"Under the Spreading Chestnut Tree" の手振り
3日連続の『大きな栗の木の下で』ネタである。初日に呈した謎が、2日目にしてだんだん解けてきたというのが面白く、しつこいと言われるかもしれないが、簡単にはやめられなくなってしまった。
今日はキャンプファイアー・ソングとして広まったらしいという点に注目し、身振り、手振りに焦点を当ててみる。
"Boy Scout Song, Girl Guide Song, with Lyrics" というページに動画があるらしいので、喜び勇んでアクセスしてみたが、「この動画を再生できません」というメッセージが空しく表示されるばかり。他の似たようなページもことごとく動画は再生できなかった。残念!
さらに、ボーイスカウトの歌というのを手がかりにしつこく検索したところ、"Scouts 4th Sevenoak" というページが見つかり、そこには身振りの説明があるではないか。だが、それってこんな具合である。
Spreading – arms outstretched over head.
(両腕を頭の上で広げる)
Chest – strike chest
(胸を叩く: これはまんまの当て振りだね)
Nut – tap head
(頭をチョン)
Tree – arms outstretched over head.
(両腕を頭の上で広げる)
Held – arms as though embracing.
(腕を抱きしめるように)
Knee – strike knee.
(膝を叩く: これもまんま当て振り)
Happy – Scowl and emit a growl.
(しかめっ面をしてどなる)
歌詞が端折ってあるし、そもそも最後はどうして「しかめっ面をしてどなる」ことになるんだか、わけがわからない。あまり奇妙なので他を探したら、”Retired Scouter" というページも見つかった。このページの説明はよほどまともで、こんな具合だ。
Under (make hands over head like an umbrella)
(両手を頭上で傘のような形にする)
the spreading (move hands out like tree branches)
(両手を木の枝のような形にする)
chest (point to chest) nut (point to head) tree (move hands out like tree branches again).
(手を胸から頭、頭上に上げ、再び最初の形に)
There we sat (hug yourself)
(自分自身を抱きしめる)
just you (point to somebody else)
(他の誰かを指す)
and me (point to yourself).
(自分自身を指す)
Oh how happy (smile and point to smile)
(笑顔を指さす)
we would be(hug yourself).
(自分自身を抱きしめる)
(以下、最初と同じ動作)
こっちのバージョンは、我々の馴染んでいる振りによく似ている。多分日本式の元になったんだろう。
今回の『大きな栗の木の下で』ネタで判明したのは、日本語のサイトにはこの歌を大人が振り付きで歌う動画がくさるほどあるが、欧米のサイトでそんなものを探しても見当たらないということだ。これって、ある意味「文化の違い」なのだろう。
日本の場合は大人が「子ども文化」で盛り上がることにほとんど抵抗がないが、欧米の場合は「いい年して、何やってんだ?」みたいな感覚があるようなのだ。そういえば米国人の友人は、初めて日本に来た時、大人が電車の中で平気で漫画雑誌を読んでいるのを見て、最初は信じられなかったと言っていた。
というわけで、3日連続の『大きな栗の木の下で』の考察は、この辺で一段落としておきたい。検索に次ぐ検索で、かなり疲れたし。
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コメント
>日本の場合は大人が「子ども文化」で盛り上がることにほとんど抵抗がないが、欧米の場合は「いい年して、何やってんだ?」みたいな感覚があるようなのだ。
確かに。
これは欧米の漫画・アニメが「純子供文化」の枠を脱せず、日本の漫画・アニメが「大人の鑑賞に堪えうる文化」に昇華した要因であります。
投稿: らむね | 2020年11月14日 20:56
らむね さん:
>これは欧米の漫画・アニメが「純子供文化」の枠を脱せず、日本の漫画・アニメが「大人の鑑賞に堪えうる文化」に昇華した要因であります。
言えてますね!
投稿: tak | 2020年11月14日 22:28