「ヴィーガンが地球を救う」と、言い切ってよさそうだ
NewSphere に「ヴィーガンが地球を救う?」というタイトルの記事がある。読み進んでみるとタイトルの最後の「?」は要らないほどのもので、「ヴィーガンが地球を救う」と言い切ってよさそうな内容なのだ。
ヴィーガンとは言うまでもなく、一切の動物性食品を食べない人たちのことである。私は肉は絶っているが、魚介類は食べるし、卵と乳製品もほんのたまに付き合ったりするので、分類上はペスカテリアンということになっている。
ただ、ここまで来ると卵と乳製品は既にあまり食べる気がしなくなって実際にはほとんど口にしていないし、魚介類を止めるのもそんなに高いハードルとも思えない。ということは私もそのうちヴィーガンになっていたりするかもしれない。
環境保全の観点で言うと、動物性食品のほとんど(「イナゴの佃煮」とかを別として)はかなりの環境負荷があり、記事には「家畜産業は人間が消費するカロリーの18%しか作り出さないが、それらは全農地の83%を使用している」「米国で育てられた穀物の 70%は家畜に与えられている」とある。
つまり、人間は家畜を育てるためにかなり多くの穀物飼料を与えているということだ。言い方を変えれば、飢餓に苦しむ人が少なからず存在する世界で、豊かな国では人が食えるものを家畜に食わせ、その家畜を屠殺して人が食っているということである。
こうした情報を得てしまうと、飢餓の増大と CO2 増加による環境悪化が懸念されるこの地球上で肉をワシワシ食うことには「罪の意識」を感じざるを得ない。これが私が肉を絶った最大の理由である。
一昨年の 5月に書いた「長生きしたくて肉食を避けてるわけじゃないので」という記事では、こうした情報に関する誤解、曲解についても触れているので、参照されたい。さらに同じ年の 9月に書いた「私が肉食を止めた理由を代弁してくれる動画を見つけた」という記事も自薦しておく。
というわけで、「ヴィーガンが地球を救う」と言い切ることに大きな間違いはないと思うのである。肉食を絶つこととエコロジー志向というのは、心のベクトルが共通しているようなのだ。「食に関してはヴィーガンだけど、他の部分では平気で CO2 排出しまくり」という人を私は知らないし。
NewSphere の記事の最後には次のように書かれている。
完全にヴィーガンになることは難しくても、「フレキシタリアン」(ヴィーガンやベジタリアンのように菜食主義ではないが、意識的に肉の消費を減らす生活)をするだけでも環境に与える影響は減らすことができる。(中略)これからは、当たり前にチキンに手を伸ばすのではなく、少し考えてから食材やメニューを選んだりしてみるのもよいかもしれない。
私もそのようにオススメしておく。
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コメント
takさんがヴィーガンをするのは別にいいんですが、私はみんながヴィーガンになれば皆んなが不幸になると思います。まず、アメリカの穀倉地帯は殆どが耕作放棄の荒地になります。穀物を飼料にしなくなれば耕作放棄して別の仕事をする方が経済合理性があるぐらいに価格は下落するでしょう。日本では、今飼料米の耕作を推奨しています。これ以上耕作放棄地を増やさないこと。国産飼料利用で国内食料自給率のアップ等を考えてのことだと思います。ヴィーガンの考えることは正しくても、そこには合成の誤謬が発生することに成る。世界は矛盾に満ちてます。
投稿: basara10 | 2021年2月 9日 07:55
basara10 さん:
>みんながヴィーガンになれば皆んなが不幸になると思います。
まあ、「みんながヴィーガンになる」なんてことは少なくとも急には無理でしょうから、仮定の条件設定を極端にすることで妙に悲観的になる必要はないと思いますよ。
明日から世界中の人が急にヴィーガンになるというなら、いきなり社会のバランスが喪失して大変なことになるでしょうが、それはできの悪い SF の世界です。
実際問題としては、ゆっくり時間をかけて考えましょう。「合成の誤謬」の発生を抑えるためにもね。ヴィーガン人口が増えれば、その時はその時でその状況に適応するための新しい社会システムが構築されるでしょうし。
>アメリカの穀倉地帯は殆どが耕作放棄の荒地になります。
これを「耕作放棄の荒地になる」と見るか、「自然に返す」と見るかは、価値感によると思いますよ。
私は国土のかなりの部分を自然に返してもいいと思ってます。これは「自然への信頼」というものです。
人間が野放図に開発しすぎたので、自然のバランスが崩れているということの方が問題だと思ってますから。
ただ、自然に返す作業にもかなり人間の手は必要ですけどね。とくに初めのうちは「放ったらかし」にするわけにはいきません。
ここまで来ると、自然に任せているだけでは本来の自然に戻ることも困難な状態になっているとも思いますので。
投稿: tak | 2021年2月 9日 12:55
この手の話だとだいたい動物メタンガスの話が出てきますけど、どうも「牛(その他適当な動物)は温暖化の原因になる有害生物」と言っているみたいであんまり気持ちの良い議論には見えません。まあ、「アフリカ大陸(その他論者が差別視している地域どこか)に住む人間が生産するメタンガスの量は~」みたいなほうに行かれるよりはいくらかマシなんでしょうけれども。
ところで上の「自然に返す」論ですが、昔会った、一面の田んぼを見て「自然がいっぱい!」と感激していた怖い人のことを思い出してしまいました。本当にいたんだから恐ろしいかぎりです。
投稿: 柘榴 | 2021年2月11日 05:22
柘榴 さん:
まあ、牛舎にぎっしりと並んだ牛さんたちは、人間にそうさせられてるわけですので、あれを見る度に「ああ、ホルスタインに生まれなくてよかった」なんて思う私もいるわけですけどね。
アスファルト・ジャングルと比べて、田んぼを「自然」と見ちゃう人もいるんでしょうけど、「うぅむ、何だかなあ」ということになりますね。
投稿: tak | 2021年2月11日 06:14
私は「菜食」肯定的になりまして、タイムリーなことにダイエットのため1週間前から「肉を食わない(魚もメイン料理としては食わない)」というのをやったところ、2㎏も落ちました(元が肥満ですが)。今年は本気で取り組むつもりなのでしばらく続けます。恐れていた「なんか活力が出ないなあ」ということもありませんでした。
多分ほとんどの中年以上の人にとっては菜食のほうが健康にいいし、地球環境にもメリットの方がかなり大きいと思います。ただ社会の菜食化には慎重です。特に気になるのが「子供の栄養」で、たんぱく質(必須アミノ酸)の摂取が減れば当然成長期の子供への影響は大きいはず。戦後日本の食生活が肉食(+乳製品)増となり子供の体格は大きくなりました。それをやめるということは、戦前の体格に戻るということでもあります。takさんも子育て中は「いっぱい食べて大きく育ってほしい」と思われたはず。今の子育て世代にしても「うちの子は小さくても良いから菜食主義で育てよう」と考える人は少ないと思います(というか自分の子に対してそういう方針は異常すら感じます)。
菜食のみで必須アミノ酸を満たすことも可能なようですが
https://tokyovegan.net/vegan-protein-deficiency/
相当の栄養学的知識が必要であり、また特定の植物に偏った食事になりそうです。大豆だらけの食事を果たして子供が十分に食べるかとなると怪しく、同じ食卓で子供だけ肉食というのもちょっとどうかと思うわけです。
投稿: らむね | 2021年2月11日 22:02
らむね さん:
菜食で健康増進とのこと、おめでとうございます。
子どもの食事に関してですが、私の子どもの頃は肉なんてほとんど食べず(食べられずに)に過ごしました。ただ、庄内の港町育ちですので、魚は毎日食べていました。
そんな時代、小学校 6年から 中学 1までの 1年で 20センチも身長が伸びました。
というわけで、動物の肉がないと育たないとは思っていません。実際問題として魚の方がいいんじゃないかなあ。肥満の心配もないし。
投稿: tak | 2021年2月11日 22:41
うーん、それはあくまで個体差じゃないですかねえ。あくまで統計的に見ないと。そりゃ江戸時代だって180超えはいたでしょうし、現代でも160以下はいますから。
それに、肉を魚に置き換えるのは多分無理です。魚の方が大量確保が断然難しい。
地球環境と大人の健康面に関しては菜食優位だと思いますが。
投稿: らむね | 2021年2月12日 00:41
らむね さん:
そりゃ、個体差ではあるでしょうね。
ただ、完全に魚に置き換えなくても、肉は減らす方がいいと思います。最近の肥満児をみてると、とくに。
肉を減らしても子どもの体格が急に悪くなったりする心配はないと思いますよ。
投稿: tak | 2021年2月12日 09:42