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2021年2月10日

フランスでヴィーガン・レストランが初ミシュラン

NewSpere の「ヴィーガンが地球を救う?」(2月 1日付)という記事を、一昨日に ”「ヴィーガンが地球を救う」と、言い切ってよさそうだ” というタイトルで紹介したが、NewSphere はその日のうちに「ヴィーガンレストランがフランスで初ミシュラン、その意味とは」" という新しい記事を載せていた。

210210

NewSpere は近頃ヴィーガンづいてる。そのレストランとは、「フランス南西部ボルドー近郊の小さな街アレスにある ONA」という店だそうだ。へえ、パリじゃないのだね。

私は元よりミシュランに載るような高級レストランなんて興味がないのだが、ヴィーガン・レストランとなると話はちょっと別で、「へぇ、やったじゃん!」と拍手を送りたくなった。パリの街は好きじゃないので、フランスの田舎町にあるというのも気に入ったし。

ONA という店名の由来は、"Origine Non Animale” で、英語だと "Non-Animal Origin"、「動物起源ではない」という意味だそうだ。ひねりも何もなく、「まんまじゃん!」というネーミングだが、それだけにヴィーガニズムへの思いが強いのかもしれない。

ちなみにフランスでのヴィーガニズムや動物生存権の運動は最近ちょっとした抵抗にあって、案外低水準で推移しているらしい。依然として「旨い肉を食わせてこそナンボ」という意識が主流のようなのだ。

そんな中だけに、ミシュランガイドの国際責任者、グウェンダル・ポウレネック(Gwendal Poullenec)氏のコメントが次のように紹介されている(記事の翻訳がちょっと悪文だけど)。

「一般的に、シンプルなヴィーガニズムと美食体験が連想されることは少ない。今回のミシュラン星獲得は、プラントベースの料理を探求することに消極的なシェフを解放するかもしれない」と語った。

この記事の元記事、ニューヨーク・タイムズの "Vegan Restaurant Gets Michelin Star in France, a First" に飛んでみると、冒頭にシェフ、MS. Claire Vallée の写真もあるし、なかなか充実した情報だ。

そもそも NewSphere の記事からだとリンクが生意気にも ONA のフランス語版に飛んでしまうので、私には魔法の呪文でしかなかったが、ニューヨーク・タイムズからのリンクでは、英語版ページが表示されるのでほっとしたよ。なかなかハイブロウな内容で、例えば次のような記述がある。

Pythagoras said: “The Earth gives abundant riches and peaceful food. It offers us meals that are not stained with blood or murder.”

ピタゴラスは言った: 大地は豊富な富と平和な食物を与えてくれる。我々に血と殺戮で汚されない食事を提供してくれるのだ。

「なぬ、ピタゴラスがそんなこと言ったのか?」と驚いたが、調べてみると彼は西欧菜食主義の父と言われているのだね(参照)。おまけにジャン・ジャック・ルソーも菜食志向だったらしい(参照)。いやはや、私としたことがちっとも知らなかった。高校の「倫理社会」の教科書にもそんなの載ってなかったし。

わざわざフランスまで行って実際に ONA の料理を食べてみる機会は、個人的には多分これからもないだろうが、ONA の挑戦は西洋料理の保守的な肉偏重意識に風穴を開ける契機になるかもしれないと期待する。

例えば私が出張先で夕飯を食おうとしても、レストランは肉系のメニューばかりで私にとって選択肢の少ないのが現状だ。しかしヴィーガン料理を提供してくれる店がミシュランの星を獲得したとなれば、私のような者の選択の幅が少しだけ広がるきっかけぐらいにはなるかもしれない。

いずれにしても時間はかかるだろうけど。

 

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