LGBT に関連するニュース 2本
HUFFPOST に、"同性愛が広がったら「足立区は滅んでしまう」。自民・白石区議の発言に「典型的な差別」と専門家" という記事がある。区議会で今どきこんな発言ををしたらどんなリアクションが生じるか、想像できないほどアタマの悪い議員がいるのだね。
記事によれば、白石区議は次のように発言したという。
私は、人間の生き方ですから、本人の生き方に対して干渉しようとは思いません。L であろうと G であろうと、本人の生き方に干渉しようとは思いませんけれども、考えてください。
(中略)
L だって G だって法律で守られているじゃないか、なんていうような話になったんでは、足立区は滅んでしまう。そのことをよく考えて、教育の中でその問題をどう取り上げていくのかについてご答弁をいただきたいと思います。
このタイプの人たちのこうした発言が絶えないのは、お仲間内で「よくぞ言ってくれた!」なんて歓迎されたりするからだろう。「お仲間内への悪趣味なアピール」はとても重要なことで、それに比べれば、広範な有権者に「こいつ、アホか!」と思われるぐらい、どうでもいいことなのだ。
そう考えれば、あの杉田水脈議員がこうした発言を繰り返すお粗末さも合点できる(参照)。こうした発言でお仲間うちのオッサンに可愛がられるのが、彼女にとってのレーゾン・デートルなのだ。
白石区議の「人間の生き方ですから、本人の生き方に対して干渉しようとは思いません」という発言に限って言えば、それはまあ、正しい見解である。ということは、「LGBT を嫌う」のも彼の生き方なので、私としても敢えて干渉しようとは思わない。勝手に静かに嫌っていればいいだけの話である。
しかし、仮にも区議が区議会で「同性愛者を法律で守るのは如何なものか」と言わんばかりの発言を堂々としてしまったら、話は別だ。自身の直前の発言を否定する「干渉」であり「差別」としか言いようがない。こうしたタイプの人間は「論理」より「好き嫌い」で生きようとするから、話が厄介になる。
これに関連し、同じ HUFFPOST のサイトに "ゲイの人たちが団結。キスやハグ写真で極右団体「プラウド・ボーイズ」から、ハッシュタグを取り戻す" というニュースがあり、こちらの方には拍手を送りたくなってしまった。
米国には2016年の大統領選挙の年に結成された「プラウド・ボーイズ」(Proud Boys: 誇り高き少年たち?)という、暴力を容認する極右組織があるらしい。自らを「西洋優越主義者」と呼び、政治デモの参加者を攻撃するなど、過激な行為で知られるという。
今回の Twitter でのムーブメントは、ゲイの人たちが自分たちのキスやハグの場面をを写真にして tweet する時に "#proudboys" というハッシュタグを付けるというものだ。こうした tweet をどんどん増やして行けば、既存の "Proud Boys" のイメージは換骨奪胎されてグチャグチャになる。
極右の "Proud Boys" という組織にアクセスしようとしてググっても、数々のゲイの写真の中に埋没してしまうのだから、なかなか痛快だ。平和的で、しかもとても効果的な戦略である。
多様性と自由を認める行き方の方が、ずっとスマートだと実感するニュースである。
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コメント
まったくもって腹の立つ記事でした。
だいたい「守られてる」とはどういう意味かってことですよ。私の感覚的なことですが、異性愛者の権利が50あるとして(それはつまり結婚する権利・相続する権利などです)、同性愛者の権利は10や20しかなかったわけで、それを法律によって「50にしよう」ってことでしょう?LGBTだれもが、「60や70にしろ」なんてことは求めてないわけで、この議員の言う「まるで同性愛者がノーマルよりも優遇されるようになる」かのような発言は、知識不足の一般人ならともかく、関係条例に携わるであろう議員として全くもって不適格であると思います。
投稿: らむね | 2020年10月 6日 00:19
らむね さん:
あの人たちは、LGBT をよほど「特別で変なこと」と思っているのでしょうね。
広い世間を狭く生きている人たちです。
投稿: tak | 2020年10月 6日 06:52
ぼくのちきう基地は足立区にあるので、最初のおっさんの発言はなにやら体がムズムズしてしまいますが、彼の頭の中にはその場にいる議員さん、同じ政党のお仲間、そして昔から支持してもらっている地域のかたしかいないのでせうね。政策や発言を吟味して投票所に行く「意識的な有権者」などはなからアウト・オブ・眼中なのでせう。ま、自分を支持してくれるかどうかわからない「浮動票」な人たちを意識するより効率的といえば効率的でつがね。だいぶお年のようでつから、とりあえず次の選挙で落ちないことが最重要、的な。そういえば(←急に思いついたことを持ち出すときの常套句)昔、池袋あたりでへんな服着て拡声器持って、このおっさんのようなことをがなりたてている「変なおじさん」がよくいました(笑)。
ふたつめのニュースはとても興味深いでつね。ツイッターはデマが広がることもありますが、うまく使えば、かなりの社会的な力になるということがわかります。
以上のことから、ぼくもオフィシャルな発言については充分吟味していきたいと思いまつ!(←お願いしますよ)
投稿: 太陽系調査員くん | 2020年10月 6日 13:04
太陽系調査員くん さん:
>政策や発言を吟味して投票所に行く「意識的な有権者」などはなからアウト・オブ・眼中なのでせう。ま、自分を支持してくれるかどうかわからない「浮動票」な人たちを意識するより効率的といえば効率的でつがね。
まさにその通りで、お仲間うち鉄壁支持者のご要望に応えるための発言なのでしょうね ^^;)
>以上のことから、ぼくもオフィシャルな発言については充分吟味していきたいと思いまつ!(←お願いしますよ)
わはは (^o^)
投稿: tak | 2020年10月 6日 19:27