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2020年12月19日

「コロナ禍での大学中退・休学」って数字の問題

HATENA BLOG の "木村幹氏が「コロナ禍での大学中退」記事について批判" という記事が話題だ。

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事実関係だけを見ると、文科省は「新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、10月までに大学・大学院を中退したり休学したりした学生が少なくとも 5238人いる」と発表。しかし同時に、全体の中退・休学者は昨年比で減ったことも明らかになっている。

新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、10月までに大学・大学院を退学したり休学したりした学生が少なくとも計5238人いる

 

 

 

 


 

 

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 新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、10月までに大学・大学院を退学したり休学したりした学生が少なくとも計5238人いる

この事実を朝日新聞は「コロナ禍で休退学5千人超 大学生・院生、文科省が調査」という見出しで報道したわけだ(最下段に魚拓あり)。これについて木村氏は、(全体としては)「減ってるやん」と指摘。「コロナ禍で大学中退が増えたはず」という予断的な「偏向報道」と批判している。

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これ、ちょっとビミョーな問題といえる。全体の中退・休学者は減っているのに、根拠もあやふやな「5238人」という数字を大袈裟にに取り上げるのは問題という指摘は、一見すればもっともなことだ。

しかし一方で、前年まではほとんど「ゼロ」だったはずの数字が急に 5000人超になったというのは、それなりに問題にされてしかるべきというのも、あながち無茶苦茶というわけではない。しかも朝日は「全体としての減少」を無視したわけではなく、記事中でちゃんと触れている。

つまり朝日の記事は文脈上、とりあえず全体の数字と「コロナ禍の影響による数字」を分けて考えているわけだ。

木村氏はセンセーショナルなスタイルで批判しているわけだが、じっくり読んでみれば当然にも「それとこれとは話が違う」と言われるのが大きな弱みである。こればかりは否定できない。

「偏向的な裏の意図が見え透いた報道」というのは、まあ、確かに朝日に関してはよくある話だが、残念なことにこの記事の場合に限って言えば、当初期待したほどの噛みつき甲斐がないのだよね。

というわけで、これについてあまり尻馬に乗らないでおこうと思った次第である。

(下は、朝日新聞の記事の魚拓。クリックで拡大表示される)

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コメント

全体的に減ったのは、大学生ならではの、長期旅行や語学留学での休学が減ったからかなと思います。それもコロナ禍のせいですけどね。
あとは大学院中退での就職や起業も、例年よりやりにくくなっているかと。

投稿: らむね | 2020年12月20日 16:32

らむね さん:

それは当然考えられますね。

学費が負担できなくなって中退するのも、就職先がないので中退に踏み切れないのも、どちらもコロナ禍の影響という可能性が高いですね。

投稿: tak | 2020年12月20日 18:14

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