「アクティブスーツ」という商品にみる業界の都合
東洋経済 ONLINE に「流行りのアクティブスーツがダサい人の超盲点」という記事がある。「ビジネスマンのためのスタイリスト」という肩書の森井良行という人が書いたもののようだ。
私も昔はファッション・アパレル関連のジャーナリストをしていた時期があるのだが、「アクティブスーツ」というカテゴリーのスーツがあるというのは初めて知った。
何しろ「スーツ」というものは年に 2〜3度の冠婚葬祭関連でしか着なくなったし、最近はコロナ禍で冠婚葬祭という機会すらなくなっている。ここ 1年以上スーツと称される服に袖を通したことがないので、スーツ嫌いにとってはありがたいぐらいのものだ。
今日の記事を書くにあたって、「アクティブスーツ」というものについて少しはきちんとした情報を得ておこうと、いろいろググってみたのだが、まるで要領を得ない。青山オンラインストアのサイトで見る限りは、伸縮性や撥水効果を強調しているだけで、要するにフツーのスーツである(参照)。
かと思うと、アクティブ・スポーツウェアの視点からすると、楽天市場の紹介するデサントの商品みたいに、いわゆる「トレーニングウェア」みたいなものになってしまう(参照)。フツーはこっちのカテゴリーを指す言葉だろうね。
もっともらしいことを言ってはいるが、確立したカテゴリーではないみたいなのだ。ということは、ファッションという分野の常で、そのうちうやむやになって別の商品や言い方に取って代わられる可能性が大なので、あまり真に受ける必要もなさそうだ。
実際の着用場面では、銀行やお役所など、相変わらずスーツ着用が求められる仕事ではこれまで通りのスーツを着ていればいいし、そうでない分野ではテキトーにスーツ以外の軽装に移行していけばいいというだけの話である。堅苦しいスーツが着たくないなら、着なくて済む仕事をすればいいというだけだ
私が勤め人をしていた 20年前でも、ノーネクタイでライトウェイトなジャケットを着ていれば、とくに文句を言われることもなかった。今のビジネス・シーンなら、もっと軽快な着こなしが可能だろう。
森井氏の記事では、アクティブスーツに合わせる靴だのベルトの幅だのがもっともらしく語られているが、そうしたことで細かいことを言うのは、どうしても「スーツ」とその関連商品を売りたい業界の都合でしかない。フツーはテキトーにジャケットとスラックスを合わせれていれば OK である。
アクティブスーツというのは元々がカジュアル志向のスーツなんだろうから、深く考える方がダサいってことだ。ただ、カジュアルな服装をするとなると、とたんに何を着ればいいかわからなくなるという人もまだ少しは残っているようなので、森井氏の記事みたいなものの需要があるのだろう。
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