「お辞儀ハンコ」とか「ZOOM の上座/下座」とか
私は「ハンコ文化」というものにまったく馴染めず、勤め人時代からデスクの引き出しに放り込んであった朱肉不要の「シャチハタ」で、ほとんどの用を足していた。押し方も「押してありゃいいんでしょ!」程度のもので、いつもかすれたり斜めになったりしていた。
ところが世の中には、妙にハンコにこだわりたがる人がいる。自分のハンコにこだわるだけならいいのだが、そんな人にとっては私のようないい加減なやり方が許せないらしい。
「シャチハタじゃなく、ちゃんとしたハンコにしなさい」とか「きれいにまっすぐ押しなさい」なんて説教はしょっちゅうで、それどころか、「シャチハタ使ってるやつは出世できないって、知ってるか?」なんて都市伝説みたいなことまで言い出すのには参った。
そんなわけで、「ハンコはまっすぐきれいに」というのがスタンダードなのだと思っていたが、世の中には上図のような「お辞儀ハンコ」なんてものを求めるビジネス文化があるらしい。それを知ったのはちょうど 2年前ぐらいのことで、このブログにも書いている(参照)。
ただそう言えば、この類いの話はハンコだけではない。最近は ZOOM を使った会議でも余計なことを言い出すオッサンがいたりする。
ZOOM の場合、フツーはそのネット会議をセットしたホスト(主催者)の顔が一番左上になるが、これに対して「自分の顔を上座に置いて部長の顔をずっと下座にしてしまうとは、無神経にもほどがある」なんて怒り出したりするのである。
そんな余計なことを気にするよりも、まずはひっきりなしの雑音を入れないために、自分の発言しない時はマイクを確実にミュートにしてくれと言いたいところである。それに「上座」というのは「向かって右側」だから(参照)、そもそも文句を言われる筋合いじゃない。
実は 2020年 9月に、ZOOM にも参加者のビュー表示位置を固定できるという(余計なお世話的)機能が装備されてしまった(参照)。ただこの新機能の本来の意義は日本流の「上座/下座」文化の要請に対応したものではなく、司会者や主要発言者の位置をわかりやすくするためということだ。
ありがたいことに、この機能はまだ一般に知れ渡っているというわけではない。しかしそのうちおっさん連中の耳に入ったら、「きちんと上座/下座を配慮して並べ替えろ」なんてことをしつこく言い出すに決まっている。
そうした連中が定年でいなくなるのは間近だから、それまでは知らん顔で「これは仕様で、仕方ないんです」と、トボけていたいところだ。(私はフリーとして、定年過ぎてもウロウロ出入りしているんだけどね)
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コメント
ネット上では「お辞儀のハンコは大変なストレスと無駄」という声が多いようです。
一回一回ハンコを押すたびに向きを確認しなければいけないそうです。それがストレスなんだそうです。
私ならハンコの人差し指の当たる部分にちょっとしたシルシをつけておいて、そこに人差し指を当てて押印すればハンコがお辞儀するようにしますね。実に簡単なことです。
その程度のことでストレスなんて言ってるようでは勤め人はできません。ハンコでお辞儀して上司の機嫌が良くなるなら実に安上がりです。
私なら真横になるように押してあげます。易い易い。
投稿: ハマッコー | 2021年3月 3日 22:02
ハマッコー さん:
>ネット上では「お辞儀のハンコは大変なストレスと無駄」という声が多いようです。
ということは、この奇習が世の中で実際に行われてるってことですね。(すごいなぁ ^^;)
>私ならハンコの人差し指の当たる部分にちょっとしたシルシをつけておいて、そこに人差し指を当てて押印すればハンコがお辞儀するようにしますね。
出世する度に、そのシルシも少しずつズレていって、社長になった時点で真っ直ぐになる (^o^)
>私なら真横になるように押してあげます。易い易い。
わはは ウケました (^o^)
投稿: tak | 2021年3月 3日 22:44