「情報弱者」と言われる人に共通する勘違い傾向
「情報弱者」と言われる人の中には、IT 関係にはまったく手を触れることもできないという「正真正銘の弱者」もいるが、「まったくできないというわけでもない」という程度のものすごく中途半端な人もいる。そして実際に手のかかるのは、このタイプの人である。
「ハマるべき穴にはすべてハマる」という人がいる。業務上の月例報告書を 3年前から Word で作り始め、その時の「平成30年3月報告書」というファイルを毎月開いて新しい内容で上書きし、そのままのファイル・ネームでデスクトップに保存してしまうというのは、その典型だ。
彼からは毎月律儀に「平成30年3月報告書」というファイルの添付されたメールが届き、それを受け取った側が毎回、まともなファイルネームに変換して保存する。それで、提出先にはきちんと月例報告書が保存されるが、作成元の彼の PC には、元の名前のたった 1つのファイルしか存在しない。
それで、他の部署から「昨年 4月の報告書を送ってください」なんて依頼があっても対応できず、提出先に泣き付くことになってしまう。悲しいことに、これは何度教えてもわかったようなわからないようなことで終わり、たまには「新規ファイル」で保存できることもあるが、ほとんどは上書きになる。
最近の傾向では、ZOOM ミーティングに参加するのにまったく要領を得ないという人が困る。このタイプの人は毎回電話でやり方を教えてもらい、15分遅れぐらいでようやくマイクをオンにしたまま入って来て、雑音をまき散らす。
これは上に掲げた「ZOOM ホーム画面」で、招待されたミーティングへの「参加」(右上アイコン)ではなく、「新規ミーティング」(左上アイコン)をクリックし、誰も入ってくれることのない新しいミーティングを自分一人で空しく立ち上げたまま、往生してしまうからだ。
彼としては「新しいミーティングに参加するのだから、当然こっちのアイコンをクリックするのだろう」と思ってしまうようなのだが、完全な思い違いである。同様の勘違いは、Facebook でのライブ動画配信を視聴するときにも起きる。
「〇時△分から、ライブ動画を配信しますので見ておいてください」というノーティスを送っても、彼はその時間になって開始された動画をクリックするのではなく、ホーム画面の一番上左端の「ライブ動画」をクリックし、誰も見てくれない自分の顔を、空しくネット空間に配信し続けるのである。
こうした勘違いはすべて、「ホストが立ち上げたアクションに自分も参加する」ということが理解できず、自分の方で勝手に「新たなアクションを立ち上げてしまう」というパターンである。そして、自分の立ち上げたアクションが全体とはまったく無関係だということに気付くことすらできない。
「情弱」と言われる人にはこのように、「自分」と「相手」との区別がつかない人が多い。「自と他」「主体と客体」をきちんと区別するというのは、論理思考の基本のキホンだから、これがわからないと一步も先に進めない。
別個の存在の「自と他」の間を情報でいかに効果的に結ぶかというのが重要ポイントなのだが、これがわからないと、全体をぼんやりとした一まとまりのものとしてしか捉えられないのだ。この辺りを説明して納得させるのは、ものすごく手間がかかって疲れる作業になる。
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