餅の世界の広がり
HUFFPOST に "餅をオリーブオイルで食べてみた。意外な「お餅の食べ方」紹介します。柚子胡椒とポン酢もうまい" なんていう記事があったので「世の中の多様性というのはすごい!」と、感動してしまったよ。餅とオリーブオイルのコンビネーションなんて、これまで発想したこともなかったからね。
餅の食い方に関して、私はこれまでずいぶん保守的だったようで、雑煮、醤油餅、納豆餅、きなこ餅以外の食い方はしたことがない。その意味で、心ならずも「餅の可能性」を狭めながら生きてきてしまったようだ。
考えてみれば餅というのは、米のエッセンスを凝縮したみたいなものだから、何にだって合うはずなのである。ひょっとしたら超辛口の「インドカレー雑煮」なんていうのもあっていいだろう。来たる正月は、何はともあれ「オリーブオイルで和えた餅」というのを食べてみようと思う。
ちなみにこの記事の終盤では「丸餅派?角餅派?論争」というくだりがある。"農林水産省の公式サイトによると、雑煮に使う餅の形は、「関ケ原より東の都道県は角餅、西の府県は丸餅が一般的」だそうです" とあるが、実際にはそう単純なものではなく、ちゃんとリンク先に飛んでみると次の記述がある。
例外として、東側でも、北前船が運んできた京都文化の影響が強い山形県庄内地方と、つきたての餅を年間60日以上食べる習慣のある岩手県一関市は、丸餅が主流です。
確かに私にとっての餅のベースは「丸餅」以外の何ものでもなく、その意味では掛け値なしの「上方派」である。
子どもの頃は師走になると親戚の家で何軒分もの大量の餅つきをしていて、つき上がった餅を子供たちが総出で丸めていた。餅を丸くするのは単に掌で丸めるのではなく、周囲を引っ張って中心に押し込みながら丸くするのである。ただそれが面倒になると、手抜きをして単純に丸めていたものだが。
だから上京して「角餅」というものに初めて接した時は、「異文化そのもの」という印象だったのを覚えている。意識の中で「餅」と「丸い形」というのは不可分に結びついていたので、「餅ではない何か」を食べさせられるような気がしたものだ。
しかし丸かろうが角だろうが、口に入れてしまえば餅に変わりがない。それと同様に、マヨネーズで食おうがオリーブオイルで食おうが、はたまたインドカレーで食おうが、餅は本質的にしっかりと餅であり続けるのだろう。
うむ、いろいろな食い方をして世界を広げてみるのも悪くなさそうだ。
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