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2020年9月10日

デザイナーとしての葛飾北斎

Japaaan Magazine に "これぞデザイナー北斎! 葛飾北斎が作ったオリジナル文様が紹介された古文書「新形小紋帳」を全ページ紹介" という特集がある。北斎のデザイナーとしての素晴らしい力量がわかるものだ。

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葛飾北斎といえば文化文政時代の浮世絵師で、『富嶽三十六景』が代表作だが、そのほかに『北斎漫画』などの絵手本集やスケッチ集なども知られている。かなり器用な絵師だったようだ。

今回紹介されているのは『新形小紋帳』というもので、着物柄の文様集のようなものである。「単なるデザイン集ではなく、描かれた文様をどのように描くのか解説していたりもして、北斎先生の技術がつまった手習い書とも言えるでしょう」と解説されている。

この小紋帳に収められているデザインは技術的に秀でているというばかりでなく、独創性という点でも面白い。例えば「輪違い」というのは複数の輪を組み合わせるジャンルだが、北斎の場合は単なる「輪の組み合わせ」というに留まらず、輪から発想した豊富なデザインが収められている。

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上図の左下「ワち可゛ひ うさ記゛」(わちがい うさぎ)なんていうのは、「輪違い」の発想を洒落た方向に膨らませたものである。幾何学デザインからはみ出していないというのがキモだ。

そして細かいことだが、模様の多くがほんの僅か左に傾いていて、私なんか画像ソフトで右に 1〜2度回転させて修正したくなっちゃうようなのが面白い。フィジカルな「癖」みたいなものを感じさせて、北斎がまだどこかで生きているような気がしてしまうのは、「アナログの味」である。

そう言われてみれば、彼の最も有名な作品『富嶽三十六景 神奈川沖浪裏』も、構図が斬新というだけでない。細部に至るまで、幾何学的な緻密さプラスほんのちょっとした歪み(富士山頂なんて左端が高いし)で構成されているのがわかる。

とくに波頭が砕けているところなんて、実際にはこんなふうに細かく枝分かれしているはずがない。これって、得意の「輪違い」技法から来てるのかもしれない。ふぅむ、北斎って、そういうベースの画家だったんだ。

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江戸のデザインというのは、なかなか捨てたもんじゃないのである。

【9月 11日 追記】

昨夜にアップしてから新たにどんどん書き足したくなり、今朝 8時の時点で、ついに倍以上の分量になってしまった。悪しからず。

 

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