『おてもやん』の歌詞は、実は凄みがある
いろいろな都合で郷里の熊本に帰っていた妻の親友が、このほどまた関東で暮らすことになり、このコロナ禍が収まったら久しぶりに会う約束をして楽しみにしている。熊本と言えば私も出張で何度も行っているが、「おてもやん」という民謡を思い出してしまうのだ。
熊本市内には「おてもやん像」というのがあって、私も 14年前の出張の時に写真に撮り、下のように和歌ログの記事にしている(参照)。
これ、改めて検索してみると一つだけではなく、市内のあちこちにあるらしい(参照)。おてもやんは、それだけ市民に親しまれているのだろう。
『おてもやん』という歌は印象的なので、最初の方は私も歌うことができるが、かなり濃い肥後弁なので意味となるとよくわかっていなかった。それでこの際だからと調べてみたところ、意外なことまでわかったのである。
ググった結果行き当たったのは、"『おてもやん』は熊本民謡として愛されている! 歌詞の意味が深い?" というページ。一面的な紹介に留まらず、諸説ある部分などはきちんと広く説明してあるので、信頼できると思う。
まずこの歌についてだが、元々は『熊本甚句』という花柳界のお座敷歌だったという。『おてもやん』というタイトルは、そもそも固有名詞(女性の名前)と一般名詞(「下働きの女性」を意味する「テマ」が訛った)の 2つの節が有力らしいが、一般名詞としても肥後の女性全般を指すとの説もあるらしい。
固有名詞としてみると、富永登茂(とみながとも 1855~1935)という女性がモデルであるらしく、この場合は訛って「チモ」と言われることが多いという。それがまた「おてもやん」になったというわけである。
詳しいことはリンク先を読んでいただければわかるが、最も驚いたのは「嫁入りしたこつぁしたばってん/ご亭どんが ぐじゃっぺだるけん/まあだ 杯ゃせんだった」という部分だ。
私は「嫁入りしたことはしたが、亭主がグジャグジャ面倒なことを言うから、三々九度の杯はまだ交わしてない」ぐらいの意味かと思っていたのだが、「ぐじゃっぺ」というのは「痘痕(あばた)で酷い」ということらしい。
亭主の顔に天然痘の痕があって不細工だから、正式には杯をかわしていないというのだから、下手すると差別問題になりかねない歌詞である。というわけでこの部分は、テキトーに流して歌う方が無難なのだろう。
いやはや、思っていたよりずっと凄みのある歌詞である。
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コメント
うーむ、凄い歌詞ですね。熊本県民は〝ぐしゃっぺ″の意味を当然知っているでしょうね。
意味を知ってしまうとテキトーに流して歌うのも憚れますね。
「線路は続くよどこまでも」なんて歌は歌詞が大きく変えられ日本では童謡として親しまれ子供が歌ってますが、アメリカでは原詩のまま子供が歌うのでしょうか。歌詞の後半が気になりますね。
投稿: ハマッコー | 2021年7月 4日 19:48
ハマッコー さん:
いやはや、"I've been Workin' On the Railroad" は、単純な労働歌としてしか知りませんでした。
後の方の歌詞は、たった今 Wikipedia で調べて初めて知りました。
これでは、子どもは歌えませんね (^o^)
投稿: tak | 2021年7月 4日 23:05