまでもないことですので、敢えてさりげなく暴論を書いてみました。
投稿: tak | 2020年7月 9日 22:02
オーストラリア6754万、モンゴル2785万、ニュージーランド2785万、この数字は飼育されてる羊の頭数です。
この三国だけでも合計1億2324万頭の羊が飼育されてる。
世界では10億560万頭に上る。
羊一頭当たり年間18キロのメタンガスを排出する。
これに10億560万を乗じると≒1810万800㌧になる。
メタンガスの温室効果は二酸化炭素ガスに25倍あるので、4億5252万㌧(CO2換算)に達する。
羊は食用にも飼育されるが、羊毛の為にも飼育される。
今は牛肉ばかりが環境に悪いとされるが、次は羊も問題視されるだろう。羊毛製品は使わない様にという運動がおこるかも知れない。アパレル業界も変革にせまられる。
環境を守るということは産業構造さえ変えてしまう。人類はそれができるのか。
投稿: ハマッコー | 2020年7月12日 08:34
ハマッコー さん:
実は私、30年以上前に羊毛業界で数年メシを食ったことがあります。
当時、羊毛業界は「ウールはエコな繊維」とキャンペーンしていました。羊の排出する温暖化ガスについての知見はあったのですが、業界として意識的に無視していたように思います。
こうした欺瞞の上でスーツやセーターなどに羊毛を使いまくるのは、もう通らない世の中になりました。どう考えても羊毛消費は減らす方がいいですね。
メンズのビジネス・スーツにおいては、ウールが定番ですので、「会社でもスーツなんて着ない」という世の中にしていくのがいいと思っています。
時間がかかりそうですが。
投稿: tak | 2020年7月12日 18:50