久しぶりの『般若心経』
今月 10日の「玄米に味噌汁・漬物だけの、至高のグルメ」という記事に、「一日に玄米四合と、味噌と少しの野菜を食べ」というフレーズからの連想だろうが、らむね さんが「この自粛期間で円周率100桁、寿限無、徳川歴代将軍、雨ニモマケズ、をコンプリートしました!」とコメントしてくれた。
大したものである。私も「寿限無」(「寿限無寿限無五劫の擦り切れ・・・」で始まる長い名前)なら小学生の時にモノにしていて、『雨ニモマケズ』は今からでも頑張れば何とかなると思うが、ほかは全然ダメだ。円周率なんて小数点以下 18桁より先はどうして覚えられるのか見当も付かない。
で、あまりにも情けないのでほかに何かないかと考えてみると、『般若心経』があるじゃないかと思い当たった。僅か 300字足らずの短いお経だから、暗唱している人は世の中にいくらでもいて、とくに自慢にもならないが。
私の父は折に触れて『般若心経』を唱える曹洞宗の寺の息子として生まれ、浄土真宗を宗旨とする私の実家の婿養子となった。そして亡くなる前に「死ぬのはちっとも構わないが、ただここは浄土真宗の家だから、あの世へ行って『般若心経』が聞けないのはちょっと淋しい気がする」とこぼしたことがあった。
ちなみに『般若心経』はどの宗旨にも共通するお経と思っている人が多いが、実は浄土真宗ではあまり唱えない。「絶対他力」を旨とする真宗としては、「あれは『自力本願』のお経」という位置付けなのだと、どこかでチラッと聞いたことがある。
その時、私は「大丈夫、大丈夫。俺が時々こっそり『般若心経』誦げるから、安心してあの世に行っていいよ」なんて言ったのである。まったく妙な請け合い方をしたもので、親孝行なんだか不孝なんだか知れたものじゃない。
そんなわけでお盆ということもあり、父の遺影の前で久しぶりに『般若心経』を誦げた。
ところが最初の「摩訶ァ 般若波羅密多心経ォ〜〜〜」と唱えた時点で、「しまった。これ、ずいぶん久しぶりだから、途中で詰まったりカンじゃったりしたら、親父に申し訳ないな」と思ってしまった。「経本を開いとけばよかった!」
しかし、つい空で始めてしまったからには仕方がない。そのまま「観自在菩薩 行深般若波羅密多時〜」と続けていくと、まあ、何とか自然に出てくるものである。やはり一度体で覚えたことというのは強い。最後に近い「羯諦羯諦」(ぎゃーていぎゃーてい)まで辿り着くとホッとした。
そして「般若ァ心経ォ〜」で、めでたくフィニッシュ。生前はちっとも孝行らしい孝行はできなかったから、今さらながらせめてもの償いである。
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コメント
なるほど、般若心経ですか。さすがですねえ。
実を言うと、「雨ニモマケズ」の最後はお経で終わるのですが、そこに苦戦しています(ほとんどの人はそこにお経があるのも知らないだろうから手抜こうかなw)。
うちは浄土真宗なので確かに法事で般若心経を聞いたことは無いですねえ。ということは覚えてもまず使わない、うーん・・・
あ、調べたら真宗のお経で重誓偈というのが短くて覚えやすいようです(といっても般若心経ほどありますが)。お彼岸までになんとかしてみようかと思います。
投稿: らむね | 2020年8月15日 22:42
らむね さん:
>実を言うと、「雨ニモマケズ」の最後はお経で終わるのですが、
本当だ、知らなかった!
最後の部分、ほとんどの国語の教科書では、カットされちゃってますね。なんとまあ!
「重誓偈」というのは、聞いたことだけはあるような気がします。なかなかいいですね!
投稿: tak | 2020年8月15日 23:05
>実を言うと、「雨ニモマケズ」の最後はお経で終わるのですが、
本当だ、知らなかった!
最後の部分、ほとんどの国語の教科書では、カットされちゃってますね。なんとまあ!
わあ~
私も初耳ですぅ~知りませんでしたぁ~~
投稿: tokiko | 2020年8月17日 05:05
tokiko さん:
これ、作者の意図を冒涜することになると思うんですがね。
「宗教押しつけにつながるんじゃないか」なんて、余計なことを気にかけてるんでしょうけど、愚挙ですね。
投稿: tak | 2020年8月17日 07:48