ドルが「$」で、円が「¥」であることについて
世界には「通貨記号」というものがあり、これで言うとドルは「D」とかじゃなく「$」で、円も「E」なんかじゃなく「¥」ということになっている。のみならず英国のポンドも「£」と書く。どうみても単純な話じゃない。
なんでそんなことになるのか、若い頃に調べたことがあった気がするが、ほとんど忘れてしまっていた。最近になった改めて調べたところ、ドルに関しては上の図のような話だったと思い出した(参照)。新大陸を発見したスペインがそこから豊富に流入する銀を用いて大量の銀貨を作ったのが発端だという。
スペインのペソ銀貨が世界中で流通した後、アメリカでも新たに通貨を作ります。これがドルで、名前はスペインのペソ銀貨(通称、スペイン・ドル)から取って、「ドル」と命名されました。
そんなわけで、ドルもペソも通貨記号として「$」を使うということになった。ペソも「$」だということは今では案外知られていないが、元々はこちらの方が本家本元だったのだね。ちなみにメキシコ・ペソは隣がドルの大国だけに、区別する意味で「M$」と表示されることが多いらしい。
そして円が「¥」であることに関しては、上述のページで次のように説明されている。
さらに、中国や日本の「元」や「円」といった通貨は、ペソ銀貨の丸い形から自国の通貨名に「丸い形」を意味する「元」や「円」といった名前を付けた、とのこと。
いやはや、ペソは新大陸だけでなく中国や日本の通貨単位の呼称にまで影響を与えていたというわけだ。往時のスペインは、それほどの大国として世界に君臨していたのである。
ただ、「円」が「E」ではなく「¥」になったことの理由は諸説あって定かではない。日銀のサイトには 3つの説が紹介されている(参照)。
ちなみに若い頃は、「円」は旧仮名で「ゑん」だから "yen" ということにしたんだろうなんて、軽い気持ちで思い込んでいた。しかしよく考えてみれば「ゑ」は「ヤ行」ではなく「ワ行」の文字だから、強いて英文字表記するとしたら "wen" になってしまう。アブナい、アブナい。
さらに英国のポンドが「£」であることについては、次のように説明されている(参照)。
欧米で使われる重さの単位「ポンド」(英語読みは「パウンド」)ですが、表記は lb となります。これは、古代メソポタミアでは穀物の重さで単位を決めていましたが、ラテン語ではそれを量る秤を「Libra(リブラ)」、重さのことを「Pounds」と言ったのが、英語になったときにごちゃまぜになったからのようです。
のみならずイタリアのリラもそっくりの「₤」となっているのは、これが理由らしい。単に "lira" の頭文字だからってことじゃないようなのだ。
いやはや、通貨記号というのはなかなか一筋縄ではいかないものである。げに世の中でゼニ金の話ほど面倒なものはない。
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