「つのだせ やりだせ あたまだせ」の疑問が解けた
今日の記事は一見軽いようだが、ちょっとしたウンチクも含むことになる。文部省唱歌の『かたつむり』の歌詞についての長年の疑問が解けたという話だ。
この歌は、多分誰でも知っているだろう「♫ でんでんむしむし かたつむり おまえのあたまは どこにある」という、あの歌だ。ところが私はこの歌の後半、「♫ つのだせ やりだせ あたまだせ」という歌詞に、子どもの頃からそこはかとない疑問を感じていた。
「かたつむりの 『やり』って何だ?」ということだ。
「つの」はわかるし、「めだま」も、その先の小さな丸い部分のことを言ってるんだろうとわかる。しかしカタツムリが「槍」なんてもってるわけないじゃないか。この疑問については、大人に聞いても誰もまともな回答は与えてくれなかった。半世紀以上にわたる謎だったわけである。
ところが今日、ふとした気まぐれでググってみたところ、あっさりと、そして見事に疑問が解けたのである。それは BuNa というサイトの「カタツムリのツノって何? 目玉はどこにある?」という記事のおかげだ。西浩孝さんというカタツムリ研究の専門家の書かれたものだから、信頼性に問題はないだろう。
この記事を読めば、カタツムリについてかなり詳しくなること請け合いだが、ここはスペースも限られるので、カタツムリの「やり」に関する部分に絞って紹介しよう。下は、このページの上から下に 3分の 2 ぐらい辿ったあたりの位置にある写真のスクリーンショットだ。
カタツムリの頭の右から突き出ている、まさに「やり」のように見える白い突起に注目していただきたい。これ、「恋矢(れんし)」と呼ばれる器官だそうで、次のように説明されている。
ちなみに、歌詞の中の「ヤリ」は、一説には「恋矢(れんし)」だと言われています。恋矢は一部のカタツムリが交尾の際に相手を突き刺すのに使います。石灰質で先がとがっており、まさしくヤリの形(写真はツルガマイマイの恋矢)
強引な決めつけを避け、"一説には「恋矢(れんし)」だと言われています" と控えめな記述にとどめておられることで、逆に私は信頼を深めてしまったよ。長年の疑問を晴らしてくれた西先生に、心から感謝である。それに、そもそもこの器官の名が「恋の矢」だなんて、なかなか粋な話ではないか。
それにしても子どもの頃はよくカタツムリを捕まえてきて遊んだものだが、「恋矢」なんてものには全然気付かなかった。まさに大切なのは「じっくりとした観察」であると、つくづく反省した次第である。
【追記】
乙痴庵さんのコメントへのレスを書くにあたってのいろいろな四方山話を、一時的にこの記事の「追記」として書いたが、あまりにも長くなるため削除し、明日付の別記事とさせていただくことにした。
【4月 9日 追記】
この件について "唱歌『かたつむり』の「やりだせ」問題をむしかえす" という記事にまとめた。本日の結論とは違って、「カタツムリの『触覚』を『やり』と見立てたものと解釈するのが、とりあえず妥当ではないか」という結論に達した。とはいえ、「恋矢」説も捨てがたく、いろいろうだうだ述べているので、合わせて
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コメント
恋矢
この言葉、ぱっと見では読めませんでした。
100歩下がって、勉強になりました。
ありがとうございます。
投稿: 乙痴庵 | 2021年4月 8日 12:57
乙痴庵 さん:
「恋矢」という命名は、大ヒットですね (^o^)
これって、どうみても日本語のオリジナルじゃないなと思い、Wikipedia で調べてみると、英語では "Love dart" だそうです。
直訳ですね (^o^)
投稿: tak | 2021年4月 8日 16:28