「悪くもないのに謝ってやってるんだ」と思ってる人
オリ・パラ大会組織委員会の森喜朗会長の例の「女性がたくさん入っている会議は時間がかかる」という失言問題に関しては、わざわざ触れるのも馬鹿馬鹿しいぐらいだが、一応ちょっとだけ書いておく。本当に馬鹿馬鹿しいけど。
この失言に関してはさっそく自ら撤回したわけだが、そのココロは、「撤回した方が早い」というだけのことのようだ。2月 4日夜のテレビ出演で(下の【注】参照)自らそう言っている(参照)というのだから、ちょっとビックリだよね。メンタリティの問題としては、こっちの方がずっと大きな「失言」だろう。
森喜朗という人は昔から、失言の多さでは定評がある。調子に乗って言わなくてもいいことをペラペラしゃべるクセがあって、都合の悪い話をなんとかごまかして切り抜けようと、苦し紛れに口走ったことのちょっとした言葉尻をつかまれるというのとはわけが違う。
その場を盛り上げようというサービス精神みたいなものでしゃべっちゃうので、当人としては内心「どうだ、うまいこと言えてるだろ」ぐらいに考えているからタチが悪い。今回の「失言」にしても、確実に「仲間うちの気持ちを代弁してやったんだ」ぐらいに思ってる。
というわけでこの問題では、森喜朗 1人を責めるだけではあまり意味がない。彼の背後で頬被りをしている「お仲間」も責められなければならないのは当然だ。
そんなわけで彼は一応 2月 4日に形だけは「深く反省」したと記者会見したわけだが、「悪くもないのに謝らなきゃいけないんだから、たまらんよね」というのが本心に違いない。だから発言を形だけ撤回したのみで、自説が間違っていたと認めたわけでは決してない。
だからこそ性懲りもなくその夜のうちに「撤回したほうが早い」などと強がりを言っていたわけだ。「女性が多いと会議の時間が長くなる」と口走った当人だけに、「男らしく、さっさとけりをつけてやったんだ」と言わんばかりである。
ということなので、このジイさんに対して正攻法で攻め込んでもお話にならない。「自分で掘った穴に一生ハマり続けてなさい」と放り出しておくしかないのである。何とかは死ぬまでなおらないというから。
さらに言えば、本来ならその同じ穴に一緒にハマらなければならないお仲間がくさるほどいるはずなので、そこまできちんと報道してもらいたいぐらいのものである。
【注】
冒頭の画像からリンクされる HUFFPOST の記事では、「森会長は 2月 5日に発言を撤回・謝罪したが・・・」と書かれているが、これは 2月 4日の誤りである。
【2月 11日 追記】
本日、森氏は東京オリンピック・パラリンピック組織委員会の会長を辞任する意向を固めたと報道された。
2月 4日の会見では結構ヘラヘラしていたので、「この人、国際的にどんなにシリアスに問題視されてるか、理解してないな」と感じていた。これまではどんな失言をしても、国内問題としてなあなあで済んでいたが、今度ばかりは話の次元が違うということに、ちっとも気付いていなかったわけだ。
ところがそれから約 1週間経ち、さすがに「これじゃ、もたない」とようやく身にしみたようだ。感度が鈍すぎである。
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