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2021年5月11日

「ロイヤリティ」と「ロイヤルティ」の使い分けって・・・

昨日の記事で紹介した Gigazine の "iPhone の求心力が過去最高に達する" という記事タイトルで、実は「求心力」という言い回しがちょっと気になっていた。元記事と思われる英文記事を見ると、いずれも ”brand loyalty” という言葉が使われているし (参照 1参照 2参照 3)。

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「ブランド・ロイヤルティ」って、既に外来語としてあるんだから、「求心力」なんてビミョーな言い換えは必要ないんじゃないの? なんて思ったのだが、一方で「そう言い換えないと "brand royalty" と誤解する人も確実にいるから、しょうがないか」と、心ならずも納得していたのである。

改めて言うまでもないが、敢えて確認しておくとすれば、その違いはこういうことだ。

brand loyalty: 「ブランドに対する愛着心・忠誠度」みたいなこと
brand royalty:  商標使用料

ただ多くの日本人は ”L” と ”R” の区別が苦手だから、誤解が生じるのは仕方ないのかもしれない。そう思って念のため、ちょっと「ロイヤルティ/意味」の 2語でググってみたところ、驚いてしまった。

「ピポラボ」というサイトによると、日本には「ロイヤリティ」と「ロイヤルティ」という 2つのカタカナ言葉があり、似てはいるが「意味が全く違う」ので、注意して使い分けなければならないんだとさ(参照)。こんな風に書いてある。

フランチャイズとは、フランチャイズチェーンに加盟した店舗が大本の企業に使用料(ロイヤリティ)を払うというビジネスモデルです。(中略)顧客ロイヤルティは重要なキーワードとなりつつあります。先にも述べたように、これは顧客が企業やブランドの商品やサービスに対して抱く信頼や愛着心のことです。

要するに "royalty" をカタカナにすると「ロイヤリティ」になり、"loyalty" は「ロイヤルティ」ということらしい。ここだけじゃなく、WURK というサイトにも同じようなことが書いてある(参照)。いやはや、びっくりである。

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私は昔、繊維・アパレル業界で仕事をしていたから、「ブランドのライセンサーに支払う『ロイヤリティ』が馬鹿にならないんだよね」とかいう言い方をよく耳にしていた。その頃は、「うぅむ、『ロイヤリティ』じゃなくて『ロイヤルティ』なんだがなあ」と苦々しく思いながら聞いていたものである。

ところが今となっては、こうした意味で使う場合は「ロイヤリティ」と言うってことが、半ば正式に(ここまで来れば「暗黙の了解」以上だよね)認められてしまっているようなのだ。いやはや、そんなの、誰が誰に断って決めたんだよ。

私はいつも「言葉は生き物」なんて言うのだが、まさにそのことを実感してしまった。

「よくある言い間違い」が、よくありすぎるためにいつの間にか公認されて、国語辞典にも載ってしまうということは昔からある。「山茶花」(本来の読みは、漢字の通り「さんさか」)が、いつの間にか「さざんか」になってしまったようなものだ。(参照:音位転換

というわけで、こればかりは文句を言ってもしょうがないのかもしれない。個人的には「苦々しい思い」に変わりはないのだけれど。

ただ、最後に触れておくが、weblio というサイトの 下に示したページ は「苦々しい」では済まされないよね。思わず「おいおい・・・」と言ってしまいたくなる誤りだ。(「ブランドローヤルティ」なんて、初めて聞いたし)

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ちなみに、同じ weblio で "brand loyalty" の方を調べると、今度はこう来た

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基本的なところで、ずいぶんな混乱があるみたいなのである。とりあえず、このサイトは信用できないと結論づけておくことにする。

 

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コメント

weblio なんて昔から信用してません。
私が詳しい分野の用語についてどのように説明されているのか調べたことがあります。

そこには〝よくある違い″が説明されてました。
そこで間違いである理由を丁寧に説明して修正を求めたら、その項目が削除されてしまいました。

後日、W大の学生の論文が目に留まり読んでみると、その〝よくある違い″がそのまま書いてあるので引用元をみるとweblioでした。学生は weblio なんて引用するべきではない。加えて、担当教授は〝よくある違い″になぜ気が付かなかったんだろう。みんなテキトー!

投稿: ハマッコー | 2021年5月11日 12:13

ハマッコー さん:

ありがとうございます。やはりそういうことなんですね。

試しに自分のブログ内を検索したところ、weblio からの引用が結構見つかってしまい、愕然としました。

ただ、そのうちのかなり多くは、ある意味アヤシい言い回しと思われることについて、ちょっとアヤシい説明がしてある例というニュアンスが強い取り上げ方だったので、少しホッとしました。

そうした意味では、「アヤシい事項」に関して「やっぱりアヤシいよね!」と確認するにはとても役立つサイトだと、確認するに至りました。妙にメタな言い方ですが (^o^)

今後はその点について、さらに明確に意識しておこうと思った次第です。

投稿: tak | 2021年5月11日 22:31

〝よくある違い″ は 〝よくある間違い″ の間違いでした。
読んでいて???と思われたと思います。

失礼しました。

投稿: ハマッコー | 2021年5月11日 23:32

ハマッコー さん:

了解です。初めからそのように「正しく読み違い」してました (^o^)

投稿: tak | 2021年5月12日 00:50

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