「国民文化祭 2008」てのが茨城で開催されたらしい
茨城県南の守谷市に、つくばエクスプレスと常総線の乗り入れる「守谷駅」というのがあって、その正面入り口に続く石段の下に、カラー・タイルを石膏で固めたような不細工なモニュメントが飾ってある。私はこれまで、市内の小学生が無邪気に共同制作したものだろうぐらいに思っていた。
何だか作りがかなりテキトーなようで、右上の拡大写真でわかるように、雨風で溶けた石膏がドロドロ流れ落ちてしまっている。そのためタイルには隙間が生じて、そのうち剥がれ落ちるんじゃないかと思えるほどだ。
ところがこの像の台座は、流れ落ちた石膏で鳩の糞まみれと見間違うようなみっともない状態になっているとはいえ、上に載ったモニュメントとは不釣り合いなほど立派な大理石みたいなのである。不思議に思ってその台座に刻まれた文字(右下写真)を読むと、こんなことだったのである。
2008 国民文化祭記念
設 置 者 | 守谷市長 会田真一 | |
デザイン監修 | 守谷市文化協会会長 | |
塚原 三千勝 | ||
制 作 | (一文字不明)翔 市民有志 |
守谷市長の氏名は一つながりで彫ってあるのに、デザイン監修者の方は 1文字分(以上)の空白を取ってあるのが不統一で気になるものの、少なくとも小学生の共同制作ではないようなのだ。正直言って驚いてしまったよ。
それにしても「国民文化祭」なんてちっとも知らなかったので調べてみると、Wikipedia には "文化庁主催の行事で、国文祭と略され、「文化の国体」といわれている" なんてことになっている(参照)。そして確かに、2008年には 11月 1日から 9日までの 9日間、茨城県で開催されたようなのだ。
茨城県のウェブページでは「観客数は目標を上回る118万人を数え、大きな盛り上がりを見せました」なんて自画自賛されている(参照)が、これ、いわゆる「主催者発表数字」の典型なんじゃなかろうか。関係者に押しつけられた入場券を受け付けに置いてすぐに帰った人も相当多いだろうし。
なにしろ前世紀末から当の茨城県民をしている私としては、文化に関心がないわけでは決してないのに、そんな行事が開かれていたなんて全然記憶にないのだよ。念のため 2003年 12月から毎日更新している当ブログの 2008年 11月の記事を見ても、「国民文化祭」なんて文字はまったく見当たらない。
今年は和歌山県で 10月 30日から 11月 11日まで、3週間以上にわたって開催されるらしいのだが、まともな関心を集めているようには到底思われない。どうやらこの行事、関係者が身内だけで盛り上がる「ちょっともったいぶった発表会」の集合体みたいなもののようなのだ。
文化庁としてはこれによって「文化振興」を図っていると言いたいのだろうけど、効果のほどは何とも言いようがない。
そして 13年前の国民文化祭のなれの果てが、この鳩の糞まみれと見紛うような、守谷駅前のモニュメントである。どうにも複雑な気分になってしまうよね。
ちなみに「デザイン監修」として名前の挙がっている 塚原三千勝さん は、守谷市在住の陶芸家で、私の大学の先輩のようなのである(参照)。デザインの「監修」をしただけで、実際の制作にはあまり関わらなかったのかなあ。
| 固定リンク
「文化・芸術」カテゴリの記事
- 『火垂るの墓』は二重の意味で「B面ヒット」(2024.09.20)
- 米国の「日本ブーム」を音楽視点から見ると(2024.09.15)
- ダリって、かなりしっくりきてしまったよ(2024.06.04)
- 『猫じゃ猫じゃ』を巡る冒険(2024.05.16)
- 日本における「ピースサイン」の零落(2024.03.21)
コメント