中国では「カラオケ検閲」が始まるらしい
ロイターが「中国、違法な内容のカラオケ曲を禁止へ」というニュースを伝えている。元記事は "China to bar songs with 'illegal content' from karaoke venues" というもので、話はちょっと横に逸れるが、"karaoke" って、本当にちゃんと国際語になってるのだね。
記事には「国家の結束や主権、領土の一体性を危険にさらすものや、カルトや迷信を拡散する内容で国の宗教政策に違反する曲、賭博や麻薬のような違法な活動を奨励するものが禁止対象に含まれる」とある。こんなことを言ったら、国の都合で大抵の曲は「禁止曲」に指定できてしまう。
要するに「カラオケ検閲」である。1970年頃の日本でも当時のフォークソングが何曲も「放送禁止歌」に指定されたなんてことがあったが、近頃の中国では「カラオケ禁止歌」ということになるのだね。もっとも中国では、ちょっとでも問題のある歌は、元々放送では流れていないのだろうけど。
下手すると、中国のカラオケ店に用意されている曲は「やんわりとした中国共産党讃歌」みたいなものしかなくなってしまいそうだ。そんなことになったら、私みたいな者だけでなく、まともな感性をもった人間ならカラオケ店に行こうなんて思わなくなるだろう。
こうなったら、人々は「歌いたい歌は、カラオケ以外で歌う」というスタイルに移行するほかない。つまり自前の楽器で伴奏するのだ。私としては、その方がずっと楽しいと思う。
私の世代の若い頃は、カラオケなんて言ったら場末のスナックでオッサンがママさんと調子っぱずれにデュエットする艶歌みたいなものしかなかった。今のカラオケはずいぶん変わったようだが、私があまりそそられないのは、心の底の方にあの気持ち悪いイメージが残っているからである。
当時、歌いたい歌はギターなんかで弾き語りするものだったのである。フォークソング・ムーブメントは、そうして盛り上がった。最近の曲の多くは、ギター 1本で歌うにはアレンジが複雑すぎて、ある意味気の毒である。
それでいつの頃からか、若い世代でもギターの弾けるヤツがものすごく少なくなってしまった。これって、ある意味「文化の衰退」といえると思う。
話を戻せば、ギター弾き語りで歌う中国版「プロテスト・ソング」が紹介されたりしたらおもしろいと思う。とはいえそうなると、今度はギターを弾いただけで「反体制派」として弾圧されるなんてことになりかねない。あの米国でさえ、一時はそんなような時代があったのだから。
ただいずれにしても、民衆はどうにかこうにかして負けないのだよ。
| 固定リンク
「ニュース」カテゴリの記事
- IOC に札幌を見限ってもらい、スッキリしたかも(2023.12.01)
- 「チャーハン症候群」というのがあるらしい(2023.11.18)
- 「大麻グミ」のセールス・プロモーション、失敗?(2023.11.16)
- 「ど根性スイカ」とやらを珍重したがる都会人の意識(2023.10.17)
- 「大阪万博」を巡る冒険(2023.10.08)
「音楽」カテゴリの記事
- クラシック・コンサートでの「咳」を巡る冒険(2023.10.19)
- 最近の人はアコースティック・ギターを弾かないのだね(2023.10.16)
- 「ラップ」と「トーキング・ブルース」(2023.03.28)
- ピアノの黒鍵から、オクターブ、コードを考える(2022.05.17)
- "Hey Jude" の歌詞(「ラ〜ラ〜ラ〜」じゃないのよ)(2022.05.11)
コメント
「それでは聴いてください、tak-shonaiで『リメンバー・天安門』」
なんてやったら生きては帰れないでしょうね(笑)
投稿: らむね | 2021年8月12日 18:33
らむね さん:
わはは (^o^)
ただ、プロテスト・ソングを歌うとしても、そんな直接的なタイトルにはしないでしょうね。
むしろ「♫ 共産党に入ろう」とか (^o^)
投稿: tak | 2021年8月12日 19:27