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2020年8月31日

「カガ/チガ」じゃなかった、「蚊/血」に見る二律背反

昨日、クルマを運転しながらラジオを聞いていたら、「娘が『蚊』を『カガ』というものと間違えて覚えていた」という聴取者からの便りが紹介され、ほのぼのと笑ってしまった。

200831

投書者の娘さんは小学校 6年生の時、学校で「『カガ』に刺されちゃった」と口走り、先生に「それは『カガ』じゃなく『蚊』よ」と教えてもらったのだそうだ。それまで親としては「蚊が!」と言うばかりだったので、娘さんは、あのプ〜ンと飛んでくる虫の名を「カガ」と思い込んでいたようなのである。

それを聞いて、我が家でも長女が幼い頃に怪我をして「『チガ』が出ちゃった。『チガ』が、『チガ』が!」と焦っていたのを思い出してしまった。それまで我が家では「血が!」と言うばかりだったので、長女は幼心に、傷口から滲むのは「チガ」というものと勘違いしていたようなのだ。

げに恐るべきは「一音節の名詞」である。

と、それで済めば単なる笑い話だが、「蚊」と「血」からの連想ゲーム的に、昨年の東洋経済 ONLINE で読んだ「蚊を叩き潰して血を見た人が知らないドラマ 彼女は子どものために命懸けで侵入してきた」という記事を思い出してしまった。蚊には蚊の、涙ぐましいまでのドラマがあるようなのである。

アカイエカの中でも人間の血を吸うのはメスに限られる。卵の栄養分として人間の血のタンパク質を得る必要があるからだ。そのために危険を顧みることなく屋外から家の中に忍び込み、人の皮膚に穴を開けて血を吸い、さらにその血で重くなった体にむち打って屋外に戻り、産卵しなければならない。

これは小さなメス蚊にしてみれば、途方もないリスクを伴う涙ぐましいまでのミッションだ。彼女の身になってみれば、キンチョーなんかセットして澄ましているのは鬼のような所業である。そう思うとなんだか、蚊が愛おしくさえなってしまいそうだ。

とはいえ今月 28日の記事でも書いたように、人間にとって最も危険な生物はほかならぬ「蚊」であるというのだから、どちらか一方だけの都合でものを考えるというのは、これまたリスキーなのだね。

世の中は二律背反の論理に溢れていて、なかなか厄介である。

 

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世間話」カテゴリの記事

コメント

きゃあ~
私の甥っ子も小さなころ、蚊がが~~
と叫んでいました。
蚊 ではなく、蚊が  と認識していました~~
同じですねぇ。懐かしいです。
彼ももうかれこれ60才になったかしら?あは‥

投稿: tokiko | 2020年8月31日 21:08

tokiko さん:

「カガ」は珍しいことじゃないみたいですね (^o^)

一音節の名詞は、こうした紛らわしさをなくすためか、余計な音を付ける傾向があるみたいです。

「尾」→「尾っぽ」
「酢」→「お酢」
「背」→「背中」
「田」→「田んぼ」
「手」→「お手々」
「根」→「根っこ」
「葉」→「葉っぱ」
「目」→「お目々」

とか (^o^)

投稿: tak | 2020年8月31日 21:32

お酢は丁寧語では・・・

中国語も同音異字が多く、1文字名詞に「子」を付ける傾向がありますね。日本語でも餃子・男子・女子・椅子・扇子などはその名残でしょう。
だから何歳でも「女子」で良いのです。80歳のおばあさん同士が公民館でお茶を飲んだら「女子会」で良いのです!(違うかw)

投稿: らむね | 2020年8月31日 22:43

らむね さん:

>お酢は丁寧語では・・・

何しろ一音節で済ませないためなので、丁寧語だろうが何だろうが、手段を選ばないのです (^o^)

>中国語も同音異字が多く、1文字名詞に「子」を付ける傾向がありますね。

そういえば、東北弁でも「コ」を付けたがります。

甚だしくは、「子牛」のことを「べこっこのこっこ」とか。

>80歳のおばあさん同士が公民館でお茶を飲んだら「女子会」で良いのです!

なるほど。何歳になろうが、いわゆる「女子会」の雰囲気というのは不滅ですものね (^o^)

投稿: tak | 2020年8月31日 23:50

耳元にプーンと飛んでくる音と、刺された後の痒ささえなければ、少しは刺されてやってもいいのに、と思ってしまいます。感染症は困るけど。

投稿: 山辺響 | 2020年9月 2日 08:46

山辺響 さん:

>刺された後の痒ささえなければ、少しは刺されてやってもいいのに、と思ってしまいます。

私もこれについては同様に思っていましたが、考えを改めました。それについては、10年ちょっと前に書いた通りです (^o^)

「しかし、それは間違いだと気付いた。蚊が血を吸った後に、かゆみの元になる物質を残していってくれなかったら、人間は蚊に対して無頓着になってしまう。寝ているうちに蚊の大群に血を吸われまくっても、かゆくなかったら気付かない。失血死まではしないだろうが、目が覚めたら貧血になっていたなんてことがあるかもしれない」


「かゆくなるからこそ、血を吸われまいと思うのだ。とすれば、それもまた福音である。蚊の方でも、貴重な血の供給源である人間がちゃんと健康で生き残ってくれるように、吸い過ぎたらぴしゃりと叩きつぶしてくれるように、かゆみの元になる成分を残すのだ」

つまり、痒くなるおかげで、バランスが保たれているようなのであります (^o^)

https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2010/07/post-ae27.html

投稿: tak | 2020年9月 2日 13:22

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