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2021年8月 2日

今さらだが、安倍晋三の皇室に関する意識を疑う

一昨日の記事で、恐縮ながら安倍前首相の「滑舌の悪さ」について触れた。東京 2020 大会の開催を決めた IOC 総会のスピーチの冒頭で、"Mr. President" (ミスター・プレジデント)を「ミスター・プレゼント」とやっちゃってる。

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この関連でググってみたところ、"「已む」読めなかった? 安倍首相が歴史的儀式で驚きの大失言" という AERA の記事(筆者は田岡俊次)が見つかった。

平成 31年(2019年)4月 30日、「退位礼正殿の儀」での「国民代表の辞」で、安倍首相(当時)が、「天皇、皇后両陛下には末永くお健やかであらせられますことを願ってやみません」というところを、「〜願っていません」と言っているというのである。これでは意味が逆になるので大問題だ。

YouTube  に登録された動画を確認してみると、確かに「〜願っていません」と聞こえる(11分過ぎ頃)。何度聞き直しても間違いない。

この記事で田岡は、安倍は「教養のある官僚」の書いた原稿の「願って已みません」の「已」の読みがわからず、「いません」と読んでしまったのだろうと推測している。「云々」が読めなくて「でんでん」と言っちゃうような人だから、あり得なくもない。

ただ私としては、このあたりはもうちょっと素直かつ常識的に考えたい。いくら「教養のある官僚」でも「今どきの人間」だし、一応「読み手(「でんでん」なんて言っちゃう人)の教養」まで配慮するだろうから、「已みません」という表記は考えられない。下の首相官邸の tweet (参照)もあるし。

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問題の動画を見ると、彼が口ごもり始めたのは「願ってやみません」の直前、「末永くお健やかであらせられますことを・・・」(10分 50秒頃)あたりからであることに注目したい。この部分、実際に声に出して読んでみればわかるように、アナウンサーの練習課題にしたいほど発音が込み入っている。

安倍としては当然口がついていけずにメロメロになってしまい、「あられますことを」と口走った後に、やっと「あらせられますことを」と言い直した。ただここでアセったせいか、その続きの「願ってやみません」の発音が、ドサクサ紛れ的に端折られてしまったようなのである。

ただ、彼の「代表の辞」はこの部分だけでなく、冒頭の「謹んで申し上げます」からして、まったく「謹んで」なんかおらず、「ツッシンで、モーシャゲます」と、さりげなくも無遠慮に端折っちゃってる。その後の「皇室典範特例法の〜」も「コーシキてんぱん〜」としか聞こえない。

彼はどうやら、”ts, d, s, r, y, m" の子音の発音と、日本語の原則、「仮名 1文字= 1拍・同じ長さ」(参照)のキープが苦手のようなのだ。ということはたとえアセらなかったとしても、「やみません」を「いません」に端折る(下参照)ぐらい、自然の成り行きだったかもしれない。

【や/み/ま/せん → やぃ/ま/せん → い/ま/せん】

「滑舌の良し悪し」は身体的にある程度しかたのないことだから、差別的にどうこう言うつもりは毛頭ない。ただ、彼は普段「右側の政治家の代表」みたいな顔をしているのだから、こうした「荘厳な式典」の原稿は、もっと意識して慎重かつ丁寧に読むのが当然ということぐらいは、言わせてもらってもいいだろう。

「どうせ形式的な式辞だから」とばかり、無造作に本番に臨んだのがバレバレという点で、神経を疑ってしまうところである。

一昨日の記事で触れたように、「言い違い」や「トチり」には、深層意識内にある無意識の思いがひょろりと顔を出してしまいがちというのが定説だ。ということは、少なくとも彼の深層意識では、普段口にしているほどには皇室を尊重していないのではないかと疑われても。仕方のないところである。

 

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コメント

くだんのおっさんが名を連ねる、「ナントカ会議」って、矛盾を抱えながら運営しなきゃならないなんて、たいへんですなぁ。

良くは知りませんが、会議の構成員に「生姜本町」なる主(のご先祖様)礼賛を主旨とするハズの団体も居たりして…。
「亭主元気で留守がいい」とは、良く言ったもんで…。

アタシャ礼賛の意味を、違えるつもりは毛頭ございません。

投稿: 乙痴庵 | 2021年8月 2日 17:27

乙痴庵 さん:

「ナントカ会議」って、何となく、あっちの方面の人たちの「ステイタス・シンボル」みたいな気がします ^^;)

投稿: tak | 2021年8月 2日 22:12

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