FAX と聞いて「まいと〜く FAX」というのを思い出した
昨日、"「霞ヶ関の働き方改革」を巡る冒険" という記事で、官僚の 86%が「議員とのやり取りは FAX」と言っていると書いた。この数字に関しては決して驚きはしなかったものの、改めて呆れてしまった。
ちなみに、FAX なんてとっくに前世紀の遺物になってしまったと思っていたのだが、「まいと〜く FAX」というソフトウェアがまだ生きながらえていると知った。PC の世界でも、まだ FAX というシステムの需要がある証左である。
実はこのソフトは私もしばらく愛用していた。前世紀末から今世紀初め頃まで業界団体の事務局というところに勤務していたので、このシステムは必要不可欠だったのである。
団体の会員企業向けの情報を「同報 FAX 送信」(同じ内容を複数に送付すること)する場合、リアルの FAX 機で手動送信したら、100社に送るのに 100回プッシュボタン操作をしなければならない。ところが、このソフトを使えば予め登録された複数の送信先に、クリック一発で順ぐりに送れるのだ。
前世紀末頃はまだ中小企業レベルではメール使用が浸透しておらず、FAX が主流だったので、このソフトは本当に重宝した。PC で作成した文書を取り込み、あとは予めグループ分けされた送信先を選んでクリックすれば、PC が自動でジーコンジーコンと送ってくれるのである。
ただ、1箇所に送付するのに大体 1分ぐらいはかかるから、100社に送ったら 100分の 1時間 40分、300社に送ったら 300分、つまり 5時間もかかる。だからたいていは仕事が終わって帰り際に送信を開始させ、翌朝には送り終えているという手はずにしていたものだ。
ところが、このやり方にも問題はある。2004年 3月 16日付の「改めてデジタルデバイド」という記事にも書いているが、この方式だと 100社に FAX すれば 100回分の電話代がかかるのだ。そして、送付先の人材が FAX 受信の操作に慣れていないと、受け取ってさえもらえない場合がある。
というわけで、思い出すさえ嫌になる FAX という前世紀の遺物を、霞ヶ関の官僚が依然として使い続けているというのは、なかなか気の毒なことと思ってしまったわけである。これも皆、受け取る側(つまり国会議員)の頭の中身が前世紀のままのせいだ。
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コメント
ひとつ腑に落ちました!
時おり目にする、いわゆる霞が関の文書。よく大部分が黒塗りされたりして野党が大騒ぎするアレ。
あれって、なんでコピーを30回も繰り返したような粗い画質なのかと思ってましたが、入手方法がFAXだからなのかも!
投稿: らむね | 2020年11月 4日 19:33
FAX未だに使ってますねぇ。
しかも送った後にTELで届いたかどうかの電話で確認するというね…。
ホント無駄な時間ですね~。
投稿: Senna | 2020年11月 4日 20:07
らむね さん:
↓ これとかね ^^;)
https://twitter.com/hashtag/%E7%B5%8C%E7%94%A3%E7%9C%81%E3%81%AE%E5%86%85%E9%83%A8%E8%B3%87%E6%96%99
投稿: tak | 2020年11月 4日 20:43
Senna さん:
↓ これとか、すごいですね ^^;)
https://www.kanto.meti.go.jp/annai/soshiki/index.html
投稿: tak | 2020年11月 4日 20:47
四国の漁業組合の出張所が神奈川にあります。そこでは鉛筆を耳に挟んだおじさんが伝票にササっと数字を書き込んでそれをFAXの上に置いて送っているのを見たことがあります。5年で約100万枚の伝票を送っているデータが残っていました。ビックリです。
FAXにもメリットがあります。パソコンだと数字の桁を間違えて大騒ぎになりかねませんが、手書きでFAXするとそういうことがない
そのおじさんたちに“今日からパソコンでね”と言ってももう無理でしょう。すっかりなじんでいるのです。
国会のおじさんたちも同じです。遅れていると言われても彼らは全く気にしていない。それでいいと思います。
圧倒的にPCの方が有利だと思う人はそれを使えばいいし、FAXの方がしっくりくるという人はそれに頼ればいい。
私はラジオは radiko では聞きません。AMラジオの音質が私は好きです。50年前に買ったラジオを未だに愛用してます。
好き嫌いの世界です。
かくいう私もFAXは年に一回くらいしか使いません(^-^;
個人では使う機会がないのです。
投稿: ハマッコー | 2020年11月 5日 00:16
ハマッコー さん:
私もラジオは 小さな AM ラジオで聞いてます。ラジオの音は、自分の正対している PC とかスマホからではなく、ナナメ横っちょの方から聞こえてくるのでないと、生理的に違和感なので ^^;)
ちなみにカーラジオはまさに「ナナメ横っちょ」感覚ですね。
ただ、FAX に関しては、送られる側が「メールできないから」とか「直接、紙で送られるのでないとしっくりこない」とかいうわがままを言うために、送る側が内心面倒と思いつつも FAX しているというケースがかなりあるようなので、「気の毒だなあ」と思うわけです。
(そりゃ、送られる側はラクですけどね ^o^)
そして、四国の漁業組合の出張所のケースに関しては、5年で 100万枚ということは、年間で 20万枚!
仮に 1度に 5枚並べて送るとして、年間 4万回の FAX!
年間実働 250日と仮定して、1日 160回。
8時間で割ると、1時間 20回。3分に 1回。
神奈川から四国では、1回あたり 10円や 20円じゃ済まないでしょうから、FAX 料金が少なくみても年間 50万円以上!
びっしり並べて 1度に 10枚まとめて送っても、1日 80回。
1時間に 10回。6分に 1回。
それで「通信料金節約しろ!」という圧力がかからないというのは、今どきなかなかの職場です。
投稿: tak | 2020年11月 5日 08:41