バレンタイン、スイートピー、スイーピーの三題噺
先日 NHK ラジオの朝の番組を聴いていたところ、日本の花が世界に輸出されて好評という話題になっていて、そこに登場した花市場の専門家が「とくに 2月前半は赤いスイートピーがバレンタイン・ギフトとしてアメリカで大人気です」と伝えていた。
すると女子アナが「アメリカでは、女性がチョコと一緒にお花を贈るんですか?」と、いかにも台本通りと察せられるボケを発し、専門家の「それは逆でして、アメリカではバレンタインデーに男性が女性に花を贈るんです」という模範解答につなげていた。実に平和なる NHK 文化である。
ちなみに聖子ちゃんが大ヒット曲『赤いスイートピー』を歌った 1982年当時はスイートピーという花に赤い色の品種は存在せず、「そんなもん、ねえよ!」と話題になったが、その 18年後に三重県の花農家が鮮やかな赤い色のスイートピーの品種改良に成功したのだそうだ(参照)。
まさに「嘘から出た実(まこと)」である。
「スイートピー」はマメ科の植物で、英語で言うと "sweet pea" (甘い豆)。小さなさやの中にできる種子(豆)には毒があって食べられず、甘いのは味ではなく、花の香りなのだそうだ。
次に「スイーピー」のお話し。言わずと知れたポパイに出てくる赤ん坊で、私はずっとポパイとオリーブの間のベビーと思い込んでいたのだが、実はポパイの養子である(参照)。
それを知ったのは、還暦に近付いた頃で、2010年の 1月にその名も "「赤いスイートピー」を巡る冒険" というタイトルで書いたことがある。つまり、今日の記事は半分は二番煎じで、長くブログをやってると、どうしてもこんなことが多くなってしまう。
念のため英語版の Wikipedia で "Swee’ Pea" の項目にもあたってみたところ、次のように確認された(参照)。
In the comics, Swee'Pea is a baby found on Popeye's doorstep (actually delivered to him in a box) in a July 24, 1933 strip.
《漫画では、スイーピーは 1933年 7月 24日付で、ポパイの玄関先(実際に箱に入れて置かれていた)で見つかった赤ん坊である》
"Swee' Pea" と表記され、上述の Wikipedia にも " His name refers to the flower known as the sweet pea." (彼の名前はスイートピーとして知られる花と関係がある)とあるように、意味的には「スイートピー」って名前なのだね。赤い花のなかった頃の。
そして、あのいつもハンバーガーを食べながらグダグダしているウィンピーは "Wind Pea" で、直訳すれば「風豆」になってしまうが、実は「そら豆」のことである。
・・・おっとしまった、このネタ、エイプリルフールまでとっとくんだったなあ。本当は彼の名前は "J. Wellington Wimpy" で、豆とは関係ない。"Wimp" (無気力人間)が元なんだろうね。
【2月17日 追記】
あとからいろいろ調べた結果、「1982年当時はスイートピーという花に赤い色の品種は存在しなかった」というのは、誤りと認めざるを得ないことになった。詳しくは「赤いスイートピーは前々からあったと認めざるを得ない」 を参照いただきたい。
| 固定リンク
「比較文化・フォークロア」カテゴリの記事
- 高校野球のサイレンと「警蹕」(けいひつ)というもの(2024.11.10)
- 区域と時間帯限定での「路上飲み禁止」は生ぬるい(2024.10.03)
- 米国の「日本ブーム」を音楽視点から見ると(2024.09.15)
- 「縄文人度合」という概念があるんだそうだ(2024.09.09)
- 北朝鮮の「汚物風船」と「エンガチョ」のまじない(2024.05.31)
コメント