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2021年1月12日

気付くようで気付かないちょっとしたミス

サッポロとファミマ共同開発商品 LAGER を LAGAR とするミスで発売中止」というニュースには、申し訳ないが笑わせてもらった。添えられた写真を拡大してみると、なるほど、「開拓使麦酒仕立て」の文字の左下の文字が "LAGAR" になっちゃってる。

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このニュース、配信されたのが 4日前の 8日の夜である。商品の発売開始予定日が本日の 1月 12日だったというのだから、準備万端整って「あとは数日後のスタートを待つばかり」となったギリギリのタイミングでミスに気付いたもののようだ。現場はさぞドタバタだったろう。

商品展開に当たっては会議などで何度も検討を重ね、デザイン案も関係者にしっかりと示されていただろうに、誰も気付かなかったというのだから不思議である。その昔「不思議だが本当だ」というフレーズが流行ったことがあったが、まさにそれを地で行く話だ。

ただ、販売が開始された直後に消費者にミス・スペルを指摘されたみたいなことだったりしたら、売れた商品の缶にプレミアム的な価値が生じただろう。これを「惜しい!」なんて思ってしまうのは、部外者の気楽さからだろうか。どちらにしても、残念な話である。

この種の「気付くようで気付かない」ミスは例を挙げるに事欠かない。このブログの 2018年 4月 5日付の「JR のペットボトルは、ぼってる」という記事で紹介した東京駅新幹線ホームのゴミ箱では、片方がちゃんと "Bottles" なのに、そのすぐとなりが "P.E.T. Bottels" になっちゃってる。

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この気持ち悪さに当事者が気付いていなかったのだから、日本における英語表記というのは単に「お洒落感を出すための雰囲気のモノ」でしかないというのがよくわかる。「雰囲気のモノ」だけに、誰も「言葉」として読まないのだね。

私なんか文字がありさえすればつい読んじゃうから、変な標記になっていたら、どうにも気持ち悪くなって気付いてしまうことが多い。ただ、それも日本語と英語だけで他の言葉はわからないし、フランス語なんて完全に「雰囲気のモノ」になってしまうので、自分ではコワくて使えない。

それを思うと、皆さん、よくまああんなに堂々と「雰囲気のモノ」を使いまくるよね。大した度胸と言うべきか、あるいは怖いもの知らずなのか、よくわからないが。

ちなみに "Lagar" って、他の言語でとんでもない意味になってたりしたら、話のタネとしての気の毒感がさらに増大してしまうと思い、ネットで検索してみたところ、スウェーデン語だと「法律」とか「行動」とか「機構」とかいった意味になるらしい。

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下ネタなんかにならず、このぐらいのお堅い意味で、不幸中の幸いだったね。

【1月 14日 追記】

この商品に関しては「廃棄はもったいない」などの声が寄せられたため、そのまま発売されることになったようだ(参照)。発売開始は 2月 2日からというから、運がよければ話のタネに是非入手したいものだ。

 

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言葉」カテゴリの記事

コメント

このネタ、絶対使うと思ってました。

この缶のデザインした人、このビールの商品開発担当者、役員会議に参加した人、多くの関係者の目に入ってるはずです。
でも、発売直前になって初めて気が付くってどういう人達なんだろうと気になります。あっ、ファミマの人達も加わってますね。英文表記なんて雰囲気のものでしかないですね。

私はスペルミスがあるとそこに目が行ってしまいます。
(知ってる単語に限られますが)
街中で誤表記を発見すると気持ち悪くて仕方がないです。

一番気になるのは大量に生産された“LAGER BEER”はどこに行ってしまうのだろうということです。多分数百万本、廃棄ですね。勿体ない。

ところで、最近第一生命が“RUN WITH YOU”なんてメッセージを流してますね。広告業界は懲りない人たちです。モノに印刷してないので問題になっても被害はゼロで済みそうですが。

投稿: ハマッコー | 2021年1月12日 22:17

ハマッコー さん:

>この缶のデザインした人、このビールの商品開発担当者、役員会議に参加した人、多くの関係者の目に入ってるはずです。

デザイナーだけじゃなく、全員の連帯責任ですね。デザイン案を見て「よっしゃ、これで行こう!」と結論出したわけですから。

それにしても、ビール会社の人たちが ”LAGAR” というのを見てちっとも気持ち悪くならなかったというのは、驚きです。

>多分数百万本、廃棄ですね。勿体ない。

廃棄はもったいないので、関係者全員で飲んでたりして (^o^)

“RUN WITH YOU” は、あの "Be a driver" の流れですね。「お前とともに走れ」と言われてもねえ ^^;)

https://tak-shonai.cocolog-nifty.com/crack/2013/07/post.html

投稿: tak | 2021年1月12日 22:31

修正:
一番気になるのは大量に生産された“LAGER BEER”はどこに行ってしまうのだろうということです。多分数百万本、廃棄ですね。勿体ない。

“LAGAR"でした。自己ブーメランを食らってしまいました。
(*_*;

投稿: ハマッコー | 2021年1月13日 12:16

そのBe a driverの件、いまいち納得いってないのです。

まずrun with youは問題外。主語のIまたはweが省略されていて文法が崩壊しています。

でもBe a driverって、主語youが省略された命令文の形式にはなってますよね。これって「~しろ、やれ」みたいな上から口調にしかならないんでしょうか。「ドライバーになろう」という、ニュアンスとしてlet'sがついたようにはならないんでしょうか。
(前提として、私は車雑誌や車関係のネット記事もそこそこ見ますが、マツダの企業姿勢として「運転して楽しく、運転者を中心にとらえた車づくりをする」というのがあります。例えば理想的な運転姿勢を求めた結果、後部座席は狭くなり同乗者の快適性は犠牲になった、など。ですのでBe a driverからは「車を単なる移動手段とするのではなく、運転すること自体に価値を見出そう」という意図を感じました。つまりいかにもそんなことを言いそうなメーカーであるということで。)

例えばBe carefulなら
子「明日友だちと釣りに行ってくる」
母「気を付けてね」
こんなシーンでも使うようにも思うのですが。

投稿: らむね | 2021年1月13日 15:00

ハマッコー さん:

そういうことでしたか。

私はまた、中身の Lager beer の話かと思って、「いっそ皆で飲んじまえ!」ということになるかと (^o^)

それに味をしめて、「また、何かで間違えようぜ」なんてことになったりして。

投稿: tak | 2021年1月13日 17:31

らむね さん:

マツダの企業姿勢として、運転者としての視点を重要視したもの作りをしているというのは、理解しているつもりです

その一方で私が「へ???」となってしまったのは、「その視点を自動車メーカーから押しつけられる筋合いはないよな」と思ったからです。

剪定ばさみのメーカーが、「庭師(gardener)」としての視点を重視してもの作りをするのはいいのですが、かと言って、ユーザーにまで「庭師になろう」と言われても、ちょっとうろたえるところです。

ピアノのメーカーが「ピアニストであれ」と言ったら、買う方はちょっと重荷に感じますよね。

庭仕事やピアノが大好きな人なら「望むところ」と思うかもしれませんが、そんな人ばかりじゃないので、「軽い気持ちでそこまで言わないでよ」となっちゃいます。

で、私としてはクルマの運転は必要に迫られてしているだけなので、自動車メーカーに "Be a driver" なんて言われると、抵抗を感じてしまうなあというお話しです。

押しつけがましく言うか、ソフトに言うかというのは、この際あまり関係ありません。

ことさらソフトに "Would you be a driver?" なんて言われたら、気持ち悪くなって "For you?" と聞き返したくなるだろうし (^o^)

投稿: tak | 2021年1月13日 17:50

なるほど。
じゃあマツダの件は、英語がおかしいというより、仮に日本語で「ドライバーになろう!」というキャッチフレーズだったとしても抵抗がある、ということでしょうか。

投稿: らむね | 2021年1月13日 18:19

らむね さん:

>仮に日本語で「ドライバーになろう!」というキャッチフレーズだったとしても抵抗がある、ということでしょうか。

そういうことです。ここまでくると、英語表現がどうのこうのという問題ではありません。

「運転なんか毎日しているし、自動車メーカーからそんなことをことさら言われるのは、鬱陶しいわ!」ということです。

投稿: tak | 2021年1月13日 19:18

納得しました(^^♪

投稿: らむね | 2021年1月13日 20:00

“LAGAR BEER" の行方が決定しました。
販売するようです。めでたしです。

https://www.asahi.com/articles/ASP1F6VJSP1FUTIL04G.html

以前、JRの時刻表の表紙の谷川岳の写真が左右逆になっていることを指摘されて、JRは躊躇なく全品回収、再発行という“英断”をしましたが、いまはそういうことは許されませんね。
時代は変わりました。

投稿: ハマッコー | 2021年1月20日 08:35

ハマッコー さん:

よかったですね。本記事の【追記】にも書きましたが、2月 2日が楽しみです。

運良く入手できたら、缶は家宝にします (^o^)

投稿: tak | 2021年1月20日 19:00

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