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2021年4月 6日

日本人は「赤・青・白・黒」以外の色のコンセプトが薄い

昨日の "「太陽が赤い」というのは日本人だけということについて" という記事で、大切なことを書き落としていた。それは、太陽は国際的には黄色という認識が一般的だが、古代日本人には「黄」という色の概念がなかったので、赤く描くほかなかったという事情である。

210406

「雑学カンパニー」というサイトに、「不便…? 古代日本には赤・青・白・黒の 4色しかなかった」というページがある。ただ「4色しかなかった」というのはある意味ビミョー過ぎる表現で、より具体的に言えば「どんな色でも 4色でしか認識しなかった」ということだ。

日本語で色を表す言葉は、今では数多くあるが、元々あったのは「赤・青・白・黒」の 4語のみである。それ以外の色名は、後世になって加わったものだ。

基本となる「赤・青・白・黒」は初めから名詞としてあったわけではなく、以下のように形容詞から名詞化したものと考えられている。

古語 読み/意味   色名
明し あかし/明るい
淡し あはし/淡い
顕し しるし/明白だ
暗し くらし/暗い

このため、現代語でも色名に「い」を付けて形容詞になる(あるいは戻る)のは、「赤い、青い、白い、黒い」の 4語だけだ。「黄」と「茶」は基本的色名のようでも「黄色い、茶色い」と、「色」という言葉の助けが必要だし、「緑」「紫」などは、「緑色い、紫色い」とすることもできない。

というわけで古代日本人にとっては、太陽は「明るい」のだから、その色は「赤」に他ならなかったのである。その認識が 21世紀の現代に至るまで続いているというのは、ある意味すごいことだ。

ちなみに新鮮な木の葉や草の色を一般的には「緑葉」と言わずに「青葉」と言うのも同じ事情によるが、絵に描かれるとさすがにブルーではなく、ごく自然にグリーンになる。これには、葉っぱまで青くしたら背景の青空と区別が付かなくなるからということもあるだろう。

一方で太陽の「赤」は青空を背景に燦然と表現できるので、古来から変わることなく象徴的な意味合いも強めつつ続いてきた。つまり日本人の「赤い太陽」という認識は、かなり根強いものと言うほかない。

昨日の記事は、この「根強い認識」に関する説明としての方が意味が明らかになるかもしれない。どうやら書く順番を間違えたようで、本来は今日の記事を先にすべきだったのだろうが、もう変えるわけにいかないので、

Yoroshiku4

 

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比較文化・フォークロア」カテゴリの記事

コメント

ある人が“みどりいヤツ”と表現しているのを聞いてちょっとびっくりしたのと同時に便利な表現だなと思ったことがあります。
緑色の○○と言わずに済むのですから。

改めて調べてみると石川県の方言のようです。
緑色のは みどりい
紫色のは むらさきい のようです
黄色は きい でなく きない となり原型を留めていない。

「みどりい 方言」 で検索すると出てきます。

投稿: ハマッコー | 2021年4月 7日 10:47

ハマッコー さん:

いやはや、驚きました。

「みどりい」「むらさきい」「ピンクい」は違和感たっぷりですが、慣れれば確かに便利かもしれませんね ^^;)

投稿: tak | 2021年4月 7日 12:16

石川じゃなくて富山の話ですが、それなりにくだけた表現として「みどりい」「ピンクい」「むらさきい」、確かに言います。
「きない」は、言わないなぁ……。

投稿: 柘榴 | 2021年4月 7日 20:25

柘榴 さん:

おお、貴重な証言、ありがとうございます!

日本語って、妙なところで奥の深いものですね。

投稿: tak | 2021年4月 7日 21:28

岐阜県東濃地方です。

赤い「あかぁ」
青い「あおぉ」
白い「しろぉ」
黒い「くろぉ」

黄色い「きいろぉ/きいなぁ」
緑色の「みどりぃ/みどりなぁ」
ピンク色の「ピンクい/ピンクなぁ」

もう古希越えの方々ぐらいからしか聞かれません。

投稿: 乙痴庵 | 2021年4月 8日 12:46

乙痴庵 さん:

へえ!

>黄色い「きいろぉ/きいなぁ」
>緑色の「みどりぃ/みどりなぁ」
>ピンク色の「ピンクい/ピンクなぁ」

これはまた、ビミョーに複雑な変化ですね。
おもしろいなあ。
お知らせくださって、ありがとうございます。

投稿: tak | 2021年4月 8日 16:16

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