牛肉レシピを載せない料理サイト
先月、生まれて初めて飛騨の国への旅に行った際の記事で、私は「開いているのは飛騨牛を食わせる店と高山ラーメン(飛騨ラーメン?)の店ばかり。肉を食わない私はどちらにも用がない」と書いている(参照)。本当に飛騨や佐賀など、牛肉が売り物の土地に行くと食うモノに苦労してしまうのだ。
というわけで今回は、HUFFPOST の "牛肉レシピの掲載を停止「世界最悪の気候犯罪者の1人に出番を与えない」 アメリカの人気料理サイト" という記事に注目してしまった。これはもう、本当に「潔い」ことである。
このレシピサイトは "epicurious" という。ちなみに "epicurian" (快楽主義)という英語があるので、形容詞として「快楽主義の」という意味なのかと思ったら、私の手持ちの ウィズダム英和辞書にはこの項目がなかった。どうやら造語みたいなのだが、意味は誰でもすぐにわかるよね。
で、「快楽主義」と言うのだから牛肉もりもり食べ放題志向なのかいうと、そうじゃない。このサイトの宣言は次のようなものだという。
牛や、牛を食べる人々に対する“復讐”のようなものだと思う人もいるかもしれませんが、私たちはハンバーガーが嫌いだから、この決定をしたわけではありません(嫌いじゃありません!)
私たちの決定は、サステナビリティ(持続可能性)に関するものであり、世界で最悪の気候犯罪者の 1人に出番を与えないということです。これは、反牛肉ではなく、むしろ親地球だと考えています
世界の温室効果ガス排出量の約 15%は、家畜(および家畜の飼育に関係するもの)から発生しており、そのうち約 65%は、牛(牛乳も含む)から排出されているという。とすれば、epicurous のこの方針こそ、まさに「真の快楽主義」と言えるかもしれない。
私はこのサイトの "Left Beef Behind" ’(牛肉を置き去りにした)という方針を心から支持したい。
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コメント
私としては、
>世界で最悪の気候「犯罪者」の1人
という表現が気になるところです。牛・豚・馬やはてはモグラを宗教裁判にかけ、その罪状について真剣に議論し、有罪となれば大真面目に逆さ吊りの刑に処したビフォー魔女狩り時代の精神が、今もヴィーガン思想の中にしっかりと息づいているのが伺えてとても趣深いですね。
まあ、これはキリスト教文化をバックボーンに持つ欧米特有の問題であって、日本人には関係のない話だとは思いますが。
本邦ヴィーガンが気にするべきは動物裁判なんかではなく、
>世界で最悪の気候犯罪者
のレッテルを人間──食肉加工業者や酪農家──に向けてしまうこと、言葉を選ぶのをやめてはっきりと言ってしまいますが、部落差別思想の継承者にならないようどうバランスを取っていくか、のほうでしょう。既に危なっかしい事例がいくつか観測されてますし。
投稿: 柘榴 | 2021年5月 2日 03:27
柘榴 さん:
確かに "世界で最悪の気候「犯罪者」の1人" というのは過激な表現かもしれませんね。
原文では "one of the world’s worst climate offenders" と表現されています。"Offender" は正確に訳すと、「犯罪者」というよりは「違反者」に近いと思います。
「犯罪人」と訳される言葉には、"sinner" "criminal" "offender" などがありますが、
sinner は 宗教的倫理的な「罪人(つみびと)」
criminal は「犯人」
offender は「違反者」といったイメージです。
(スピード違反などは、Offender です)
また、"guilty" は法律的な「有罪」ということになります。
この場合は "offender" ですので、ニュアンス的には最も軽く、倫理的な「罪業」というニュアンスは持たせていないと解釈されます。この言葉は多分、意識的に選択されたのだと思います。
それから、肉食と差別の問題は私も内心危惧しています。
肉食忌避は、「食べ物の好き嫌い」という問題を別とすれば純粋に環境問題として捉えるべきで、下手な広げ方をすると、それこそヴィーガン自身が "sinner" になってしまいます。
投稿: tak | 2021年5月 2日 13:00