香港市民の英国脱出について
英国政府は香港国家安全維持法への抗議として、香港市民向けの特別ビザの申請受付を 1月末から開始している(参照)。香港に留まっていては身の危険すらある香港市民の英国市民権取得につながるものだ。
私はこれまで、この問題に関して何本かの記事を書いている。ざっとあげるとこんな感じだ。
香港の自由を守る運動に心の底から共感 (2014/11/25)
香港の自由を守る運動と、ベルサーチの Tシャツ (2019/08/15)
香港の自由を求める闘いにエールを送る(2019/09/01)
死ぬなよ、香港!(2019/11/25)
死に体を乗り越えろ、香港!(2020/07/03)
とくに最後の 2本は、香港の民主派に対する中国政府の締め付けが熾烈なものになったことについてのもので、彼らが英国に逃れてからさえリスクが消えないことを危惧したものだ。
香港は 1997年に英国から中国に返還されたわけだが、それに先立つ 1984年の「英中共同声明」によって、香港の「高度な自治」は返還後 50年間にわたって保証されるとされていた。しかしそれについては初めから誰もまともに信じていなかったし、その心配は既に現実のものになっている。
私は 1980年代から 2000年頃にかけてアパレル業界の国際的な動きを追った時期があって、この時に香港の多くのファッション・デザイナーや業界人たちと交流をもった。彼らは本当にいい連中で、香港でも東京でも一緒に楽しく食事したりしていた。
中国への返還の問題に関して「いつでも脱出できるように準備しといて」と私が言うと、彼らの多くは「香港の街を愛しているから、できることなら離れたくない。ずっと香港で仕事を続けたい」と語っていた。
その気持ちは痛いほどよくわかるが、それは理想論というものである。今やそんなことを言っていられる時期じゃないのは明らかで、できるだけ早く香港を脱出すべきだろう。既に英国亡命を果たした者も少なくないらしいし。
具体的なヘルプは何もできないが、彼らが新天地で自由を失わずに生きることを、心から願う。
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