コロナ禍の導く「ランウェイの終焉」?
今は昔の物語、私は 1980年代には繊維業界のジャーナリストとして、ファッション関連の記事を盛んに書いていた。今となっては誰も信じないだろうが、東京コレクションでも毎シーズン、最前列のプレス席に陣取っていたのだよ。
というわけで、NewSphere の「ランウェイの終焉? ポストコロナ時代を見据えるファッション業界」という記事には、妙に反応してしまった。ちなみに念のため触れておくが、この場合の「ランウェイ」(runway)とは、逃げ出す(run away)んじゃなく、ショーで真ん中に突き出た花道みたいなヤツだ。
こんなようなもので(参照)、「キャットウォーク」(catwalk)とも言う。ちなみにこの写真のキャプション、「滑走路のファッションショーで女性モデル」は機械的直訳にもほどがある。まあ、確かに英和辞書では "runway" の語義として「滑走路」が最初に出てくることが多いけどね。
さらに面倒くさいことには、2016年に「滑走路をランウェイに! フィンエアーとヘルシンキ空港が共同でファッションショーを開催」(動画はこちら)なんてイベントもあったようだ。ただ、「滑走路をランウェイに」という日本語タイトルでは、せっかくの洒落が理に落ちてしまってるよね。
のっけからかなり横道にそれてしまったが、最初に触れた「ランウェイの終焉?」という記事の内容は、コロナ禍で実際に人を集めてのファッションショーが困難になったので、仮想空間を使うことになるだろうというものだ。仮想現実(VR)や拡張現実(AR)といった技術の使い道が、また増える。
例えば AR を使うと、モデルが自宅のリビングを歩いているように見え、そこに登場した商品を予約注文できてしまったりするらしい。実現したら画期的なことになる。
ただ、日本のファッション業界というのは嫌になるほどアナログなところで、こんなようなシステムが抵抗なく取り入れられるとは、私には到底思えない。何しろ、手書きの紙のデザイン画から出発する世界だからね。
それに日本のファッションショーでは、「ショー用の作品」と「実際に売る商品」というのが一致していないことがままあって、ショーを見て直接発注なんてできなかったりする。なかなかシステム化しにくい業界なのだ。
| 固定リンク
「ファッション・アクセサリ」カテゴリの記事
- 袖口の広い「オジサン半袖シャツ」が、まだまだ健在(2024.07.08)
- 夏はビジネスの場でも涼しげな格好をしたいもの(2024.07.02)
- 桂由美さん 追悼(2024.05.01)
- スコットランドのキルトって、すごいじゃないか!(2024.02.22)
- 服の色によって、汗ジミの目立ち方に差があるのだね(2023.07.14)
コメント
ファッションに全然疎い私ですが、業界用語続出の今日のコラムがすんなりと読めたのは、漫画『ランウェイで笑って』を読んだからかもしれません。
低身長ながらトップモデルを目指す女の子と、その友人でデザイナーを目指す貧乏家庭手芸大好き少年のサクセスストーリー(まだサクセスの途中ですが)。
よろしかったら是非(^^♪
投稿: らむね | 2020年10月 1日 21:50
こんなにイメージの異なるtak様って、?
不思議ですが、
私は最初から知っていました。
大好きなファッション業界!!
1950年代は長沢節モードが私たちの
あこがれでした~~~
あんなにかっこイイ デザイン画が描けた人は
ほかにいません。
ああ・・・・・
私の亡くなった姉は代々木のデザインスクールで
勉強していました。
長沢節・・・あこがれのデザイナー様~~!!
投稿: tokiko | 2020年10月 1日 23:11
>今となっては誰も信じないだろうが、東京コレクションでも毎シーズン、最前列のプレス席に陣取っていたのだよ。
アパレル業界に深く関わっていたのは分かっていましたが、このような方が今は衣服に殆どお金を使わないようですが、この落差はどこからくるのでしょう。とても不思議に思います。
料理の世界に食する側として記事を書いてた人が、今は“普通に食えりゃ何だっていいよ”と言ってるみたいな感じがします。
投稿: ハマッコー | 2020年10月 2日 02:41
らむね さん:
とりあえず YouTube で "【ランウェイで笑って】名言、名場面集” というのを見てみました。
↓
https://www.youtube.com/watch?v=SKHjB31a6vs
身長 158cm のパリコレ・モデルは、現実にはあり得ませんが、漫画としてなら、うまくいけばリアリティを出せると思います。
とりあえず、「うまくいってる」感じですね (^o^)
投稿: tak | 2020年10月 2日 10:28
tokiko さん:
長沢節、いいですよね!
「代々木のデザインスクール」って、「セツ・モードセミナー」のことですよね。
私の妻も、ワセダ中退して通ってましたよ。 tokiko さんのお姉様の後輩なんですね (^o^)
投稿: tak | 2020年10月 2日 10:33
ハマッコー さん:
>このような方が今は衣服に殆どお金を使わないようですが、この落差はどこからくるのでしょう。
昔から、ファッションにお金は使ってないんです。
デザイナー・ブランドのファミリーセールで、1着 500円とか 1,000円とかで買ってましたから (^o^)
そして今は、「チープ・シック」で押し通しているわけです。
投稿: tak | 2020年10月 2日 10:37
アニメもなかなか良かったです。
漫画アニメ好きは、ファッションのことは何もわかりませんから(グサッ!おかしいな、俺の心にナイフが・・・)、こういう作品がヒットすることって皆無でしたが、良作です。
まずは痩せねば(笑)
投稿: らむね | 2020年10月 2日 15:31
らむね さん:
>まずは痩せねば(笑)
健闘を祈ります (^o^)
投稿: tak | 2020年10月 2日 18:11