夏の憂愁
9月になって初日は、ほんの少しだけ暑さがしのげたが、今日はまた猛暑に逆戻りである。湿度が高いのでバテバテだ。
NATIONAL GEOGRAPHIC に "夏の不調、夏バテではなく「夏季うつ」かも" という記事がある。「理解されづらい夏の抑うつ、背景に社会の同調圧力や認知度の低さも」というサブタイトル付きだ。
この記事の冒頭には、43歳の米国女性の「季節性感情障害(Seasonal Affective Disorder、SAD、季節性気分障害とも)」の例が紹介されている。"SAD" という略称が、何だかぴったりしすぎである。
SAD には「夏型」と「冬型」があるが、冬型は「季節性の日照不足によって引き起こされ、自然光に似た波長の光を 1日 30分以上浴びる光療法で症状をかなり抑えられる」という。ある意味、単純だ。
ところが夏型はちょっと難しいようで、次のように説明されている。
一方、夏季うつの患者は動揺しやすく、不眠、食欲不振、体重の減少がみられる。冬季うつより自殺の可能性が高いのも特徴だ。夏季うつを引き起こすのは、高温、多湿、さらには花粉の多さなど、複数の環境要因だ。
「夏バテ」だとばかり思い込んでいたが、実は 夏型の SAD だったということもあるようなのである。冬型と比べると数も少ないし、ほとんど知られてもいないため、適切な処置が難しいというのだ。
さらに「できるだけ屋内にいたいのに、夏は太陽の下で楽しむべきだという社会的な同調圧力があまりにも強く、そうさせてもらえない患者もいる」というのだから、厄介だ。「冬は元気がなくて当然だが、夏は明るく楽しむ季節だろ!」という通念が邪魔しているわけだ。
夏型 SAD というと、私は Janis Joplin の "Summertime" という歌が思い浮かぶ。この曲はミュージカル『ポギーとベス』(Porgy and Bess)で歌われる子守歌だが、ジャニスが歌うともろに「夏の憂愁」になってしまう。
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コメント
私も、今年の夏は、異常にトーンダウンしました。とくに食欲不振は、深刻で、数日間、飲料と果物、ゼリー、ヨーグルトなどだけで、過ごしました(今は無事に回復しています)。
夏の哀歌って、そういえば、わりと少ないですね。「サーフィンUSA」とか、能天気なのばかり浮かびます(笑)
投稿: キンセンカ | 2020年9月 5日 13:45
キンセンカ さん:
今は回復ということで、何よりです。
確かに、「夏のうつ」は理解されにくく、また同情もされないですね。
思い起こせば私の場合は高校の頃、五月の声を聞くとちょっと憂鬱になる時期がありました。
私の田舎は冬の間は吹雪が続き、桜の咲く頃になってようやくホッとします。
ところが、そのホッとしてから急に五月の初夏の空になると、なぜか白々しい気持ちになり、「お前ら、勝手にやってろ!」と家に閉じこもったりしたことがありました。
「夏のうつ」ならぬ「初夏のうつ」ですね (^o^)
投稿: tak | 2020年9月 5日 21:14
キンセンカ さん:
今は回復ということで、何よりです。
確かに、「夏のうつ」は理解されにくく、また同情もされないですね。
思い起こせば私の場合は高校の頃、五月の声を聞くとちょっと憂鬱になる時期がありました。
私の田舎は冬の間は吹雪が続き、桜の咲く頃になってようやくホッとします。
ところが、そのホッとしてから急に五月の初夏の空になると、なぜか白々しい気持ちになり、「お前ら、勝手にやってろ!」と家に閉じこもったりしたことがありました。
「夏のうつ」ならぬ「初夏のうつ」ですね (^o^)
投稿: tak | 2020年9月 5日 21:14