「ぶっちゃけ本音主義」もここまで来たか
NewSphere の 9月 9日付に "トランプ氏、支持者に「2度投票」勧める 郵便投票後に投票所でも" という記事があるのを見て、始めは「いくらなんでも、まさかね」と思っていた。
トランプ自身がジョークとして言ったのか、あるいは記者が「こんなことを言わんばかりだったよ」とジョーク的な批判記事として書いたのかのどちらかだと思ったのだ。しかし実際に記事を読んでみると、実際もろにトランプ自身が「2度投票」を呼びかけたんじゃないか。
記事からちょっと引用しよう。
トランプ氏は郵便投票が不正選挙につながると連日ツイッターでアピールしたり、郵便公社への資金投入に反対したりして今回の大統領選をかく乱するような言動を見せてきたが、共和党大会後すぐに再開した選挙集会で、支持者に向かって「2度投票する」という不正を勧める事態に発展した。
NBC ニュースの元記事に飛んでみると、タイトルは "Trump encourages North Carolina residents to vote twice to test mail-in system" (トランプはノースカロライナの住民に、郵便投票システムをテストするために 2度投票することを奨めた)というものだ。
「テストする」という言い方のココロは、NewSphere の記事の言い方ではこんなことになる。
「(有権者に)郵便投票を送らせて、そして(投票所でも)投票させてみよう。もしこの(郵便投票の)システムがそんなによいと言うなら(2度目の)投票はできないだろう。もし(郵便投票が)カウントされていないなら投票できるはずだ」と発言した。
つまり、「あわよくば 2度投票できちゃうかもしれないから、その節は 1人で 2票、俺に入れてくれ」ということである。現職大統領の発言としてはもってのほかだが、劣勢を伝えられるトランプとしては「思いつく限りのことを何でもやってみろ」ということのようなのだ。
「ぶっちゃけ本音主義」もここまで来たかという感じである。(「ぶっちゃけ本音主義」は私の造語で、それについては 4年前の記事を参照されたい)
こうした感覚については我が国の安倍首相のやり方にも共通点があって、「法的観点からするとかなり疑問だが、権力を笠に着てやっちまえ」ってな勢いで、ずいぶんいろいろなことをやってきた。
ちょっと挙げてみるだけで、「桜を見る会」の前夜祭で支持者たちに税金で飲食を提供しちゃってるほかにも、森友学園問題での破格の値段での国有地売却、自分をかばう検事長を辞めさせないための定年延長決定など、この人、「お友達」には露骨なまでの厚遇をしているのである。
一方、一旦「敵」と見なすと圧力をかけたり、ポスト面で極端なまで冷遇したり、やりたい放題だ。これもまた、呆れるまでの「ぶっちゃけ本音主義」だよね。
トランプと安倍首相って、「似たもの同士」なんだろうと思うほかない。
最後にちょっと付け足しておくが、バイデンの支持者まで「その手があったか!」とばかり「2度投票」して通ったりしたら、トランプはますます大差で負けちゃうことになるよね。あるいは、そんなお行儀の悪いことをすろのは、自分の支持者しかいないと信じているのかもしれないが。
まあ、今の時点でこんなことを言ってくれたから、米国の選挙管理当局も万が一にもそんなことにならないよう、きちんとシステム・チェックするだろうけどね。
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コメント
これは「反トランプ派も同じことをすると、票の差はさらに広がる」ということに気づいていないのか。あるいは「自分の反対派はそんなズルをしない良識を持っているが、自分の支持派はそういうズルをする」と認識してのことなのか。
日本の最高権力者とそっくりですね。
投稿: らむね | 2020年9月12日 21:41
らむね さん:
まったく、「そりゃちょっと、やれないよね」と躊躇するのも、一つの能力なんだと思ってしまいます。
その能力がないと、恥ずかしげもなくやりたい放題ですね。
それにしても、アメリカの選挙管理システムって、こんなズルがやればできちゃうほどの「ザル」なのかなと思ってしまいます。
どうなってるんだろう。
投稿: tak | 2020年9月13日 08:13