ユニクロのサステナビリティ戦略
HUFFPOST が、ユニクロの柳井社長の 2月 2日の記者会見の模様を伝えている(参照)。サステナビリティに関連して「地球環境に対してかなり負荷を与えているので、それをできるだけ少なくしていく」と、かなり踏み込んだ発言をしたと話題だ。
私は結構長い間、繊維、アパレル関連の情報を扱う仕事に就いていたので、かなり興味を持ってこのニュースを読んだ。「踏み込んだ発言」というので、どの程度踏み込んでいるのかと思ったが、まあ、そこそこ程度の踏み込み方ではある。
この日の記者会見で発表された「サステナビリティレポート 2021」も、誰でも読めるようにインターネット上に公開してある。これはいいことだ。
ファッション企業のものだけに、一見すると多少はムード先行のイメージはあるものの、読み込んでみればそこそこの努力を認めざるを得ない。業界で他に先駆けてこうしたものを世に出す姿勢は評価されていいだろう。
これまでのファッション業界はシーズン在庫が売れ残ると、次シーズンに回すことなく二束三文で処分したり廃棄したりするため、環境負荷の高い産業と思われてきた。ところがユニクロは、多シーズンにわたって売り場に出せる商品を展開するという。これまでのファッションの常識をくつがえす姿勢だ。
「廉価品の大量生産、大量販売」というイメージの強かった企業が、温室効果ガス排出の実質ゼロを目指し、再生ポリエステルを大幅に使用しつつ、仕上げ加工のプロセスで水の使用量を最大 99%削減する目標を示すなど、具体的な目標を明らかにしている点はかなり思い切った施策といえる。
もちろん、今回示された方針が最良のものというわけではない。ということは多分、今後もさらにアップデートしつつ進むのだろう。
HUFFPOST は今年 1月 25日にも「ファッションは悪なのか? アパレル各社のサステナ戦略、3つのポイント」という記事で、この分野の問題提起につなげている。今後は多くの業界で環境配慮が当然という世の中になることを期待する。
| 固定リンク
「自然・環境」カテゴリの記事
- X(旧 Twitter)から Bluesky に引っ越そうよ(2024.11.15)
- 今週半ばから、一気に秋が深まるようなのだが(2024.11.04)
- 「富士山 まだ初冠雪なし」というニュースの裏表(2024.10.31)
- 「ススキ」と「オギ」の見分け方(2024.10.21)
- 一体いつまで夏なんだ !?(2024.10.20)
「マーケティング・仕事」カテゴリの記事
- ワタミのサブウェイ買収というニュース(2024.10.25)
- ビジネスメールの署名に勤務時間を明記することの意味(2024.10.05)
- 「ヴィレッジヴァンガード」という店の失敗とは?(2024.09.14)
- レナウンが名実ともに消滅するというので(2024.07.14)
- 「50歳からの」という通俗マーケティングの怪現象(2024.02.15)
コメント
不要になった自社製品を店舗で引き取るサービスもユニクロはけっこう早くから始めていて、感心した覚えがあります。しかしコロナ禍で衣料品を買わなくなったなぁ…。飲食業界よりも厳しいのでは…。
投稿: 山辺響 | 2021年2月15日 17:12
山辺響 さん:
>不要になった自社製品を店舗で引き取るサービスもユニクロはけっこう早くから始めていて、感心した覚えがあります。
それは知りませんでした。大したもんですね。
私も近頃、服を買ってません。買ったのは靴下ぐらいかも。
ユニクロの服って、案外長持ちするもので ^^;)
投稿: tak | 2021年2月16日 20:55