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2021年8月11日

「事故に遭ったよう」なコロナ感染というのがある

丹波新聞に "「事故に遭ったよう」 東京出張後にコロナ発症の男性 「特別なことしなくてもうつる」と警鐘/兵庫・丹波市" という記事がある。

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この男性は先月中旬に丹波市から東京に出張し、19日に戻って 22日から咳が出始めた。23日の検査で陽性と判明して、丹波市内の病院に 2週間入院、8月 5日に退院した。「都内では外食せず、用心していた。どこでもらったのか分からず、事故に遭ったようなもの」と語っているという。

記事には次のようにある。(「外食せず」と言っているのにファストフード店に入っていて、マスクを外したというんだから、テイクアウトでもなかろうことについては、ここでは敢えて深く追求しない)

東京で立ち寄ったのは、ホテル、コンビニ、ファストフード店。人がいるところでマスクを外したのは、客のまばらなファストフード店と、新幹線の車内の喫煙コーナー(定員2人)ぐらいだった。

この男性は 39度の高熱が出て味覚と臭覚がなくなったものの、入院後 4日目で咳と熱が収まり、重症化はしなかった。ただ 2週間も病院のベッドで酸素の管に繋がれているのがうっとうしかったという。

この男性は丹波という土地在住だったので病院に余裕があって入院できたが、都内では重症でないと入院するのが困難というのだから、状況はかなり逼迫しているということになる。

世の中には「若い人は感染しても重症化せず、知らないうちに治っていて自然に免疫力がつくので安心」なんて、呑気なことを言う人もいるが、この記事の男性は 30代だが、一時は 39度の熱が出て、味覚障害で固形物が喉を通らなくなったというほどだ。油断はならない。

さらに言えば、自分は気付かないうちに治ってしまうことがあるとしても、それだと知らぬ間にウィルスを拡散させる可能性がより高まるのだから、迷惑千万だ。いずれにしても最大限の注意が必要というのは言うまでもない。

ちなみに、この男性は「どこで(ウィルスを)もらったのか分からず」ということになっているようだが、私が記事から受ける印象では、「新幹線車内の喫煙コーナー(定員 2人)」というのが怪しい気がする。

ただ、喫煙コーナーは換気が行き届いているだろうからどうかなという気もしたので調べてみたところ、"喫煙室でタバコ吸う人があまりに危なすぎる訳 「3密」の条件が当てはまり感染拡大が懸念" (東洋経済 ONLINE 2020年 4月 16日付)という記事が見つかった。

喫煙室や喫煙コーナーというのは思いのほか換気がよくないらしく、しかも「定員 2人の喫煙コーナー」で、1人だけで吸ったとしても、前にそこにいた感染者がマスクを外して息を深く吸ったり吐いたりしたことで壁などに付着したウィルスは、最大 9日間生存するらしい。こりゃ、かなり危ない。

一方、PRESIDENT Online では、内閣参与の飯島勲という結構エラい人が "「タバコ喫煙者はコロナ感染から守られる」決定的証拠 タバコが救う人間の命” (2020年 7月 31日付)なんて文章を寄稿していて、その中で喫煙者はコロナ感染リスクが低いと主張し、自分はタバコを止めないと表明している。

この人は「人に迷惑はかけない」という吸い方をされているらしいから、それはもう「どうぞ、ご勝手に」と言うほかない。

ただ、喫煙者でも「どこでもらったかわからない」みたいな形で感染してしまうこともあるとわかった以上、喫煙のおかげで「コロナ感染から守られる」なんて言ってないで、どうぞご用心。まあ、この人は今は多分「タバコ吸ってる上にワクチン 2回打ったんだから、自分は大丈夫」と思っているだろうが。

【この問題に関して、参考になると思われる記事】

新宿つるかめクリニック  ~新型コロナウイルス感染症(COVID-19)と喫煙~ (2021年 2月 15日付)

喫煙者における新型コロナ感染のリスクを評価した査読付きの研究は現在のところありません。逆に、新型コロナウイルス感染症患者の現在喫煙率が低いとする報告が多くなされています。例えば、Simonsらのメタアナリシスでは、中国における新型コロナ患者の喫煙率は数%であり、中国の成人喫煙率27.7%よりもずっと低率と報告されています。しかし、このメタアナリシスの対象論文の多くは喫煙率調査が不完全であると指摘されています。また、フランスにおける新型コロナ患者の喫煙率に関する論文でも、フランスの新型コロナ患者の「現在毎日喫煙率」は4.4%であり、フランスの平均毎日喫煙率25.4%よりもかなり低くなっています。しかし、この論文では毎日喫煙者、時々喫煙者、過去喫煙者、生涯非喫煙者が不自然な割合になっており、コロナを発病したため入院直前に禁煙した者を過去喫煙者としている可能性が指摘されています。新型コロナ感染に対する喫煙のリスクは今後の報告が待たれます。

(要するに、コロナ感染者における喫煙者の比率が低いというデータは、まともな統計としての見地からするとかなりアヤシいところがあるので、鵜呑みにするのはどうかな?というお話)

CLINIC FOR 新型コロナと喫煙の関係性について、医師が解説します。 (2020年 12月 30日付)

今現在わかっていることには、喫煙者は非喫煙者に比べて新型コロナ感染時に、人工呼吸器を装着する必要があるようになる、あるいは死亡してしまう危険性が3倍以上になると言われています。

 

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