自民党、よっぽど人がいないのだね
東洋経済に "菅首相、感染激増で「再選どころではない」窮地に 医療方針を転換、次期選挙は自民過半数割れも」という泉宏氏の記事がある。ただ、私としては「今度にしたって、結局は自公による過半数は確保されてしまうんだろう」と、やりきれない思いがしているが。
何だかんだ言っても、「自民党を支持しない層」というのは「投票に行かない層」と重なる部分が多くて、利権と損得勘定で結びつく自民支持層の積極的な投票行動に負けてしまうのである。これが、自民党が選挙で勝ってしまう最大の理由だ。
この記事の前半はひたすら「コロナ禍に対する菅政権の無策」という視点で書かれているが、私が注目してしまったのはむしろ後半の「二階幹事長は首相の続投を支持」というくだりだ。こんなふうにある。
自民党の二階幹事長が 3日、菅首相の任期満了(9月 30日)に伴う自民総裁選について、「再選が当たり前」と発言したことも批判を増幅させた。二階氏は「現職が再選される可能性が極めて高い。菅首相に『続投してほしい』との声が国民の間にも強い」と菅首相続投支持を明言した。
二階氏はさらに、「総裁選は総裁たりうる人が手を挙げる、そういう人が複数あった場合に選挙になる。今のところ複数の候補になる見通しはない」として、現状では菅首相の無投票再選が当然との見方を示した。
この発言はさすがに炎上したようだ。「(菅首相と)2人でどこか違う国へ行って永遠にやっていれば良い」なんてコメントまであったというが、このコンビを受け入れてくれる国が日本のほかにあるとは思われない。
ここまで来ると、「自民党、よっぽど人がいないのだね」と思うしかない。菅首相のような人がトップでいられるのは不思議でしょうがない話だが、それについて当ブログの 8月 1日付に、次のように書いた(参照)。
要するに菅首相という人、実は「発信力が不足している」というよりむしろ、「発信しない」という手法を自ら積極的に選択してきたと見る方が正確なようなのだ。つまり「自らは決して発信しないかわりに、時々ぶちキレて見せる」というスタイルを武器として、ここまでのし上がってきたわけだね。
この人、完全な「ボキャ貧」でボーッとしたイメージだが、それとは裏腹に、内輪では結構ハードに「ぶちキレ」パフォーマンスをするようなのである。「発信しない」ので、得点しない代わりに大きな失点もせず、時々「ぶちキレ」ることで他を萎縮させるのだ。これ、組織的には「縮小再生産」の構図だよね。
町場の中小企業ぐらいだと、こんなスタイルで社長にまでなっちゃう人が結構いるが、政権党の中にまでそれと同じ構図を見てしまうと、もはや何と言っていいかわからない。それに反旗を翻す人物が出てこないというのだから、自民党に期待するところは何もない。
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コメント
>町場の中小企業ぐらいだと、こんなスタイルで社長にまでなっちゃう人が結構いるが、政権党の中にまでそれと同じ構図を見てしまうと、もはや何と言っていいかわからない。それに反旗を翻す人物が出てこないというのだから、自民党に期待するところは何もない
これに尽きますね。
石破さんも本気で総理の椅子を取りに行く気迫が全く感じられません。他も同様。三角大福中の時代が懐かしい。
投稿: ハマッコー | 2021年8月 7日 18:47
ハマッコー さん:
>石破さんも本気で総理の椅子を取りに行く気迫が全く感じられません。
この人はある意味「潔癖症」なんだか、泥をかぶるようなところには足を踏み入れたがりませんね。自分だけは身ぎれいでいたがる。
ところが、自民党というところは、身ぎれいなだけでは人が集まらないんですね。
>三角大福中の時代が懐かしい。
あの頃は、曲がりなりにも「人がいた」んですね。
投稿: tak | 2021年8月 7日 19:59