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2021年1月 6日

「牛賀状」というものには驚いた

今年は丑年ということで、我が家に届いた年賀状は会津の「赤べこ」をフィーチャーしたデザインが多かったが、中にはこんなのもあった(スタンプを使ったらしい)。私は肉を食わなくなって久しいので、ちょっとギョッとしてしまったよ。

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このデザインの賀状の差出人は、私がポリシーとして肉を食わないのを知ってるはずなんだがなあ。まあ、いずれにしても干支というのは一応縁起物なんだから、鍋にして食ってしまおうみたいな発想はいかがなものかと思う。

ところがなんとまあ、昨年末には「牛賀状」なんていうものまで訴求されていたというので、さらに驚いてしまった。「年賀状を宮崎牛で贈ろう」という企画である。

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こんなのがウチに届かなくて、本当によかったよ。当事者たちは「12年に 1度のビジネスチャンス」と捉えたのかもしれないが、ちょっと話が違いすぎだろうと思ってしまう。

そう言えば、私も一昨年の亥年の元旦にこんなデザインの年賀状を載せていた(参照)。江戸の役者絵で、「山くじら」を食わせる店の場面である。

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「山くじら」というのは、江戸時代の隠語で「猪」のこと。獣肉を食うのを忌む風潮があったため、「猪鍋」のことを遠回しに言ったものだ。まあ、クジラにしても哺乳類ではあるのだが、江戸時代の人にとっては「やたら大きな魚」ということだったのだろう。

ただ、この時は次のような断り書きを入れて、あからさまな獣肉食いのイメージをギリギリのところで避けさせてもらった。

天保 2年 11月の顔見世芝居で初代沢村訥升(後の五代目沢村宗十郎)襲名披露のものだが、演目不明。この絵の左に肝心の訥升が描かれているが、猪肉をさばいている場面のため、肉を食わない私としては、悪いけど省いた。

ただ、よく調べてみるとこの絵の左端で訥升がさばいているのは、猪肉ではなく「うなぎ」のようなのである。それで勘違いの埋め合わせとして、改めてこの時の役者絵の完全版を紹介させていただこうと思う。

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確かに左端の貼り紙には「かばやき」と書かれているし、拡大版で確認すればうなぎを串で刺して板に固定しているのがわかる。一昨年はてっきり猪肉をさばいているものと、早合点してしまったようだ。

ちなみに貼り紙の「ば」と読ませる字は、昨日の記事で触れた「そば屋」の「者」という字を崩した変体仮名(プラス濁点)と同じで、一番下の「き」と読ませる字は「起」(「記」や「妃」ではないのでご注意)を崩したもの。

というわけで、今年も変わらず「ペスカテリアン」(肉は食べないが、魚介は食べる)として生きさせてもらおうと思っている。ただ私としてはこちらに書いたように、うなぎも食わないことにしているので、そのあたり

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コメント

まあ、相手の宗教に合わせて絵柄を複数用意するほうがいいのでしょうけれど、現実問題としてただでさえ忙しい年末にそこまでやってられないというのが実際のところでしょうね。

投稿: 柘榴 | 2021年1月 8日 04:35

柘榴 さん:

まあ、実際のところは「赤べこ」で済ますのが一番無難だったんでしょうね (^o^)

投稿: tak | 2021年1月 8日 18:58

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