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2020年9月14日

「カメラ・アイ」と「レコーダー・イヤ」

世の中には「カメラ・アイ」という能力をもつ人間がいるらしい。まるでカメラのように、見たものを瞬時に画像として記憶にとどめることができるので、例えば本のページを見た瞬間にそのまま記憶し、読み取ってしまえる。

200914

上の写真は "'Memory cop' officer recognises 850 criminals in four years" という、4年前の英国のニュースだ。カメラ・アイ能力のおかげで、4年間に 850人もの犯罪者を逮捕できた警官の話である(日本語訳のページはこちら)。2日に 1人以上のペースで逮捕というのだから、すごい。

「りたりこ発達ナビ」というサイトの荒木まち子さんという方のページには、娘さんのカメラ・アイ能力が漫画として紹介してある(参照)。母親が書いている原稿の PC 画面を一瞬チラッと見るだけで、"直すとしたらセリフ部分の「」が抜けてる箇所ぐらいだよ" なんて言ってくれるのだそうだ。

例えば私が上の写真のニュース・タイトルを敢えてコピペでなく、見た通りをそのまま手入力しようとしたところ、なかなか覚えきれず、ページ間を 2度行ったり来たりしてもできなかった。もし私にカメラ・アイ能力があったら、このくらいは一発だろうに。

ところが試しに "'Memory cop' officer recognises..." という文を音読してみたところ一発で記憶でき、スラスラ入力できてしまった。私は「カメラ・アイ」は持っていないが、「レコーダー・イヤ(録音機耳)」みたいなものがあるらしい。ちなみに「レコーダー・イヤ」は、今思いついたばかりの造語である。

そういえば私は、歴史の年号はそのままではまるで覚えられないが、語呂合わせを口で唱えればすぐに覚えられる。「いいくに(1192)作る鎌倉幕府」みたいなやつだ。家族の誕生日もすべて語呂合わせで再生されるので、離れて暮らしている娘たちに "Happy Birthday" コメントをいち早く LINE してやれる。

そして聞いた音楽は、原曲のキーで再現できる。聞いた曲が CD を聞くようにそのままの音程で脳内再生されるのだから、高くも低くもならない。さらに東北は庄内生まれのくせに、関西人と自然な関西弁アクセントで会話できるので、「関西生まれかと思ってた」なんて言われたりする。

芝居の台詞なんて、聞いているうちにいつの間にか役者の口調ごと覚えてしまう。『助六』の「ツラネ」(長台詞)は、団十郎と同じトーンで言える(決して「声色」というわけではない)から、役者をやれば「台詞覚えがいい」と褒められるだろう。

ただこうした感覚がありすぎると、直接聞く人の話や、ラジオやテレビのイントネーションやアクセント、言い回しなどに、ビミョーな間違いでもあるとそれが気になってしょうがない。

「今の言い方だと、反語として逆の意味に受け取る方がむしろ自然だよね」なんて言うと、「そんな細かいこと、どうでもいいじゃん。誰も逆になんて受け取らないよ!」なんて、鬱陶しがられてしまうことがある。

いや、話し言葉というのは「文字通り」と「言い回し通り」の食い違ってしまうことが結構あるのだよ。私は前にも書いたことがあるように「アスペルガー一歩手前」だから、そんなヤバい言い回しを聞いてしまうと、勝手に後々まで悶々としてしまったりすることがある。

これなんか、カメラ・アイの人が「フラッシュバック」現象に悩まされるというのと、共通するところがあるかもしれない。

 

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