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2020年11月 9日

「自然との触れ合い」も、強制されては意味がない

自然との触れ合いは人間の感じるストレスを軽減すると言われるが、それもことさらに強要されると効果がなくなってしまうらしい。Gigazine に "「外に出て自然と触れ合いなさい」と言われると自然環境に接するメリットが減るという研究結果" という記事がある。

201109

この記事は、こんな書き出しで始まる。

子どもの頃からインドア派だったという人の中には、両親や学校の先生に「外に出て遊びなさい」と言われた経験がある人も多いはず。外に出て自然と触れ合うことは心身を健やかにしてくれますが、「口を酸っぱくして言われるとその効果が減ってしまう危険性がある」との研究結果が発表されました。

なるほど、さもあらんという気がする。

「自然の中で過ごすこと」には高血圧などの慢性疾患の軽減や幸福度の向上など、病院で処方される薬にも匹敵する効果があるので、「緑の処方箋」と呼ばれることもあるという。ところがいくらこうした効果が確認されているとはいえ、実際の場面ではそう単純なものではないらしい。

そもそもうつ病や不安神経症に悩んでいる人は、「外に出て自然と触れ合おう」なんてことは自発的には思わないだろう。そうしたことはむしろ負担に感じられるからこそ、うつ病や不安神経症ということなのだろう。

ただでさえ負担に感じられる行為を強制されたら、ストレスがさらに強まって逆効果になるに違いない。それだけに、「医療従事者や家族が、うつ病や不安神経症に悩んでいる人に自然の中で過ごすよう勧める際は、慎重になる必要がある」とされている。

この問題に関する今回の研究論文では、「緑との触れ合いは誰かに強制されるものではなく、ひとりひとりのペースと自由な意思で行われるものでなければなりません」というのが結論のようだ。いくら「自然はいい薬」と言っても、強制されては逆効果になるのだろう。

私としても自然との触れ合いは大好きだが、本当にぐったりと疲れている時に「自転車に乗って野山に出ろ」なんて強制されたら、「今は勘弁してくれよ」と言いたくなるに違いない。ちょっと元気が盛り返し加減の時なら、大喜びでペダルをこぐところだが。

 

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心と体」カテゴリの記事

コメント

富士山ご来光や奥地の鏡面の池など、きれいだなぁとは思いますが、「オマエ行って見てこいよ!」って言われても…。

その人が自分の意思で赴いた先で出会った景色、人情、たとえそれが街中であったとしても、沁み入る場面が感じられたらラッキーですよ。

その、捉える心の余裕、ってヤツですか?
上から目線で話す方々に於れましては、チッとも理解なしに踏み込んできやがる。

投稿: 乙痴庵 | 2020年11月16日 19:14

乙痴庵 さん:

いくらいいことでも、上から目線でエラそうに言われたら、萎えるか、グレるかしちゃいますわな ^^;)

投稿: tak | 2020年11月16日 22:08

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